「姉貴ー早く早く!!」
「・・・元気だな、お前たちの姉は」
「まあ、それだけが取り柄ですからね、カリン姉さんは」
「ご、ごめんなさい」
「ああ、いやすまない、別に怒ってるわけじゃないからそんなに気を落とさなくていいよ」
元気なカリンを見て思わず言ってしまった言葉に対し、マリンが謝ってきたので慌てて謝罪をするフレイヤ。
宿屋で休息を取ったとはいえ、ここまでずいぶん歩いたため正直に足が痛いというのが本音だ。
しかし、三姉妹はケロッとしていてまだ余力があるように見える、その中でも三姉妹の長女、カリンが一番元気だった。
「やはり、こういう長距離の移動には慣れているのか?」
「そうですね、あたしたちはいつも旅人たちを襲うために一月に一回のペースでいろんなところに行きましたからね、まあ主にカリン姉さんが飽きっぽいせいというのもあるんですけどね」
その表情からは「苦労」の二文字が見て取れた。
マリンのほうも似たような顔をしていた。
「・・・苦労しているんだな」
「ええ」
そして当の本人はそんな会話をされているとも知らずに鼻歌を歌いながら元気に上り坂を歩いていた。
「おっあれは・・・」
上りきったと思ったら、突然カリンの動きが止まった。
何事かと考えていたら。
「姉貴ー!!見えたよ、エリエールの街がー!!」
その言葉を聞いたのと同時に私たちは駆け出していた。
一気にカリンのところまで上るとその先には大都市エリエールが見えた。
「あれがエリエール」
「うわあ、大きいです」
「本当でかいなー!」
「たしかに大きいですね」
遠くから見下ろしているにもかかわらずその町の形がはっきりとわかるのだ。
これはたしかに大きいといえるだろう。
「ついに着いたんだなエリエールに、私はこの時をどれほど待ったことか・・・さあいくぞみんな」
「「「おーーー!!」」」
エリエールまであと少し、私は期待に胸を躍らせながらエリエールに向かった。
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街の入り口にたどり着くと、まず目に入ったのが防壁だ。
それもかなり高さのある防壁だ。
大都市エリエールにはもう一つ名前がある、その名も要塞貿易都市エリエール。
その名の通り要塞を備えた貿易を盛んに行っている都市である。
シンボリ大陸にある都市で唯一、世界を相手に商売をしている、そのため自然といろんな商人がこのエリエールに修行もしくは商売をしにやってくる。
まさに商人にとっては聖地といっても過言ではない場所である。
もちろん商売は何も世界だけではなく、ちゃんと街の人に対しても行っている。
そのジャンルは実にさまざまで日用品から食料品はもちろんのこと、衣服、工芸品、宝石、武器防具などなどたくさんの商売をしている。
しかしこれだけ商売を発展させれば当然、盗賊などが盗みにくるなどの被害も出てくるため、昔は自警団を作って撃退していたそうだ。
だがあるとき、教団派の軍が突然やってきて一時街を占領された経歴がある、そのときは魔界軍の力を借りて撃退はされたがそれでもかなりの損害を受けた。
その教訓を生かし、当時の領主は貿易で得た金を使い、防壁を立て、軍備を充実させたと言われている。
その歴史ある偉大な防壁が目の前にある。
その事実がフレイヤの体を震わせていた。
「ど、どうしたの姉貴、そんなに体を震わせて?」
「さ、さむいんですか?」
「フレイヤさん大丈夫ですか?」
三姉妹が心配そうに顔を覗いてくる。
「すまない、あまりに嬉しくてな、体の震えが止まらんのだ。
ともかくここで立ち止まっても仕方ないから、街に入るか」
「「「は〜〜〜い」」」
そういって私たちは関所に向かった。
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「うん?・・・おいそこの者たち止まれ」
フレイヤたちは関所の兵士に呼び止められた。
「この街に入るには、通行証もしくは身分を証明するものが必要だ。
どちらかを提示してくれ」
フレイヤはアイテムバックから村長にもらった通行証を取り出した。
「これでいいだろうか?」
「失礼、拝見させていただく・・・・・・!?オステカ・・・はっはっはっは、なんだ貴様ド田舎から来たのか?」
「なっ!?いきなり初対面の人に対してその言い方は失礼ではないか!!」
「だってあそこはいまだに古臭い戒律に縛られて、あまり外のものとは交流をしようとしないではないか、しかも森や山に囲まれて得に目立ったものもない、これをド田舎と呼ばずしてなんて呼べというんだ」
フレイヤは完全に頭にきていた。
(いくらなんでも初対面にこんなことを言うなんて、許せない)
殴りかかろうとした瞬間。
「この大馬鹿者!!!!!!!
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