36 男か女か邪気眼か?

……いやぁ、一日寝ずに過ごすって行為がこれほど全身に疲労感を残すなんて思ってもいなかったぜ…
昨日寝るタイミングを捨てて部屋の掃除をし続けていた俺は、今現在夜中の2時…眠いって感情は一切無し!!そして…俺の暇だと思う気持ちが消えることもなし!!というすばらしい状況にいる訳だ…
今からみんなを起こしても多分起きてくれないし、もしも起きてしまったら俺が困ることになるのは目に見えてわかっていることだろ?
だとしたら…俺は一人、チーズを食べながらコーヒーを飲む以外に出来ることが無いじゃないか!!
まったく…どうして全然寝たいって気分にならないんだ…

俺が一人優雅…というには程遠い感じのコーヒーブレイクを楽しんでいると、不意に扉に何かが当たる音がする…今日は風が強いなぁ…
「……苦っ!?あっ…砂糖入れるの忘れてたじゃないかよ俺…やっぱり、コーヒーには角砂糖10個は基本だよな…」
「コーヒーはブラックだからいいんじゃないか…」
のんびりとコーヒーに角砂糖を一個投入したとき、ふいに後ろの方から声が聞こえてきたわけだが……もう驚かないぜ?
俺は頭のどこかでまた俺に似た奴が来たんじゃないかと予想できたんだよ…

案の定、後ろには腕を組んだ俺にそっくりだが、俺よりも台詞が20倍は性質が悪い男が立っていたわけだ…
いつの間に宿に入ったとかは聞かないぜ?俺はなぁ!!

「……あれ?遂に驚かなくなったか?やるじゃん…」
「悪いな、今日はそんなテンションじゃないんだ…今は」
でも、話し相手ができたことは内心…かなりうれしい。
まぁ、その事実を悟らせないように俺は必死に隠したんだが…
え?どうやって隠したかって?あたふたしたに決まっているじゃないか!

「…何あたふたしてるんだか…今日は、お別れを言いにきたぜ…これは名刺だ、とっておきな?」
そう言って、カッコよく名刺を投げてくる…だと?
あいつ…やはり出来るやつだったか…
そう思いながら投げられてきた名刺に目を通してみる…
「えっと…乱鈍 義音子(ろんどん ぎねす)?面白い名前だなぁ…」
「それ……メトリって読むんだが…?」
……えぇ!?め、メトリって読むのかコレ!?ぎねすじゃ無くて!?
…いやぁ、名前ってやっぱりいろいろ難しいなぁと改めて思い直した瞬間だった。

「で…どうしていきなりこんなものを…?」
「もう十分お前のことは観察できたからさ?もう十分だって思ってさ」
「観察?」
…いやぁ、非常に引っかかる台詞だな本当に…観察ってさ?
いや、別に見られていて困るようなことをしていた訳じゃないし、いいんだけどさぁ…
まて、勝手に観察することはいけないことだぞ!?
「そう…観察だ…一回ベースのお前にあって確かめたいことがあって…今回ジパングに来たって事がわかったから確かめさせてもらったんだ」
「ベースって…なんだよ!?」
いろいろ引っかかることがあるんだが、突っ込んだら負けなのか!?
まず、ベースって…何の!?
駄目だ…俺の頭じゃ到底理解できないぜ…

「…俺はな、女だよ!!」
「な…なんだってーーーー!?」
ま、まさか…そんな馬鹿なことがありえていいのか!?
せ、台詞一回だけじゃインパクトが足りないよな…もう一回言っておこう…
「な、なんだってーーーー!?」
正直、本気で男だと思っていたぜ俺は…まさか、目の前の俺に似た人物が女!?みんな、大事なことだからもう一回言うけど…俺に似た人物が女だというのか!?
駄目だ…自分のボディしか想像できない…
いや…想像しようとした現実だけで俺は…いろいろなものに負けていたのかも知れないぜ…

「信じられないだろ…?でも、俺はドッペルゲンガーなのさ!!」
「なっ!?ドッペルゲンガーは男の失恋から発生する負のオーラからうまれるとかどうとか…口コミで聞いた気が…」
「あぁ…そうだよ?」
……あれぇ?口コミで聞いた話だと、女性に振られた場合のはずなんだが…
俺は男だぞ!?発生する確率は限り無く0に近いんじゃないのか!?
いや…むしろ、0だといってもいい状況だろ!?
「そ、そんな馬鹿なことが…」
俺が思わずそうぼやくと、メトリは若干イラついた表情を見せてこう言ってきたんだ。

「お前…昔、告白してきた男いただろ…?」
……そういえば、俺がまだ6歳のときの今頃…髪の毛を切るのが面倒だったから放置していた時代にそういうことを言われたな…
ってことは…ま、まさか!?
「気がついたようだな…そう!!その振られた男はお前のことを男だと思わず、振られたという現実にショックを受けていたんだ!!その負のオーラに引き寄せられ、その男の個人的趣味により髪の毛がショートになって今…ここにいるんだよ!!つまり…その男の心の中では長い髪で顔も見えなかったお前は女扱いなんだよ!!」
「う…嘘だぁーーーー!
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