全身を包む深緑の鱗。手足の大きな爪。背からはえた大きな翼。
その姿はまさに
「ドラゴン?!」
ワーキャットは狼狽える。
「そ、そんな・・・・超高位種が、なんで」
「大樹様、イメージを伝えて下さいますか?」
こちらを振り向いた彼女の表情を見た途端、自分の緊張が解けたのを感じた。
目の前にいるのが、いつもの青葉だとわかったから
「お、おし、やってみる」
頭の中で色々なゲームに登場する武器を思い浮かべてみる。
鬼○斬破刀か?エクス○リバーか?!
「大樹様、無理をなさらなくても大丈夫です。今の気持ちを形にして下さい」
今の、気持ち
・・・って何だろう?
死にたくない、戦いたくない、負けたくない、勝ちたい
・・・・守りたい、青葉を護りたい。
頭に一つのモノが浮かび上がる。
「承りました」
青葉は左手を前方に差し出し、宙を・・・・掴む!
すると
俺の左手も同時に、何かを掴む感覚を覚える
掴んでいたもの
それは盾。
所持者を攻撃から守り、また攻撃をする機会をすらを与える、俺の気持ちにふさわしい「武器」
その透き通った外見はガラスや澄んだ氷を連想させる、一見儚そうな、それでいて刃の如く精錬された全き盾。
うおっ!す、すごい!俺の思い浮かべたイメージ通りだ!
おお、しかも振動してる。これは一体
「第二世代教育<音>(アセシーノズ・デ・ソニード)。それが私に施された教育です」
音、波、空気の・・・・・振動?!
そういう事?!
「行きます!」
「しゃあっ」
俺と青葉は二人に向かって走り出す
「迎え撃つよ」
「わ、わかった」
少女達は意思疎通(イメージリンク)をし、その手に口の大きな銃を造り出す。
「「発射!!」」
ッッドンッ!
大きな火球がこちらに飛んでくる
「ガードしましょう!」
「オッケ」
俺は立ち止まり足場確認し踏ん張る、対して青葉は走ることをやめずそのままガード
ボォォンッ!!!
「ぐおおおおおお・・・・・・・あれ?」
全然衝撃が来ない
踏ん張るどころか当たった感覚すら無かった、確かに炸裂したはずなのに。
てか、ヒヤヒヤした〜〜〜
本当にこんな綺麗な盾で防げるのか心配だった
「大樹様!」
おお、今はまだ敵に突撃中だった
「おらぁぁぁっ」
完全に強がりだけの叫びを上げる。
既に青葉は二人を相手に体術戦をしていて
ワーキャットの素早い動きに対応しながらそれを捌き、少女の砲撃を見事に盾で防いでいた。
俺が出来るのは・・・
「シンボルの破壊だああっ!!」
少女まで接近した俺は、青葉に注意を引かれている隙に不格好な体当たり
「どーーーんっ」
「ぐぅ・・・・」
がしゃぁん
少女の背中がフェンスが当たる。
なんか、ちょっぴり罪悪感を感じるかも・・・
「えりゃあっ」
ボォォン!
なっ・・・・この野郎、打ってきやがった
前言撤回。
そもそも屋上で不意打ちってとこから感じる必要ねぇじゃん!
「ちょっと痛いかも、よっ!!」
ドスッ
もういっちょ体当たり
少女に一瞬出来たノーガードの隙。
「・・・っ!そこです!!」
それを横目で見逃さなかった青葉は、自らの盾を少女に向かってブーメランのように投げる
するとその盾は風を斬って、真っ直ぐ少女のスカートのポケットに飛んでいき
スパッ
切り取る。
キンッ・・・
そこから、赤い結晶のようなものが零れ落ちる。
まさか、これが
「大樹様、はっ、今です!」
「させないよ!!」
青葉と交戦中だったワーキャットはこちらに飛びかかってくる
が
ブーメランの如く戻ってきた盾が、その進路を塞ぐ
「ぐっ・・・・」
「させないのは、こちらです!!」
すぐさま青葉がその前方に立ち、更に進路を塞ぐ。
俺は踵を振りかぶり
「おりゃあああああああ!!」
振り下ろす!
「やめてーーーーーーっ」「やめろーーーーーーーーっ」
グシャッ・・・
まるで氷砂糖のように
少女の赤いシンボルは粉々に砕け、赤い光と共に消えていく
「そ、そんな」
「終わっちゃった・・・・。」
先程まで勢いよく交戦していた二人だったが
双方その場に座り込み、力なく項垂れる。
その様子を見ていた青葉が険しい表情をしながら、こちらに歩いてくる。
「・・・・大樹様」
「・・・・ああ」
始まるらしい。
忘却の儀式というものが。
ドン
ワーキャットのすぐ後ろに大きな扉が現れる。
これが・・・・忘却の扉
敗者はどうなるの?
この問いに青葉は顔を伏せた。
その内容はあまりにも残酷で、俺がこの戦いに参加する上でどうしても腑に落ちなかった条件。
敗者。
まず、企業からの解雇。並びに記憶からの・・・・抹消。
自らの記憶ではなく、その魔物に勝利した者を除く、この魔物に関係し
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