数日前から、朝起きると太陽の光よりも先にこの甘い匂いを感じるようになった。
首だけを動かし顔を隣に向けると、スヤスヤと眠るお嫁さんの姿があった。
枕を抱きかかえるようにうつ伏せに眠り、時々ピコピコと触角を動かす姿は何とも愛らしい。
しばらく眺めていたが、やはり彼女から発せられる甘い蜜の匂いの誘いに耐え切れなくなった僕は、そっと彼女の顔に近づくと、頬を舐めた。
舌で感じる彼女の頬の柔らかさと甘さ、私は犬のように一心不乱に舐め続けていた、そう、彼女がすでに起きてることにも気づかないほど。
「おはよ〜
#9829;今日の私もおいしい〜?」
その声を聴いて僕は慌てて離れた。
「ごめんっ!コリンの顔見てたら我慢できなくて……」
彼女はゆっくり体を起こすと彼女は自分の頬に付いた唾液を指で取って口に運びつつニッコリと笑った。
「も〜別に気にしなくていいのに〜
#9829;私も貴方に味わって欲しくて毎日蜜を塗り込んでるんだから〜
#9829;ほら〜もっと味わっていいんだよ〜?」
そう言って頬を向けてくるが、流石に起きてるのに舐めるのは恥ずかしかった。
しかしまだあの甘さを味わい足りない僕は、彼女の頬ではなく口内に舌を伸ばした。
「んんっ……ちゅるっ……んぐっ……れろぉ……ぷはぁ……貴方の味、とってもおいしいな〜
#9829;私の味はどお?おいしかった〜?」
「とっても甘くておいしかったよ」
それを聞くと彼女はとても嬉しそうに笑った。
――――――――――――――――――――――――――
「おまたせ〜
#9829;」
キッチンから出てきたコリンがお盆に乗せているのは、甘い匂いを漂わせるハニートーストとアルラウネの蜜入りホットホルミルク。
一口ホルミルクを飲むと、優しい甘さと温かみが体の中を満たす。
ふう……と白い息を吐いていると、コリンに声を掛けられる。
「はい、あ〜ん
#9829;」
ナイフで小さく切り分けられたハニートーストをフォークで取り、こちらに向けていた。
僕もあーん、と口を広げ最初の一切れが入ってくるのを待つ。
そして、ハニートーストが口の中に入ると、一気に甘さが口の中いっぱいに広がる。
蜜を使った料理は僕も彼女も大好きで、彼女は色々とスイーツを作っていた。
その腕前はパティシエにも負けないほどで、初めて食べたときは、自分もスイーツ作りには自信があっただけに正直ショックを受けたものだ。
だが嬉しいことに、彼女は僕の作る料理を好んでくれて、こうやって結ばれてからは交互に朝食を作るようになった。
「どうかな〜?おいしい〜?」
「うん、ふわふわでおいしいよ。今日も上手だね!」
触角をピコピコと動かしながら笑顔ですぐさま次の一切れを持ってくるあたりよほど嬉しいようだ。
そんな彼女の顔を見ながらハニートーストを味わっていると、ふと数日前のことを思い出した。
僕と彼女はある魔物夫妻がやってる蜜の売店で出会った。
彼女は、そこのアルラウネさんが独り身だったころから彼女の蜜がお気に入りで、よくあそこのアルラウネさんから蜜を集めてたらしい。
アルラウネさんに旦那さんが出来てからはしばらく二人っきりでお楽しみだったらしく蜜が取れなかったが、二人がお店を営むようになったのでそこの売店で買うようになったらしい。
そして甘いモノの好きな僕は近所にできた蜜屋と言うものに興味が湧いて訪れた時に、彼女に出会った。
あの店の中は蜜の匂いで溢れていたはずなのに、何故か彼女の体から発せられる匂いが際立っていた。
どうやら、それは彼女も同じだったらしく、そのままお互い蜜を買うことを忘れ僕は彼女の家に誘われるとお互いを味わうこととなった。
それからと言うもの、僕は彼女の味の虜となってしまった。
彼女の頬を舐め、口内を貪り、胸に吸い付き、秘部にしゃぶりつく。
どこを味わっても甘く、どれほど味わっても飽きることなく、そしていつまでも薄まることもない。
僕はあの店で、最高の蜜を見つけたのだ。
これからもこの蜜を味わい続けられる、そんな喜びに浸っていると気づけばハニートーストをすべて胃の中に納めてしまった。
残念だが、これほど美味しいのに人間である以上食べれる量には限界があるので朝食を終わりにする。
「ご馳走様、最高の朝ご飯だったよ!」
「えへへ〜
#9829;そんなに褒められちゃうと照れちゃうな〜
#9829;」
嬉しそうにしながら食器を片付けようとキッチンに向かおうとする彼女を見ると、蜜の効果かどうしようもなく彼女とセックスしたかった。
今まではムラムラしても素直に言えなかったが、ここ数日の生活で彼女が自分の欲求を否定しないことを体で教えられていた。
だからこの日は、その想いを素直に表に出した。
「お嫁さんデザートも欲しいなぁ…
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