ある人との出会い

冬の学校からの帰り道、日はとうの昔に沈んでしまい
私は猫一匹すらいない暗くて寂しい路地を
一人深いため息をつきながら歩いていた

「どうしてなんだろうか?」

私は恋をしていた
それも中学の頃の元同級生の
全くファッションセンスも髪型のセンスもない木原ショウタにだ。
そいつになぜか私はどうしてか恋をしてしまった
初めは何気なくあいつのことを考えてしまうくらいだったが
徐々にそれが悪化していき
今では授業、会話中に限らずあいつのことで頭がいっぱいになり
音が耳から耳へと通り過ぎてしまう
そのせいで何度か注意されたこともあった
私はそれが恋だと気づくのにあまり時間はかからなかった

それからというものあいつを思う時間は少しずつ増えていき
あいつに会う時間も自然と増えていった
今では学校から帰るとき自然とあいつの乗る時刻の電車にあわせ
降りた後偶然を装って早歩きに近付き
おっす、またあったね などと声をかけ、
二人だけの時間を楽しむ
それが徐々に私の日々の幸せ、生きる意味になりつつあった

しかしいつになってもそれ以上の展開がなかった
あるときは携帯のメアドを露骨にきいてみたり
あるときは露骨におごってあげたり
あるときは告られたけど断っちゃった、など露骨な主張をしてみたりと
結構露骨なアピールを続けていたが
彼はきっと・・・いや全く気にかけていないのだろう
へぇ〜 そうかぁ〜 しか答えてくれない あの朴念仁め
だが私もあいつのことをとやかく言えないだろう
アピールなどとオブラートに包んだ間接的に思いを伝えるよりも
あいつと向かい合って 好き、と直球に思いを伝えればいいのだ

・・・・・伝えられればいいのだが

はぁ・・・・・・

さっきよりも深いため息が出る
どうしても
どうしてもあいつに告白したとき嫌われたらどうしようという不安が
私の僅かな勇気をかき消してしまう
誰かに相談して後押ししてもらいたかったが
友達に相談したらきっとからかわれるのがオチだし
親にはあまりこういう話題を出したくないので
一人でこの思いをふさぎこんでいる状態にいた
もしも他に恋心を押してくれるような存在
たとえば・・・・

「恋のキューピットとかがいたらなぁ・・・」

そんな非現実的なことを呟いた
いきなりそんなものが出てくるなんて、
なんて私の頭の中はお花畑なのだろうと一人苦笑いしてしまう
まさか、天使だの神だの今の神秘性の全くと言っていいほどない
この現代にいるわけがない
そんなことを考えていると


「あらあらぁ〜そんな難しい顔しちゃってぇ♪
 モテるものもモテないわよお♪」

「・・・・・・・・」

突然前から現れた女性にそんな指摘をされた
その人は
茶色で全体的に軽めのカールがかかっている髪
慈母のようなどこかやさしく、整ったきれいな顔
なでらかな線を描くようなスタイル
今着ている薄緑のワンピースがぴったりと合う
付き合ってくださいと言われれば異性どころか同性までもが
OKしてしまいそうなくらい美しい女性であった

誰だこの人?
馴れ馴れしく声はかけられたものの私の身内にこんな人はいない
それどころか私の記憶にこんな美人にあった覚えがない
しかもこの人何かおかしいと思ったら
この寒空の下で、薄着のワンピースだけというの寒そうな格好をしていた
もしかして変人さんなのかもしれない

「そんな身がまえなくていいのよぉ〜私はあなたの味方なんだから♪」

「・・・・・・・?」

私の味方?
何を言ってるんだこの人は?、そんな風に思っていると

「好きな人に告白できないでいるんでしょ〜?」

「ッ/////!!!」

彼女はクスッ、と笑いながら私にそう聞いてきた
しまった、恥ずかしさのあまり、顔がまるで熱湯をかけられたように熱くなる
どうやらさっきの恥ずかしい独り言が聞こえてしまったらしい


「恋のキューピッド、私が引き受けてもいいわよぉ〜♪」

「・・・・・・・・・」

「私なら恋のお悩みなんて一発解決・・・ってあれ?どこいっちゃうの〜?」

これ以上話が飛躍して厄介なことにならないうちに
早くこの場から立ちさっと方が良い、そう判断し
彼女には悪い気がしたが足早に彼女から離れようとした


しかし

シュ_____バシィ!!

「キャッ!!」

目の前の彼女を振り切ろうとしたとき
突然何かひものようなものに引っ掛かり、無様にも前のめりに転んでしまった

「あらぁ〜大丈夫〜?どこかけがしてなぁい〜?」

そういうと私が無視したにも関わらず
彼女が親切にも私に手を差し伸べてくれた

「ど、どうも・・・・・ッ!?」

彼女の伸ばした手をつかんだ時
私はある重大なことを気付かされた


改めて確認しよう
ここは神秘性もくそもないそんな時代だったはずだ
天使や悪
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