アカオニ 【カンナ】

いらっしゃい!あんただね?オレを指名してくれた男っていうのは。
知ってると思うけど、オレはアカオニのカンナだ。短い時間だと思うけどよろしくな♪そんじゃさっさとやろうぜ。よいしょっと…。

ん?どうした?そんなとこでボケっとしてないで早くココに横になって頭乗っけろよ。
あん?なんであぐらなのかって?
このほうがやりやすいからに決まってんじゃん。
グダグダ言わずにさっさと頭乗せろ!

よーし♪そんじゃまずは中を拝見させてもらうぜ。
……
……
少し垢がこびりついてるけど大体綺麗だな。あんた、たまに耳掃除してるだろう。

何でわかんのかって?
この仕事してるとよ、いろんな奴の耳の中を見るから自然とそういうことがわかってくるんだよなー。
その顔、さてはオレがそういう知識を持っていることに驚いてるな。

あっはっはっは!そう怯えんなよ取って食うわけじゃないからさ。あんたが驚くのも無理は無いさ、鬼がこんなみみっちい仕事してるってだけでおかしな話なのにそれっぽい話までされたら、そりゃ驚きもするわな。
ついでだからオレの耳かきの技術にも驚いてもらうかな。
そんじゃ入れてくから、じっとしてろよ。

コリ…コリ…コリ…コリ…

こうやって軽く引っかいてやると耳の中の産毛に引っかかって、むずむずしてくるだろ?
くすぐったいような感覚だと思うけど…だんだんとそれが気持ちよく感じてくるはずだ。

そうか、気持ちいいって言ってくれるとオレも嬉しいよ。これな、耳の中を刺激して垢を取りやすくする技術なんだってよ。
難しいことはオレも良くわかんねんだけど、実際にやってみるといきなり耳垢を取るよりはこうやって刺激をしてからのほうが取りやすいんだ。
初めての時なんかはいきなり奥の方から取ろうとした所為で、そん時の男がすげえ悲鳴をあげるんだよ。あれはビックリしたね。

あっはっはっは!大丈夫、大丈夫!今はここの旦那に耳かきの技術を叩き込まれたから、怪我をさせるなんてへまはしないさ。
さて、そろそろ垢も取りやすくなったころかな?
奥の方へ入れてくぜ。

こいつだな。少し大きいけど、こうして…

ジャリ…ジャリ……
ジャリ…ジャリ……ザリッ!

っと…うし!取れたぜ。落ちるといけねえから、動くなよ。

…………ほら!こいつが奥にこびりついていたヤツだぜ♪
けっこう大きいだろう。
そんじゃ、この綿のほうで仕上げするからな。

シュルシュル…シュルシュル…

どうだ気持ちいいだろう?
垢を取る時は動くまいと体を強張らせるからな。
力を抜いた後はいつもより感じやすくなるから、たまらねえだろう?
 
いいねえ♪そのトロンとした表情を見るとこっちも嬉しくなってくるよ。
ちなみにこれをこうすると…

シュルルルルル…!シュルルルルル…!

さらに気持ちよくなる。
回転させながら出し入れすれば、耳の中全体を刺激できるからな。
どうだい?気持ちいいだろう?

って聞くまでも無さそうだねえ♪
ほいっと、こっちの耳は終わりだ。
次は反対だ。悪いけどゴロンって転がってもらえるかい。

はいありがとさん。
そんじゃこっちの耳はどうなってるかな?

ん?さっきよりちょいと大きい塊があるね。
こりゃ取りがいのある垢だね。
とりあえずはさっきと同じように手前を刺激するぜ。

コリ…コリ…コリ…コリ…

なあ、あんた。これが終わったらさ、オレと一緒に酒でも飲まないかい?

仕事中に酒飲んでいいのかって?
なあに大丈夫さ。今日はこれで上がりだし。仕事を終えたらやることなんて無いからね。
オレは仕事を終えた後に酒を飲むことが一番の楽しみなんだ。
でも一人で飲むって言うのもそれはそれで寂しいじゃないか。だから、いつも仕事の最後にこうやって酒を飲まないかって持ちかけてるのさ。

心配しなくても、お銚子1本だけだから酔いつぶれることはないよ。
なんで1本かって?
そりゃ、仕事をする身だからな。
酔いつぶれたら仕事にならないだろう。

……っていうのは建前で、実はココの旦那に酒代はお銚子1本分しかもらえないんだ。

そりゃ最初は不満だったよ。でも慣れてくるとな、酒をゆっくりと味わうことをできるようになったからそれほど苦じゃないさ。大量に飲んでいた時は味なんざ気にしなかったからな。今思うともったいない飲み方をしてたんだな。

よし、そろそろいいな。
いよいよその塊を取り除くぜ。

こうやって、引っ掛けるようにして…

ジャリ…ジャリ……
ジャリ…ジャリ……ザリッ!

よし!取れた!

と思ったら、平べったいのが残ってるな。
しぶといやつめ。

ジャリ…ジャリ…
ジャリ…ジャリ…
ベリッ…ベリリッ…ザリッ!

ふうー、取れたぜ。
そんじゃ仕上げだ。さっさと終わらせて飲みに行こうぜ!

シュルシュル…シュルシュル…


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