「・・・」
俺は今日もまた、宿屋にチェックインしたお客さんのリストを見て、とてつもない嫉妬心に駆られていた。
うらやましい…ああうらやましい…
リストには今日泊まりに来たお客さんの名前と部屋番号が記録されており、二階の部屋は新顔のカップルさんがた…下の階にはすっかり馴染み深くなったカップル兼ご夫婦がほとんど…今日は一人で来たお客さんはいなかった。
全部で4組だが、全員どうやら目的は同じらしい。
壁を伝って部屋から営み中の声が聞こえてきて、それが広がっていく。
全員一応声を抑えているつもりなのだろうが…
「全部聞こえてるよ…畜生っ、これはあてつけか?俺に対する!?」
こうぼやきながら俺は耳栓を取り出し耳に当てる。今ではこれは俺の相棒だ。
「さて…今月ももうすぐ終わりだが…今月はまた、カップルがたくさん来たなぁ…」
そういいながら、月の初めから今までの客の名前を見た。どうでもいいことだが前に来たお客が一週間に一度はまた泊まりに来てる。しかも、そのお客さんが変なうわさを流すから、俺の宿屋は夜の営みようの店だと思われ始めている。
これは小さな俺の悩みの種だ。この種が最近急速に拡散している気がする…
種といえば…最近、店の野菜をゴブリンから買うと高くつくが、最近隣の国から越して来たアルラウネの奥さんから買うとなんと年に金貨20枚(現実金で考えると200万円)も安くなるとわかったからだ。ちなみに、ゴブリンから買う野菜は1セット5銀貨(約5000円)もするが、種で買うと5銅貨(500円くらい)だから、これは買わない手は無いと思ってる。
さて…そろそろお客さんも終わったみたいだから寝るとするか…
そして朝…俺は1時間ほど眠ったあと目を覚まし、今はお客さんの飯を作っている。もちろんこれも俺一人でね。
今日のメニューは拡散ニンジンと肉のシチュー(280円)だが、少し寝ぼけて焦がしてしまったために定価より安くしておく。
「さて…そろそろステイ家のかたがたが起きる時間だな…」
俺はこの宿屋で前からお客さんとしてよく来る家族の起床時間が来たのを確認し、またいつもの定位置に戻る。
そして、しばらくして白いシャツに寝癖を少し付けた状態で歩いてくる男の人と、下半身が蛇で、上半身がおとなしそうな女の人の姿のラミアが向こうから歩いてきた。
正確に言うと、一人は這って来た。
「よぉマスター…いつもながら、いい部屋だったぜ?」
「はぁ…」
「本当に…私たちの家よりも住み心地がよくて…いつもすみません」
「はぁ…左様ですか…あ、今日当宿屋でご用意させていただいたのは、拡散ニンジンと肉のシチューでございます。お召し上がりになりますか?」
「ん?あぁ…どうする?」
「ステイが食べたいなら食べましょうよ?ここのシチュー、おいしいし」
「左様ですか…では、食堂にどうぞ。後でそちらにお持ちいたします」
「OK!じゃ、待ってるぜ」
そういって、ステイ家のかたがたは食堂に向かっていく。
まったく…お客様は神様だからそんなにいえないけど…家が近所にあるんだからお金を出してわざわざ俺の店に泊まらなくてもいいじゃないか!
一週間に1回は来るぞあの夫婦…
そして、俺はシチューをステイ家のテーブルのところに持っていき、その場を去ろうとした。
「では…ごゆるりと味わいください」
「ありがとうな?ところで…店主って、奥さんとかはいないのか?前から思っていたのだけどよ?」
「…はい、今もまだ一人でこの宿を経営させております。では、他のお客様の対応もありますのでこれで…」
……奥さんいないのかだと…?いたら今の時期に嫉妬心に駆られて宿屋のお客リストを真夜中にお客様が寝静まるまで見ているものかよ!!
わかっていっているのか、それともただの疑問なのか…まったく…
でも、いいなぁステイさんはあんな可愛い奥さんがいて…
俺も結婚したいぜまったく…
そしてまたもや定位置に戻る俺…一人で黙々と壊れたカーペットの修復作業をやり始め、お客様が来たら本来の仕事に戻る日のやり直しだ。
おっと、早速新しくこの宿に来たお客さんがカウンターに向かってくる。
確か…サイダー家の方々だったな。
夫のサイダーさんは気弱そうな男だ、だが細かなことに気を使いそうな人だったな。
奥さんはバブルスライムらしく、若干からだが流動しており、緑色の線が通った後に続いている。
バブルスライムは臭いがあれだと聞いたが、消臭剤をたくさん撒いておいて正解だったな。ぜんぜんクリーンじゃないか。
「おはようございます…あの…チェックアウトを…」
「わかりました、お食事も用意しておりますがどうしましょうか?」
「あぁ…えっと、その…今回は、遠慮しておきます」
「左様ですか…昨晩は、お楽しみでしたね。では、ご会計、銀貨3枚となります」
「え?そん
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