1 お姉さんとの出会い
連休に入って3日目。諸々の用事も終わり、
ようやく遊びに出かけた。
そんなわけで電車に揺られながら
ぼーっと座っている。
どうやら、乗客は僕一人だけらしく
ゆったりとした時間が流れる。
車窓から見えるのどかな風景
少し暖かい空気と静謐に包まれ
少しうたた寝してしまう。
「○○
#12316;、○○
#12316;。」
電車のアナウンスでふと目を覚ますと
一人の女性が乗車するのが目に入る
整った顔立ちに僕よりも高い身長。
長い桃色の髪をなびかせた
綺麗なお姉さん。
天使族の方だろうか…
背中から翼が生えている。
突然の登場に僕はじっと見つめたまま
動けなくなってしまった。
そんな僕に気がつくと
お姉さんは少し微笑んで、
こちらに会釈する。
す、すごい……
見てたの気づかれちゃったかな…
見つめていたことを感ずかれたのが
恥ずかしくなって
さっと目線を外して、俯いてしまう。
ただ、足音からお姉さんが
こちらに向かって歩いて来るのがわかる。
逃げることも出来ずに、ただ俯いたまま
きゅっと目をつぶっていると
そっと声をかけられる。
「すみません…、怖がらせてしまいました
よろしければお隣よろしいですか…
おひとり様同士ですし
お話相手になっていただければと…。」
優しく、甘いその声に
キュンと音がするほどに胸が高鳴る
まるで、初恋の時のように
心音が止まらない。
そんな気持ちに気付くはずもなく
お姉さんはすっと隣に座って
心配そうにこちらを見てくる。
「大丈夫ですか…お水…
気分が悪いなら次の駅で…」
お姉さんに気をつかわせたままでは
さすがに居心地が悪すぎたので
深呼吸してから、話し始める。
「だ…大丈夫です。すみません、
ご心配をお掛けしました。」
どこからか花畑の匂いがする。
高鳴りを助長させ、
お姉さんに対する好意が
さらに強くなってしまう。
「そうですか……人間さんは
無理しがちですから……
頑張り屋さんですね…
#9825;偉いですよ…
#9825;
あっ…手を握れば
少し楽になるかも…
#9825;」
「あっ、の……手はさすがに…
大丈夫ですから……」
さすがに恥ずかしかったので
握られるすんでのところで
手を引っ込めた。
お姉さんは少し不思議そうな顔で
こちらを覗き込んでいたが
理解したのか微笑みをこぼす。
「人間さんは純真ですね…
#9825;
まったく…
#9825;そういうところも
大大だ
#12316;い好きですよ…
#9825;
さすがに誘ってますよね…
#9825;」
み…みみ……耳元で…!
大好きって…
さっきからなんなんだ…
先程から、自分のペースをガタガタに
崩されて、余裕がなくなってしまう。
胸は強く鼓動を打ち続け、
お姉さんにも聞こえるのでは
と思うほどに激しく音を鳴らす。
先程までの静寂とは打って変わって
あたりの静けさがなくなったかのように
感じる。
「今日はどちらまで…」
「××まで…遊びに…」
そんなことも露知らず
お姉さんはそのまま雑談に入った。
僕も粗相があってはいけないと思い
必死に話について行く。
「お姉さんは天使族の方ですか…?
その、背中の翼…」
「あら…
#9825;隠し忘れてました…
#9825;
ふふっ…
#9825;そうなんですよ…
#9825;
フーリーという種族です…
#9825;
愛の天使ですよ、愛の…
#9825;」
気になっていた事を質問すると
やはり予想はあっていたようで
翼を見られたことが恥ずかしかったのか
少し赤面しながら、お姉さんは語った。
笑った時、口に手を当てる
時折、髪を耳にかけ直す
一つ一つの細やかな仕草ですら
気になってぽーっとしてしまう。
そんなこんなで話していると
終点に着いた。
辺り一面すごい花畑で
車内にふわりと陽の光が差し込む
「お姉さん、終点ですよ。
目的地一緒だったんですね
おn、お姉さん…?」
何故かお姉さんは僕の膝の上に手を置き
肩に頭を乗せた。
まるで恋人かのようなその仕草に
どぎまぎしているうちに
電車の扉が静かに閉まる。
「お、お、お姉さん!?大丈夫ですか?
今、車掌さんを呼んできますかr」
「やっぱり優しいんですね…
#9825;
大好きです、大大大好き…
#9825;
でも行っちゃやーですよ。文也さん…
#9825;
もうすぐ着きますからね…
#9825;」
いきなり手を握られ
無理やり席に縫い付けられるように
固定される。
えっ…なんで……、すご……
髪の匂いがもろに鼻に……
というかなんで僕の名前…
まあ、いいか…どうでも……
お姉さんの匂いを嗅いでいると
思考が急に鈍ったように感じる。
気に
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