ーー空中要塞ーー
ある日、魔女達が魔王軍の書類仕事を、その隣でバフォ様が仕事をサボってPS2で格ゲーをやっていたところで事件は起きた。
「魔王軍警察だ! 全員そこを動くな!」
「「「「!」」」」
急に仕事部屋の床にポータルが開いたかと思うと、複数の魔物娘達がやって来たのだ。
「バフォイスター・バフォウリー! お前には麻薬取締法違反と公金横領その他の容疑がかかっている!! 私達と共に来てもらおうか!!」
「っっ!」
驚いて固まる部下達。しかし、上司だけはダッシュでその場から逃げようとした。
「ふんっ!」
「のじゃああ!!」
しかし、すかさず警官のレンシュンマオが背中に背負っていた竹竿をバフォ様の背中に叩きつけ、転ばせて制圧する。
「はなせ! 濡れ衣なのじゃああ!」
「バフォ様…」
見苦しくもがく幼女上司を見つめる部下達の目は疑いに満ちていたが、それも今までの振る舞いからして当然であろう。
「地下室にメトロン結晶がありました! すごい量です!」
そのまま警官達が部屋を捜索したのだが、すぐに大量のメトロン結晶が発見された。
「300kgはあるぞ! 貴様、これを地球人達に売り捌くつもりだったな!?」
「ち、ちがうのじゃ!」
「300kg!? バフォ様アンタそんな量の薬物を隠し持ってたんですか!?」
隊長のサキュバスに詰問され、バフォ様は必死で弁明する。
何らかの違法薬物に手を染めていたのは知っていたが、まさかこれほどの量をこの場所に隠し持っていたなどとは部下3人も知らなかった。
※ちなみにメトロン結晶の末端価格は1g当たり日本円換算で約2万円、300kgならば60億円である。
「この前レスカティエで摘発された麻薬カルテルの顧客リストの1番最初にお前の名前があった。そんな扱いになるとは相当なジャンキーだったらしいな」
「そ、そんなはずないのじゃ! ワシはきっとこやつらにハメられたのじゃああ!!」
「「「!!??」」」
なんとバフォ様はこの期に及んで3人を指差した。罪を3人になすりつけることで自分だけが助かろうという汚い魂胆であろうことは明白であった。
「おい、この部屋の照明を消せ!」
「はっ!」
隊長に命じられ、隊員のレンシュンマオは部屋の照明のスイッチを切った。
「!? 何なのニャこれは!?」
「ぶきみなんだよ〜!」
すると、暗がりの部屋の中でバフォ様の双角が異様な赤みを帯びた光を放っていた。
「やはりな。メトロン結晶の重度の依存症となった者は角が赤色に光るのだ」
「のじゃああああ!! こ、これは単なるファッションで特殊な蛍光塗料を角に塗っているだけなのじゃああああ!!!!」
冷たい目で見据える隊長に対し、あまりにも苦しい言い訳をするバフォ様。
「こいつを連行しろ」
「うっ!」
しかし、ここでバフォ様は苦しそうな声を上げて急に床にうずくまる。
「バフォ様どうしたのニャ!?」
心配したファミリアが駆け寄るがーー
「うっ!」
密着した瞬間、バフォ様はファミリアに周りから見えない位置で腹パンをくらわせ気を失わせる。
「キャットちゃんどうしたんですか!?」
「どうしたの!?」
今度はファミリアが倒れこみバフォ様に抱えられたため、魔女とリビングドールは驚いて声をかける。
「もう私は罪を重ねるのに耐えられないのじゃニャ。だからここで全てを告白するのじゃニャ」
バフォ様に抱えられながら、ファミリア?はボソボソと喋りだす。
「本当はメトロン結晶を乱用していたのは私なのじゃニャ。だから逮捕されるべきはバフォ様じゃなくて私なのじゃニャ」
「バフォイスター・バフォウリーを逮捕しろ!!!!」
だが、魔術によってニセキャット・ゴールドスウェイトそっくりの声に巧妙に変声(しかも生意気にも無詠唱)という真似までしたのにもかかわらず、バフォ様のファミリアを利用した腹話術はあっさりバレてしまった。
まあ、そもそもバフォ様の角が赤く光っていた時点でこのバフォメットが薬物乱用者だというのは明白だったため、無駄な努力ではあったのだが。
「犯人はこやつらなのじゃああ!!!! ワシはハメられたのじゃああああ!!!!」
「それと貴様は公金横領もやっただろう!! 妙ちくりんな戦闘ロボを造るために魔王軍の今年の予算の一部を横領したのは分かってるんだぞ!!」
「それも犯人はこやつらなのじゃああああ!!!!」
「悪徳政治家かお前は!? 部下に全部押し付けて自分は助かろうなどと卑劣な真似はさせないぞ!!!!」
バフォ様は抵抗するも結局魔術封印の手錠をかけられてしまった。
「11時35分、逮捕」
「ワシは無実なのじゃああああ!!!!」
「私を気絶させて身代わりにしようとしておいて
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