後編 死闘、そして・・・

注意

今回の小説ではブレイズとフレンのダブル視点で進めて、バトルでは作者視点も交えて書きます。
それではお楽しみください。










−−−フレン視点−−−

「・・・・・・」

ブレイズさんがギルドから出て行き、数分が経過しても僕は何が起こったのか分からずにただただ放心してへたり込んでいた。
頬の出血は血が乾きはじめたのか既に止まっていた。

「・・・追いかけなきゃ」

無意識に僕はこの言葉を言っていた。
今のブレイズさんは明らかにいつもと様子が違っていた。
もし、仮に追いついたとしても・・・恐らくはブレイズさんが言ったとおりに僕は襲われる可能性が高い。
・・・・・・だけど、このまま追いかけなかったら、僕は一生後悔してしまう、そんな気がしたのかもしれない。
僕は急いで自分の部屋に駆け込み、装備を整えてギルドから飛び出していた。
ブレイズさんを止めるために。


−−−ブレイズ視点−−−


「ここを抜ければ、人目にはつかないはず」

私が今居る場所は元北の居住地区と中央地区をつなぐ入り口前だ。
なんでも、何ヶ月か前にアイビスカからやってきた教団の潜入兵士がこの地区の住人を秘密裏に惨殺したらしく、今では無人の地区になってしまったらしい。そのおかげで今はこの入り口にバリケートと立ち入り禁止の立て札をおいてるために人はまったくと言って良いほどに来ない、まるで私のために用意されたのではないかと思ってしまうほどにだ。
入り口に当たる北の関所は硬く門を閉ざされていると聞くがそれはなんとかなるだろう。

「とりあえずはさっさとここを抜けるとしようか」

私はバリケートを跨いで通過して北の無人地区を進んでいく。
今日は満月だなとのんきに考えて歩いていると異変が私を襲った。

「グッ!?頭が・・・ぐっ!・・・ば、馬鹿な、まだ、出てくるには早いはずなのに!?・・・や、やめろ!出てくるな!!!・・・ヴッ、ウワアアアアアアアアアア!!!!!」

激しい頭痛が私を襲う中、自分の意識が薄れていくのが分かった。
誰にも聞こえないのは知っているがそれでも願わずにはいられなかった。

誰か!私を止めてくれ!!!


−−−フレン視点−−−


ギルドを出てすぐにブレイズさんがどこに言ったのか分からずに悩んでいると突然ブレイズさんの悲鳴が聞こえた。

「今のブレイズさんの・・・あっちか!」

僕は全速力で駆け出して北の無人地区を目指していく。

バリケートがあったけどそれを無視して飛び越えて通過すると道の真ん中に見知った姿が見えた。

「ブレイズさん!!!」
「・・・・・・・・・」

声を掛けてもうずくまって返事をしてくれないブレイズさんに僕は疑問を覚えて、さらに近寄って声を掛けようとした。

「ブレ・・・!?」

チャキ

突然ブレイズさんが立ち上がったと思ったら、背中に背負っていた大剣を抜き放って、こっちにゆっくりと振り返ってきた。

「ブレイズさん?」
「・・・フフフ、ハハハハハ!!!まさかいきなり獲物に出会えるなんてな、俺はなんて運がいいのかな?なあ・・・フレン」
「え、獲物?な、何言ってるんですか!?」
「そのままの意味さ。お前は俺に狩られる可愛い獲物だよ」

ブレイズさんがそう告げるのと同時に尻尾に炎が灯りどんどん大きくなっていくのが分かる。

「まさか、最初にお前が狩れるとは思ってなかったからな凄い興奮してきたよ」
「あなたは本当にブレイズさんなんですか?」
「ああ、俺はブレイズだ。全ての破壊を望み、全てを拒絶する戦闘狂火竜のブレイズ=ソラリスさ」
「そんな・・・嘘だ!!!」

僕の知っているブレイズさんはこんな事を言う人じゃない、ブレイズさんはたしかに戦闘狂だ。でも、嬉々として人を殺そうなんて人じゃなかったはずだ。
この人は僕が知っているブレイズさんじゃない!

「お前はいったい誰だ!?」
「・・・フフフ、確かに俺はお前が知っているブレイズじゃない。俺はもう一人のブレイズさ」
「もう一人?」
「俺は過去のトラウマによって出来たあいつの自己防衛本能みたいなものだ。だが何がキッカケかは知らないが、俺に俺という人格ができた。あいつも戦闘が好きって所は俺と対して変わらんがそれでも人を殺す事を極端に拒絶しやがったんだ。おかげであいつが過去のトラウマを思い出さない限り出てこれなくなっちまったんだ。だがやっとのことで出てこれたがな」
「なんであなたは破壊を望むんですか?」
「それは今から死ぬお前には関係の無い事だ」
「・・・・・・」
「・・・まあ、冥土の土産に教えてやろう。俺は俺以外の奴が嫌いなんだよ。どいつもこいつもこの顔を見れば、人を化け物扱いしやがった。親父は俺の事を裏切ろうとしやがった。誰も俺を見ようとしない!外面だけ見て、中身を見ようと
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