1話
「おはようございます…
#9825;あなた様…
#9825;」
サラリとした髪に留紺色の目…
乙姫様の優しい声で
今日もまた一日が始まる。
竜宮城に連れてこられて早1年…
傍から見れば優しい乙姫と安泰な生活
なんの不自由もなく暮らせて
さぞ幸せだと思うだろう…
しかし、そんな上手い話があるはずがない。
この竜宮城は檻だ。
ここへ来てから1度も外に出してもらえた
試しがない。
そこに彼女はさらなる束縛を加える
故郷への手紙の検閲から始まり、
一日中監視カメラで見張られ続けている。
彼女は優しいが、かなり病んでいる。
異常な愛をぶつけてくる…
「じゃあ…
#9825;朝の儀式しましょうか…
#9825;」
朝の儀式…
お互いに抱き合い、ディープキスを
およそ10分間続ける。
竜宮城に長年伝えられている伝統だそうで
毎日これを強要される…
正直言って慣れないんだよなぁ…
「えっ…その…昨日の疲れg「は…?」
僕が抵抗の意を示すと乙姫様の
目から一気に光が無くなる…
暗く深い吸い込まれそうなほどの
眼でじっとこちらを見つめてきた。
「は…?……なんと言いましたか…?
あなた方が毎日安心して漁ができるのは
誰のおかげですか?
私のおかげですよね?
ならばあなた様のお役目はなんですか?
下等種は精一杯媚びて情けを乞え
ほら…謝罪…」
「も…申し訳ございません…」
「第一、私たちは愛し合っています…
#9825;
愛する者同士のハグやキスは
当たり前でしょう…?」
「は…い…」
機嫌を損ねてはならない。
必死に懇願して許しを乞う。
乙姫様が本気を出せば大津波を起こし
僕の故郷を壊滅させることが出来るから…
「ふぅ…
#9825;分かればいいんです…
#9825;
じゃあ…ほら…
#9825;早くしましょ
#9825;」
そういうとゆっくりこちらへ近づき
壁へと押さえつけられる。
その細腕からは考えられないほどの
力で押さえつけられ、万が一にも
抵抗などできない。
ちゅっ…
#9825;くちゅ…
#9825;
初めはバードキスから…
焦らされるようにゆっくりとゆっくりと
時折目が合う…
絶対に逃さないという強い意志を感じる…
「ずーっと一緒ですからね…
#9825;
私わがままなんです。
だから、あなたのお願いなんて聞きません
まあ、もちろんあなた様も
ここにいたいですよね…
#9825;」
少し答えに戸惑う…
それはそうだ本心を言えば帰りたい…
「お・返・事は…?
#9825;」
少し続いた気まずい静寂は
彼女の一言で破られる。
「んくっ…
#9825;はぃぃ…
#9825;」
彼女の質問に即答できなければ
いつもこうやって急に責めが強くなる。
「逃がさない…絶対に…」
その意志をたっぷりと含んだ責めで
たっぷりとマーキングされる…
甘くとろけるような濃厚なキスで
口ごと溶けるような感覚へと
引きずり込まれ
一種の洗脳の状態へと堕とされる。
「好きぃ…
#9825;好きぃ…
#9825;
愛してますよ…
#9825;大好き
#9825;」
耳元での愛の囁きで
抵抗する意志を削ぎ落とされ
朝の儀式は続いていく。
「このくらいでいいですかね…
#9825;
じゃあ、今日はお休みなので
ゆっくりお話でもしましょうか…
#9825;」
ようやく儀式が終わった。
と思ったら今度は「お話」をするらしい。
ソファまでゆっくりと手を引かれ
彼女の膝の上に半ば無理やり乗せられる。
むにゅんと音がするほどの体に
閉じ込められ、すっぽりとハマってしまった。
とくんとくんと彼女の心音が
僕の背中に伝ってくる。
サラリと髪を撫でられて
「お話」の体制は整った。
「ふぅ…あなた様。
先程の話の続きです…
なぜ戸惑ったのですか…?
私のことが嫌いになりましたか?
どこが嫌ですか?
髪型?顔?匂い?性格?」
いきなり本題だ…
「嫌なところは全て直しますよ…
だから離れないでください…」
迷ったあげく僕は正直な気持ちを伝えた。
「こ…ここから出して欲しいです…
乙姫様には感謝しています。
でも…故郷に帰りたい。
みんなと一緒に暮らしたい…」
乙姫様はクスッと可笑しそうに笑うと
僕の体を強く抱き締め耳元で囁く。
「まあ…
#9825;ついにお義父様とお義母様に?
私、感激で少し濡れて…
#9825;
結婚式の日取りと
それから人生設計も
ぐふふふ…
#9825;ああ…楽しみですわ…
#9825;」
全く意味を理解していないようだ。
本気で僕を旦那に向かい入れるつもりらしい。
「でも…前にも伝えたでしょう?
あなた様
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