「動くなお前達!! 今よりこの学校は我等が占拠した!!」
ある日、高校がテロ組織に占拠された! 早速各階教室にテロリストが送り込まれ、生徒と教員を人質に取る。
「あわわ……」
「ひぃぃ……」
覆面の暴漢達に自動小銃を向けられ、恐れ慄く生徒達。だが、その中で一人だけ動じない少女、いや幼女がいた。
「ホッホッホッ………」
その姿は周りと比べ、あまりにも異質だった。背丈は周りの少年少女と比べても頭二つ分小さく体型もスレンダーだが、それ以上に目立つのは頭に一対の山羊の如く曲がった角と、臀部にふさふさした尻尾が生えていることだ。
とはいえ、教室の女子生徒達の顔面偏差値があまりにも低いのとは対照的に、恐ろしいほどに可憐な美幼女ではあるので、そういう意味でも一際目立つ。
(あまりにもスキだらけじゃ……)
事の成り行きを見守っている内、やって来た連中がテロリストとは名ばかり、所詮銃を手にイキがっているだけの素人だと気づいてしまった。
「げごぉ!?」
それからの彼女の行動は早かった。席から立ち上がって即座に左手から放ったマナ・ショットは暴漢の一人に命中、吹っ飛んだ男は黒板にめり込む。
「死ね!!!!」
仲間がやられて怒ったもう一人が美幼女目がけ銃を撃つもーー
「あくびが出るわい」
撃った弾丸は全て美幼女の右手に吸い寄せられ、そのまま受け止められてしまう。
(!? 消えーー)
撃った弾を床にパラパラ落とした美幼女が目の前より消えたのを認識した瞬間、既に首に手刀が叩き込まれ、意識が飛んでいた。
「き、きききき貴様ああああああ!!!!」
仲間二人が瞬殺され、恐慌状態に陥った最後の一人が自動小銃を向けるが、その瞬間既に右手で銃口を掴まれ銃身がへし曲げられていた。そして左胸のポケットに差していたナイフを抜く暇もなく、ジャンプした美幼女に胸ぐらを掴んで投げられ、そのまま教卓に叩きつけられて気を失った。
(バフォちゃん、あなた一体何者なの……!?)
クラスのマドンナ(笑)が美少女の正体を訝しむも答えは出なかったーー
「おぇぇクサぁッ!! 早く換気しないとマズいですよ!!」
「バフォ様目を覚ますニャ!!」
「う……うへへぇ………ウヒヒィ………………」
「ヤバいニャ!! ラリってるニャ!!」
「プラモの塗装するなら、ちゃんと換気してくださいよぉぉ!!!!」
全てはバフォメットの見た幻ーーーー窓を開けずにプラモデルの塗装をしてしまったせいで発生した大量の気化したシンナーを吸い込み、昏倒した際に見た幻覚であった。
「窓開けたニャ!!」
「いっけぇぇ〜〜!! 【ハイ・ウインド】!!」
ファミリアが部屋の窓を開け、そこへ魔女が風魔術によってシンナーを排出した。
「う〜〜ん………ハッ!」
1時間後。うめき声を上げ、ようやく目を覚ますバフォメット。
「テロリストは!? テロリストは何処なのじゃ!?」
「「………………」」
すぐさま慌てて起き上がり、居もしないテロリストを探す。しかし、その様を見つめる魔女と使い魔の目はそれはそれは冷めたものであったが、必死であった彼女は気づかなかった。
「……そんなものはいませんよ………」
恐ろしく冷淡な声でそう上司に告げる魔女。
「お、おう、そうか………」
バフォメットもここでようやく状況を把握したらしく、赤面しながら慌てて取り繕う。
「「………………」」
「えぇい! そんな目で見るな!!」
癇癪を起こすも、後の祭り。元々低かった信用がさらに落ちてしまったのだった。
彼女達“魔物娘”はこの地球とは違う異次元世界の出身である。
彼女等の世界では、かつてあった巨大帝国との大戦に決着がついた後、魔物娘と人間は共存、いや一体化してかつてない繁栄を遂げた。けれども、その繁栄はやがて人間・魔物娘共に人口爆発を起こしてしまう。そのため、魔物娘の一部は新天地を求め、異次元よりこの地球へとやって来たのだった。
しかし、異次元人がいきなり大挙してやって来たところで、原住民である地球人との間に軋轢・争いが生ずるのは必定。そのため、魔物娘の長である魔王はまず少数の者を遣わし、地球の現状を見定めることとした。その一環として、このバフォメット・魔女・ファミリアの三人が日本・東京に送り込まれたのだ。
三人は魔王軍の支援の元、東京上空に空中要塞を築き、そこから下界の人間達の観察を日々行なっている。
「オラオラオラオラ!!!! ロックバスター連射じゃああああ!!!!」
だが、偵察隊のリーダーであるバフォメット(通称:バフォ様)は重大な使命を帯びておりながら、現代日本の文化にすっかり毒されてしまった。今では親元から離
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