チーム「鶯」結成

(まさか…こんな事になるとはな)


後始末を終えた二人はそれぞれ運転席と助手席に座ってくつろいでいた


「そういえば、セツナ」

「ん?なんだ」


助手席に座る瞬が

運転席に座っているセツナに話しかける


「お前どっから来たんだ?ここら辺じゃあお前みたいな奴は見たことないし、第一魔物が乗るFDは見たことない」

「どっからってわけじゃないが、アタシの相手に相応しい奴を探して全国の峠を遠征してたんだ」

「全国!?それで今まで相手がいなかったってことは…、全員ブッちぎったってことか!?」

「そうだが?しかも皆口ばっかりだったな、走り出したら皆いつの間にかバックミラーから消えていた」

「まじかよ…」


セツナの話に度肝を抜かれる瞬

改めて魔物の凄さを痛感するのだった


「でもお前は違った、あれだけ負けなしだったアタシが…ついて行くのがやっとだったんだからな」

「しかも一度抜いたと思ったら…ラストで横に並ばれた、お前があそこでミスをしなかったらアタシは負けていた」

(へぇ…そうだったのか、俺にはかなり余裕ある走りに見えたけどな…)

「そういえば、お前の走行ラインとリズムは独特なものだった…正直あれをコピーできていなかったらアタシはついても行けなかった」

「だから同じラインを同じペースで走ってきたのか…、てか一目見て一発でコピーできるなんてすげぇな」

(これはもう魔物だからってだけじゃないよな…、絶対なんか天才的な何かを持ってんだろ…)


セツナのありえない武勇伝を聞きながらそう思う瞬


「そういえば俺が抜かれた後、お前が乗るFDからなんか不思議なオーラが出てたな…」

「へぇ〜!どんな?」

思い出したように話した瞬の言葉に

興味津々といった様子で聞くセツナ


「いや…なんか…、見てると胸の奥が熱くなって…ストレートに言うと…恋?みたいな」

「プッ、あはははは!!」

「笑うなよ…」


瞬が言った事が可笑しかったのか

愉快に笑い出すセツナ


「それって後半の低速のあたりだろ?その時にはもうアタシは瞬に惚れていたから、その愛が伝わったんだろう」

「ははは!なんだよそれ!」


楽しそうに会話を続ける二人

この後も会話は続き

FDが動き出したのは

さらに三時間後だった―



一週間後――



―とあるファミレス―


「おいどうした瞬、妙にげっそりして」

「いやさ…昨日の夜、セツナに散々搾られてな…」

「ああ…確かサラマンダーだっけ?」

「魔物は性欲に忠実だかんな〜」


ファミレスの一角

瞬と三人の若い男たちが集まって駄弁っていた

三人は瞬の走り仲間である

一人は高橋 渉

愛車はスバルのIMPREZA WRX type R STi Version V [GC8] だ

瞬の顔を見てげっそりしてると言った男だ

サラマンダーか?と聞いた男は山本 隆文

愛車はスズキのHB21S アルトワークスR [HB21S]だ

走り屋には珍しい車だが車重が軽く下りでは恐ろしく速い

最後の性欲に忠実と言った男は高島 優

愛車は日産のSKYLINE GT-R V・specII Nur [BNR34] だ

優のGT-Rはチューニングがヤバく馬力が最高で800psもでるモンスターマシンだ

三人とも瞬の学生時代からの付き合いで

学生の時もこうやってよく集まって車の事で駄弁っていた


「まさかお前にこれができるとは思って無かったよ」


そう言って片手の小指を上げてみせる隆文


「確かにな〜、しかも相手はあのサラマンダーだろ?」


と渉


「ああ、あいつが言うには全国遠征して全員ブッちぎったらしい」


瞬が言うと


「マジで!?どんだけ速ぇーんだよ!!」

「てかそんなのと互角に走ったお前何者!?」


優が大声で言った


「ほんと、何もんだよお前」


渉が言う


「何もんだって言うけどさ〜、お前らだって十分な実力持ってンじゃん」


そういう瞬

実は瞬以外の三人も結構な実力保持者だ

隆文は七曲がりの常連で

七曲がりの下りなら瞬でも勝てないほどの実力だ

渉はよく椿ラインに瞬とよくつるんで走りに行く

瞬には一歩敵わないものの

ここ一番での集中力はかなり高い

優は重たいRをパワーでねじ伏せる走りをする

上りなら勝てるものは少ない


「あのさ、ちょっと皆に話があるんだわ」

渉が徐に話す

「俺らでチーム作らないか?」

「チーム?」

「俺らでか?」

「そうだ」

「チームっつっても、いったい何すんだ?」

「そうだな…、やっぱまずは地元で上を目指す、そしてある程度勝ち上がったら今度は県外遠征だ!」


チームについて語る渉


「うーん、確かに
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