6語目 ズットモダチ(ずっと+友達)

あの日
俺がベンチに座って尻を汚したあの日
DRコーポレーションの使者は新君祭の開催を宣言した。
つまり、あの時既に千彰は巻き込まれていたんだ
この子と組むことで・・・・
俺は蓮(れん)と呼ばれた少女に目をやる

じ〜・・・・・

なんか、既に超見られてるし

チョィチョィ

俺から目を離すと、隣に座っている千彰の服を引っ張り、何やら耳打ちを始めた。
それに答えるように千彰も蓮に耳打ち
千彰の言葉にうんうん頷いた後、俺の方に立ち膝でちょこちょこと寄ってくる。
どしたんだ?

「失礼、します・・・・」

そんな前置きの後

ぎゅっ

突然抱きつかれる

「え?え?えぇ????」

なんで?なんで急に?
千彰は何を耳打ちしたんだ?!
小さな体が俺にしがみつき、胸の辺りに顔を埋める。

「ち、ち、ち、ち、千彰!何したの?!」

「もうすぐわかる・・・・」

意味分からん!
と、
いつの間にか蓮は俺の顔を見上げていた。
心地よさそうな瞳が俺に向けられる。
その目は凄く大人びて見えて、一瞬ドキッとした自分がいた。

「千彰と、同じ匂い・・・・」

「え?」

同じ匂い?

「大樹、好き・・・・」

す、す、好き?!
ぽふっと、もう一度体をあずけてくる。
あぁ、こんな光景を一般人に見られたら、間違いなくロリコン野郎決定だろう
ましてやメイド服も着せるなんて・・・・
でも俺は今一瞬思ってしまった
それでも構わないかも、と。

「蓮、大樹が体も欲しいって・・・・」

なっ?!

「好きにして、いい・・・・」

かはっ・・・
その大きな瞳で俺を見つめないで
ホントにその気になったらどうす・・・・

「大樹、様?」

ぞくっ
おぉ、何だこの俺にのしかかってくる負のオーラは・・・・
背後を確認。
そこには明らかに負の炎を纏った青葉の姿があった

「と、青葉、あ、いや、ちがうんだ、これは」

じと〜〜〜・・・・

わ、忘れてた
青葉は人一倍の嫉妬の持ち主だった!
ど、どうしよう、この状況をなんて説明すれば・・・・

「蓮、もういいよ・・・・」

「うん・・・・」

は?
もういいよ?

「大樹の『あれ?俺、もしかしてロリコン?』大作戦、成功・・・・」

ま、まさか?!

「蓮に色々言ってもらったけど、ホントは匂いを嗅ぎに行っただけ・・・・」

ハメられた?!

「そのまさか・・・・」

「心読めんのかよっ!」

そんな俺の突っ込みが届いた様子はなく

「ちょっとは安心した・・・・?」

二人で話し始める

「うん、大樹は、もう一人の千彰・・・・」

つまり、安心してくれたのか。

「うん・・・・」

「え、蓮まで心読めるの?!」

「大樹、単純・・・・」

グサッ

初対面の蓮に言われてしまった・・・・ショック
俺も一度あなたたちみたいな複雑な奴になってみたいよ、ほんと。

「で、新君祭の話・・・・」

「ああ、そういやそれが本題だったね」

「忘れてたの・・・・・・・?トリアタマ」

「千彰、前から言おうと思ってたけど」

「話逸れるから、黙ってて・・・・・」

ぐ・・・・

「もう、戦ったの・・・・?」

「ん?ああ、昨日さ、ラブレターあったじゃん?あれ、アンサーからの罠だったんだよね」

「そう・・・・・」

千彰の感情は表情よりも語調に表れる
憂い。
語調の中に今確かに含まれていた。

「なら、扉も見たんだ・・・・」

「ああ」

思い出すだけで後悔の念が心に渦巻く。
青葉と一緒にいるためには勝たなくてはならない
しかし、それは同時に他の誰かを踏み台にしていくということ。
それを昨日、身をもって思い知らされたばかりだ。

「蓮、あれを見せて・・・・」

「わかった・・・・」

蓮は一度襖の奥に入っていくと、ガラスの板のようなモノを持ってきた。

「何それ?」

「ここ、見て・・・・」

千彰の指差すところ
そこには数字が書いてあった。

「63?」

何を表しているんだろう

「残りのアンサーの数、ですか?」

青葉が指摘する。

「ん・・・・」

肯定。
どうやら当たっているらしい

「ごめん。俺アホだからイマイチ分かんないんだけど、詳しく教えてくれない?」

「実はこの新君祭、参加社は合計100社。つまり初期の状態だとアンサーが100人いることになります。」

「つまり?」

「昨日一日だけで37人敗者が出た、という事になります。」

「・・・・っ」

37人
しかも開催初日でこれだけの人数が・・・・

「多分、機会はすぐそこまで来てる・・・・」

免れられない現実。
それが目前まで・・・・

「だから・・・・」

しばしの沈黙
・・・・・・・。
わかってしまった、千彰が何を言おうとしているか。
何を望んでいるか。

「出来るだけ一緒にい
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