1話

ここはとある高層マンション…
ここが僕の家で、唯一と言っていい居場所
身の丈にあっていない。
自分には似合わない。
そう理解していても、
逃げ出すことなどできない。

しんとした空間で
一人、あの人の帰りを待つ。


ガチャッ…

静寂を破るように響くドアの音
玄関まで出迎えに行く。

「ただいま…
#9825;」

「おかえりなさい…」


リリィが帰ってきた。
僕たちの家のルールみたいなもので
毎日送り迎えをするように決められている。

それと…

「はい…
#9825;どうするんだった…?
#9825;」

「お仕事お疲れ様……。キスだよね…
んむ…
#9825;んくっ…
#9825;」

行ってきますのキス、
おかえりなさいのキスを
半ば強制的にやらされている。
リリィはモデルをやっていて、
かなりの高身長なので
体が浮くような体勢で濃厚なキスを
1分ほど続けられる。

「ぷはぁ…
#9825;ふぅ…
#9825;ふくぅ…
#9825;」

1分も淫魔のディープキスを
受け続けると足腰は立たなくなる。
そして、僕が床にへたり込むと
妻はゆっくりと僕をお姫様抱っこして
リビングのソファまで連れていくのだ。

「こらこら…
#9825;大丈夫かい…?
大好きな大好きな僕の王子様…
#9825;
今日も一日お疲れ様…
#9825;
いっぱい気持ちいいことしようね…
#9825;」

このように歯が浮くようなセリフも
一緒に囁かれると、
妻のイケメンな顔も相まって
本気で抜け出せなくなってしまう。

されるがままにソファに座らされてお尻に腕を回されて、拘束される。
ここから、先程までの静寂は
終わりを告げる。

「すぅー…
#9825;いい香りだね…
#9825;
子宮がキュンキュンって…
#9825;
犯したい…
#9825;犯したい…
#9825;って
言ってるよ…
#9825;媚びた雄の匂い…
#9825;
本当に大好き…
#9825;ほら…
#9825;君は?」

髪や首筋、胸元など
体のあらゆるところを嗅がれる
そして同時に脅すように
お尻をゆっくりと撫で回してくる。
顔を近づけているせいで
リリィの甘く、熱い吐息は
呼吸の度に僕の劣情を誘い続ける。

僕は興奮がバレないように
必死に手を握りしめ、拷問のような
時間を耐え忍ぶしかない。

しかし、しばらくすると
急に匂い嗅ぎが止まった。

「おや…?ほかの女の香りがするね…
どうしてだろうか…
チッ…くっさいな…香水の匂いか…
非常に不快だよ…おい答えろ…」

「それは…荷物が届いたから…
受け取った時にちょっと…」

お尻を強く揉みしだき始めた…
まずい…まずい…
妻の機嫌をなだめるように
必死に弁明をするが聞き入れて貰えない。

「んくっ…
#9825;ふぅっ…
#9825;んぃ…
#9825;」

「どうした…?そうやって
配達員にも媚びたのか…?ん?
悪い子にはおしおきが必要だね…
#9825;」

おしおき…
嫌だ…嫌だ…リリィのお仕置は
嫌だ…怖い…

必死に首を振るがどうやら辞める気が
ないらしい。ニヤリと笑うと
耳に口を近づける。

「淫乱な悪い子には再教育しないと…
#9825;
じゃあ…
#9825;

『愛の囁き調教』しようか…
#9825;」


愛の囁き調教。聞こえはいいが
リリィが行う最終段階のお仕置である。

ただ愛を囁くだけ…
そう思うかもしれないが
そんな単純なものではない。


「ふぅ…なんで僕だけを見てくれないんだ?
最近は少し忙しかったから
油断してたよ…
#9825;
明日は久しぶりに全休だからさ…
#9825;
いっぱい絡み合おう…
#9825;」

そう言うと、痴漢しているかのごとく
ねっちょりと体を密着させる。
お尻をゆっくり撫で回し
余った手は乳首の周辺をなぞり始める。

「ん…
#9825;んっ…
#9825;ふぅ…
#9825;んふぅ…
#9825;」

耳に近いせいで、妻の喘ぐような声が
聞こえてくる。

「君って自覚してないけど
幸せものなんだよ?
妻は世間で話題のイケメンモデルで
こんな高層マンションに住んでいる。
しかもいっぱい愛されて…
#9825;
なにが不満なのかな…
#9825;」

「ふ…
#9825;不満じゃ…
#9825;ないから…
#9825;」

反論するとお腹のあたりが
急にじんと熱くなる。
妻の淫紋が作動したのか…

「じゃあ、僕以外の女性なんか見るな…
分かった…?返事は?」

「分かりました…
#9825;」

ちゃんと返事をすると
妻は頭を撫でてくれる。
仕事の時のキリッとした雰囲気は
残しつつも、優しく甘やかしてくれる。

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