「うわぁーすんごいいっぱい人がいる」
あたしは今姉貴に言われて、商業地区に来ている。
今回のあたしの任務は商業地区の散策なのだ。
しかしよくよく考えてみると不思議なもんだな、もしあそこで姉貴に会わなければ今頃あたしたちは盗賊まがいなことを続けていたんだろうな。
姉貴に会えたからこうやって堂々と街も歩ける。人生(?)って不思議だな。
「それにしてもなんでこんなに人がいっぱいなんだ?きょ・・じゅう・・・くだっけ?あそこはそんなに人もいなかったのになぁ」
カリンが不思議に思うのも無理はない、いろんな人や魔物がそこらじゅうを行ったり来たりしているのだから。
「もうすぐ夜になりそうだから、急いで散策しちゃおうっと」
カリンがいうとおり時間は夕方の5時あたりを指していた。
しばらく歩いていると左右に道があるのが見えた。
「道が三つもある、どうしよう?・・・そうだバフォ姉ちゃんからもらった地図があったっけ」
そう言ってズボンのポケットからアーニーからもらった地図を取り出す。
地図は商業地区を書いたものでどこにどういったものがあるかが書かれていた。
今現在いる場所はどうやら大通りの西側で飲食街と商店街の間にいるらしい。
「う〜〜〜〜〜ん・・・・・」
カリンが頭をひねってどちらにいくか迷っているようだ。
「よし!ご飯は最後にしよう!ということで右にレッツゴー!!」
あたりに人がいるのにもかかわらず、元気に声を出して商店街に向かうカリン。
ちなみにまわりの買い物客や冒険者たちはその光景を元気な娘だなとほほえましく見ていたそうな。
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カリンは商店街を歩いていた。
商店街はエリエール市民が生活必需品や食料を買う場所である。
その品揃えは豊富でシンボリ大陸で手に入る物から他の大陸から輸入した物まで何でも揃っている。
しかし生活必需品などの日用品のように腐らない物はまだしも、食料といった物は腐らないかと心配になってしまうだろう。
ところがギッチョン、二年前アーニー率いるサバトがそんななま物を扱う商売人にとっては最高だと言える物が開発された。
そう冷蔵庫である。
しくみとしては冷気が発生し続ける術式を開閉可能な箱の内側に書き込むという単純な物だったが、これが商売人に大当たりした。
いままで鮮度を保つために大量の氷を氷屋に駆け込んでは買いに行く毎日だったがこの冷蔵庫の登場によって、毎日氷を買いに行くという労力と財力を使わないで済むようになった。
余談ではあるがこの冷蔵庫の登場によって氷があまり売れなくなり、数々の氷屋が潰れていったのである。
最近ではアーニーが冷凍庫なる物を作るという噂を聞き生き残っている氷屋は断固反対と言って、アーニーのサバトに抗議活動を行っているという。
「ここはさっきよりも人がいっぱいだぜ」
カリンは商店街でも激戦区に当たる食料品街に来ていた。
「みなさーん、おいしい野菜はぜひうちの旦那様の仕入れた野菜をかってくださいねー」
今聞こえたのは八百屋の前で客引きをしているオークの声だった。
その効果のせいなのかその八百屋にいるのは鼻の穴を延ばしながら買い物をしている男連中だった。
どうやらオークの胸を凝視しているようだった。
「お客さん鼻の穴を延ばしている暇があったら、買い物してくれませんかね?商売の邪魔なんですよ」
この声はどうやら先ほどのオークの旦那様らしい、声を聞く限り少し怒気がはらんでいるようだった。
「男の人ってやっぱり胸が大きいのが好きなのかな・・・」
自分の胸に手を当てつつ、少ししょんぼりした様子で八百屋の前を後にした。
「いらっしゃいませー、海鮮魚屋の鮮度のいい魚はいかがですかー!」
「・・・・・・・・」
また声が聞こえてきたので思わず止まったカリン。
そこには活発に声を出し元気に魚を売っているネレイス。
無口だが「いらっしゃいませ」と書かれた鉢巻をして、「ただいまタイムサービス実施中!!」と書かれた看板を持ったサハギンがいた。
サハギンは一見無表情に見えたがその瞳にはやる気の炎が燃え盛っているように見えた。
ここの客層はなぜか紳士な服装をした男がいっぱいいた。
「シーナさん、私にこの魚を10尾ほどいただけますか」
「ありがとうございます!毎日こんなに買ってもらって大丈夫なんですか?」
「なーにシーナさんのためならいくらでも買いますよ」
「ふふふ、ありがとうございます」
「サンちゃん、おじさんにこの魚をもらえるかな?」
「・・・・・・(コクリ)」
「ありがとう、いつもがんばってえらいねー」
「・・・・・・(えっへん)」
どうやらここの客も女性が目当てらしい。
だがなぜかカリンはうれしい気持ち
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