ルーイ視点
「ふあ〜……もう朝か〜、眠いけど朝日が昇ったから起きなくっちゃ。とりあえず井戸で水を汲んでこようっと」
僕はそう考えて身を起こした後にいつものように空の桶を片手に外へ出て井戸に水を汲みに出かける。水を汲んで家に帰るとその水を使って顔を洗ったり、歯磨きをしたりするのに使う。冷たい水が僕の顔と口の中を清潔にしてくれる。目を瞑りながら近くに置いてあった布を取り顔を拭いてゆく。
うん、スッキリした!
スッキリした所で自己紹介でもしておこうかな。
僕はルーイ、12歳になったばかりなんだ。
うーん、これ以外に自己紹介することが無いな。
その内思いつくと思うからいいか。っていうか僕は一体誰に自己紹介しているんだろうか?たまにこういう風に頭の中で独り言みたいなことを考えているんだよね。
不思議だ…
そんなことよりも。
ぐ〜きゅるるるぅ
「お腹減ったな〜。とりあえずパンがまだあったから食べようかな」
ドンドン!
『おーい!起きてるかルーイ!朝だぞー!』
この声ってフサリンだよね?どうしたんだろう?
フサリン、僕の友達でよく食べ物を分けてくれる良いゴブリンなんだ。
ちなみに本名はフサリラっていうんだ。フサリラよりフサリンの方が呼びやすくて良いよね?
「おはようフサリン!」
「おはようルーイ!って寝巻き姿じゃん!?なんで着替えないのさ!」
「あれ?……ああそうか。着替えてなかったよ」
「マイペースだな。ほらさっさと着替える」
「うん。ちょっと待ってね」
フサリンに言われて僕が寝巻き姿のままだったことに気が付いたので着替えるためにドアを閉める。とりあえずタンスからいつもの簡素な服を取り出し、寝巻きを脱いで着替え始める。そういえばいつだったか、フサリンに言われて服を着替えようとした時に何が悪かったのかビンタをされた記憶がある。何が悪かったのかは今でもわからない。その時に言われたのがこうである。
『いいか!あたしだから良かったが他の女の前でそんなことするなよ!どうなっても文句言えないんだからな!』
だっけ?
どうして怒られたのかはよくわからないけど、それ以降は着替えは人の見えないところでするようにしている。
『おーい!まだかルーイ!』
いけない。考え事していたら手が止まってた。僕はすぐに着替えをすませて玄関のドアを開ける。
「おまたせ!」
「まったくだよ。まあいいや朝早くから押しかけたあたしも悪いし」
「それでどうしたの?お仕事の手伝いには早いんじゃないかな?」
実はフサリンってお店持ってるんだよね。僕も生活費を得るためにたまにお仕事を手伝っているんだ。
「いやいや違うよ。手伝いとかじゃなくてさ。ルーイはもう飯は食べたか?」
「これからだよ?」
「そうか!良かったらさ、一緒に食べないか?」
「いいよ!一緒に食べよう!」
「良かった!こいつが無駄にならなくて」
そういってフサリンはカゴを見せる。中身は見えないけど
「もしかしてお弁当作ってきたの?」
「だってルーイ、パンしか食べないじゃないか。たまには栄養のあるものも食べたほうがいいぞ」
「ありがとう!フサリンの作るお弁当美味しいから好きだよ」
「さっきも思ったけどあたしはフサリラであって、フサリンじゃないぞ」
「知ってるよ。でもフサリンの方が呼びやすいし」
「まあ、今更言い直せって言っても治るもんでもないし良いか。それよりも早く食べようぜ」
「そうだね。どんなお弁当か楽しみだね」
そういって家の中に入ろうとした時だった。
「おはよ〜うございま〜す。牛乳を〜届けに来ましたよ〜」
なんともゆったりとした口調の挨拶が聞こえてきた。
「あっ、レナ姉ちゃんだ。おはよ〜う!」
「ルーイ、口調が移ってるぞ」
「あら〜フサリラ〜、おはよ〜うございま〜す」
この人はレナ姉ちゃん。僕の友達三号でホルスタウロスって魔物だよ。(ちなみに一号はフサリンね)レナ姉ちゃんは僕のお昼寝仲間でもあって仲が良いんだ。お昼寝がしたくなったらレナ姉ちゃんを探して一緒に寝ると凄く気持ちよく眠れるんだよ。
「はいはいおはよう。牛乳配達か?」
「はい〜。新鮮なのが〜取れたんです〜。だから〜持って来ました〜」
そう言ってリアカーに乗せている牛乳を見せてくる。
「でもルーイは契約してないだろう?」
「ルーイは〜友達だから〜無料なのです〜」
「おまえ…その調子でタダで牛乳を配ったりしてないか?」
「そんなこと〜ないですよ〜。ちゃ〜んと売ってますよ〜」
「まあ、別にいいけどな。それより牛乳置いたらさっさといけよ。これからルーイと飯を食うんだからな」
とフサリンが行った行ったと追い払うようなしぐさをする。
むっ、いくらフサリンとはいえ友達を追い払うマネは許せないな。
「駄目だよフサリン。せっか
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