20XX年ーー地球の魔界化は完了し、地球人の男は全てインキュバスに、女は魔物娘へと変化した。その結果戦争と貧困、飢餓は根絶され、ブラック企業や憎悪犯罪、汚職・贈賄といったその他の根深い問題も一挙に解決した。
「ホッホッホッ、ワシがちと本気を出せばこんなモンじゃよ!」
そして、地球に派遣されていた魔物娘の内、バフォメット・魔女・ファミリアのトリオの働きはめざましく、まさに彼女達の尽力がこの地球を救ったと言っても過言ではない。
ーーだが、やがて事態は予想だにしない方向へと転じていく。
「地球人を全て魔物娘とインキュバスに変えたのは、ただ地球環境と人類を救うためだけではない。
ワシの真の目的ーーそれはこの地球の支配じゃ!」
なんとバフォ様はここで恐るべき真の目的、大いなる野望を露わにする。
「仕事もせずに毎日TVゲームをしていても怒られない世界。それがワシの理想なのじゃ! 今ここに、ワシは己の理想を実現する!」
こうしてバフォ様はこの地球の女帝となり、全てを支配した。
『バフォ様はクソ。あのポンコツが地球の女帝とか笑える』パソコンカタカタ
「今お前ワシの悪口をなんjに書いてたよな?」ガラッ
「うわああああああ何故俺んちに!?」
女帝に逆らうことは一切許されぬ、息苦しい監視社会。
「陛下! 借金は増えるばかりです!」
「ならば一万円札を目一杯刷りまくるのじゃ。余った分はワシのソシャゲの課金用とエロ漫画・エロ同人誌・エロゲー・AVその他の購入用の資金に流用しとくんじゃぞ」
「そんな!? 現在日本の借金は5000兆円を超えておるのですぞ!? そんなことをすれば日本円の信用が暴落して一気にデフォルト(債務不履行)を起こしてしまいます!!」
「やかましい! ワシに理解出来ぬ難しい経済用語を言うな!!」
「な、ならば一体どうするおつもりで……」
「いざとなりゃ借金を棒引きすればいいのじゃ!!」
魔界化・魔物化により種々の問題が一挙に解決したはずが、相次ぐ暴政により結局状況は以前よりもさらに悪化した。このように、救世主扱いから一転、いつしかバフォ様は地球の癌細胞となっていった。
「陛下! 一大事にございます! 異世界から魔王軍がバフォ様を討伐するため大軍を編成しているとの情報が!」
「ほう、そうか。クククク……そろそろ来る頃じゃと思っとったワイ」
やがてそんな地球の現状を見かね、図鑑世界より魔王が自ら軍を率い、地球に降臨しようとしていることが発覚した。
「魔王よ。おヌシがそっちの世界の魔物娘が増えれば増えるほど強化されるように、ワシも地球全てから恩恵を受けておるのじゃよ」
魔王は魔物娘の数が増えれば増えるほどその力が増す。しかし、バフォ様は地球を支配する過程でその法則に細工を施しており、なんと地球の魔物娘から与えられる分の魔力を魔王でなく自らへと向かうようにしていた。そのため、それらの魔力を吸収し続けたバフォ様は魔王の娘であるリリムですら及びもつかないほどのパワーアップを遂げていたのである。
「バフォイスター・バフォウリー!! 私があなたを地球に派遣したのは地球の人々を苦しめるためではないのよ!!」
「魔物娘でありながら権力と金に溺れ、人々をその時の気分で弄ぶ。これ以上その様を僕達は見ていられない!」
やがて、大軍を率いてやって来た魔王とその夫。
「ホッホッホッ、カモがネギを背負ってやって来たワイ」
「何ですって!?」
「分からんのか魔王よ? ならば教えてやるワイ」
バフォ様は全身から空間が歪むほどの魔力を放出する。
「最早おヌシの時代ではないーーワシの力はおヌシをとっくに超えておるのじゃよおおおおおお!!!!」
マジキチスマイルを浮かべ、バフォ様は両手から光線を放つ!
「きゃああああああああ!!!!」
「うわああああああああ!!!!」
防ぐことも出来ずに直撃し、絶叫を上げる魔王と夫。
『『BOWN!!』』
しかし、それも長くは続かなかった。バフォ様の変身光線を浴びてしまった二人はやがてこんがり焼けたマンガ肉へと変わってしまったからだ。
「ほう、さすがは魔王。美味そうな霜降りじゃワイ!」
二つのマンガ肉をそれぞれの手に持ち、頬張るバフォ様。
「ん〜〜〜〜ほっぺが落ちそうじゃ
#9829;」
「「「「「「「「………っ!」」」」」」」」
主君があっという間にこんがり焼けた霜降り肉に変わり、それが美味そうに頬張られるのを唖然とした様子で見守るしかなかった魔王軍。
「ふぅ、美味かったワイ………ん?」
あっという間に平らげたところで、空を覆い尽くすほどに浮かぶ魔物娘達を見上げるバフォ様。
「図鑑世界から連れて来られた魔王軍か……いつかは故郷に帰れるといいの
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