-椿ライン-
ヴァアアアアアアア!!
ギャアアアアアア!!
瞬「なんだよコレ!?」
セツナ「うグッ!?」
夜も更けきった椿ライン
そこに一台
神の楽器の音色を響かせながら走るFD
瞬は新しく載せ変わったエンジンを試す為に
セツナを横に乗せて走り込みを始めていた
瞬「クッ!ダメだ!踏めないッ!!」
瞬は、その圧倒的なパワーを抑えきれず
振り回されていた
セツナ「なんてパワーなんだ…くぅ…!こんなクルマで峠を走れなんて、自殺行為もいいところだ…!」
瞬「それでもあの人は乗りこなしていた!しかも完璧に…な!?クソッ!!マズイ!!」
ギャアアアアアア…
瞬はコーナリング中のアクセル操作でミスを犯し、スピンしてしまったのだった
セツナ「くあぁぁ!!」
瞬「クッ!」
ガードレールギリギリで停止するFD
瞬「クソッたれ…!…大丈夫か?セツナ?」
セツナ「あ、ああ…とりあえず大丈夫だ。」
瞬「そうか、よかった…。すまなかったな。」
セツナ「いや、いいんだ。フッ…スピンを体験したのなんて何時ぶりだろうな」
瞬「ハハっ…確かにな。」
セツナ「しかしまぁ…ホントにバカげたエンジンだ。」
瞬「ああ…まったくだ。」
-1月前 「Silent Sport」-
瞬達はR26BをFDに積むためにシエラのSilent Sportへ来ていた
エリシア「こやつは、RX-92Pに搭載されていたR26Bというエンジンじゃ」
瞬「RX-92P?」
エリシア「ああ、787Bがレギュレーションの変更でグループCに参加出来なくなった後にIMSA-GTPに参戦するために造られたプロトタイプレーシングカーじゃ」
シエラ「…!?」
エリシア「わしは…そのマシンでサーキットを走るはずだったのじゃがな…。第二戦のマイアミ2時間で車両が炎上してのぉ…。それっきり、手を切られ…わしはあのマシンのステアリングを握る事はなかったのじゃ…」
瞬「じゃあ貴女は元レーシングドライバーなんですか!?」
エリシア「"元"でもない、わしはレーシングドライバーになりきれなかったただの落ちこぼれじゃ」
瞬「そんな…」
エリシア「ま、この間のバトルで全部吹っ切れたのじゃ、気にすることはない」
エリシアはニッとはにかむ
エリシア「話がそれたのう、このエンジンはR26Bじゃが、RX-92Pに搭載されていた時とは使用が違うからよく聞くのじゃぞ。」
瞬とシエラが頷く
エリシア「まず、本来のR26Bは8,500rpmで出力700psの使用じゃが、こやつは1,1000弱まで回せる使用になっておる。」
シエラ「見た目に似合わずなんてバカげた使用なの…」
エリシア「フッ…それでの、1,0000rpmまでブン回した時の最高出力は850psじゃ」
瞬「うわ…」
エリシア「すごいじゃろう、まぁレーシングカーのエンジンをそのまま持ってくればこうもなるじゃろうて」
エリシアはかっかっと笑いながら言った
エリシア「それとじゃ、R26Bは自然吸気じゃ。高回転まで回すことによって、より最大トルクを発揮することができるのじゃ。それに、さきのレブのかさ増しの為にブロックやピストン、コンロッドの強度増し。ヘッド周りやカム1式まで手が入っており、更にエンジンのブレを極限まで無くなるようにあらゆる努力がなされている。つまりより回さなくてはならん。ちなみにこのエンジンのパワーバンドは7000rpm〜11000rpmの間じゃ。じゃからできるだけ高回転まで回し、高回転を維持した走りを心がけるのがポイントじゃ。」
瞬「簡単に言ってくれますね…」
エリシア「ふむ…ま、乗りこなせるかはお主次第じゃ、瞬」
-現在 椿ライン-
瞬「ホントに簡単に言ってくれるよ…。まったく。」
セツナ「ん?どうかしたか?」
瞬「ああ!いや!なんでもない…」
セツナ「そうか…」
二人はこの後もしばらく走り込むが
目立った進歩はなかった
-一週間後 とある喫茶店-
そこには、瞬とセツナ
優とエレナが四人で話している
優「どうだ?新しいエンジンの調子は」
瞬「さっぱりダメだ…」
優「ん?どういう事だ?不具合でもあるのか?」
瞬「いや、そういう事じゃない。確かにすごいエンジンだ。アレは。でも、バカみたいにパワーがあり過ぎるんだ…。」
優「それで手こずってるわけか。」
瞬「ああ…。」
セツナ「載せ換えてからセッティングも含めて半月は走り込んだんだが…。まるっきりダメだ…。」
エレナ「なっさけねぇなぁ。」
セツナ「仕方がないだろう、あれだけのエンジン、すぐに乗りこなせという方がおかしい。」
優「うむ…そうだな、瞬。お前今夜空いてるか?」
瞬「ん?まあ今日も走り込む予定だったけど、とりあえず空いてる。」
優「よし、なら今夜9時に
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