晴れ渡った広い空、雲ひとつないきれいな青空、外を歩くにはまさに絶好の日といえよう。
今私は冒険者になるためにエリエールに向かう道中を進んでいる。
私が向かうエリエールはオステカの村から徒歩なら三日、馬なら一日とかなり遠い場所にある。
今はオステカの村を出て二日目になる、ようやく半分まで来たというところだ。
それにしても野宿というのもなかなかどうして厄介なものだ。
寝ることのできる場所を探すのがこれほど大変だとは思わなかった。
さすがにその辺の道端で寝るわけにはいかないし、かといって道から大きく離れるわけにもいかないし困ったものだったな。
まあ昨晩は偶然にも洞穴があったからそこで野宿をしたが岩がごつごつして非常に眠るのが大変だったのはいうまでもないがな。
これから先もこういう風に野宿をする機会も増えるだろうから早いうちに打開策を考えようと私は心に決めた。
さて食料についてだが昨日は村から持ってきた食料を食べて凌いだが、この分だとすぐに尽きてしまいそうだ。慎重に食べなければ。
そのうち何とか食料を手に入れる術を手に入れなければ、長期の旅になった時に食糧難になってしまう。
わずか一日だけだが冒険がいかに大変なものかが理解できた。
本を読んでいるだけでは理解できないものがたくさんあることに気づいた。
私は悲観せずむしろ喜びを感じていた。
村にずっと住んでいたら、絶対に気づけなかったことだから。
これが行動することで発見できることなのかと実感していた。
そんなフレイヤが喜びを実感しているころ、遠巻きからフレイヤのことを観察している三人の影があった。
しばらく歩いていると遠くにある道に何かが見えた。
フレイヤは何かあると最初は認識したが何かはわからないのでそんなに気にしなかったが次第にその影が人が倒れているように見えたあたりでフレイヤは駆け出した。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
その影の近くまでよるとそれは少女だった。
よく見てみると、耳が長かった。
たしか魔物図鑑によればゴブリンだったかな?
フレイヤは思い出しながら近寄る。
「おい。大丈夫かしっかりしろ」
フレイヤは声をかけ、体を軽くゆする。
「うっ、うーん、あ、あ、なたは、誰?」
少女は気づいたようで質問をしてくる。
「私はヴァル=フレイヤ。どうしたんだいったいこんなところで」
「じ、実は、お腹がすいて、動けないんです」
「空腹で動けなくなったのか、待ってろ私の食料を少し分けてやる」
「い、いいん、ですか?」
「構わない、困ったときはお互い様というだろ」
「そうですか」
ニヤリ・・・
フレイヤがアイテムバックから食料を探している最中、少女は笑った。
そしてしずかに手を上げる。
フレイヤは食料を見つけ取り出そうとしたときだ。
背後に気配を感じ、後ろを向いた。
するとそこにはこん棒とひのきの棒を構えた二人の少女がいた。
二人は構えたまま固まっている。
さっきの少女の方に振り返るとどこから出したのか木製のハンマーを構えて襲い掛かろうとしていた。
「・・・これは、いったい何の真似かな」
フレイヤの問いにビクッとする三人。
当然である。フレイヤの声はさっきの優しさがある声ではなく、冷たさが混ざった声なのだから。
「「「い、いやこれは、その〜」」」
三人に冷や汗が流れる。
フレイヤの顔はたしかに笑っているが、しかし目がまったくといっていいほどに笑っていないのだ。
「まあ察するに私を襲おうというところだな。違うかな?」
すると開き直ったのか、一人の勝気な少女が高々と声を張り上げた。
「ふ、ふん!!気づかれちゃ〜しょうがないわね。そのとおりよ。あたし達はあんたから荷物を盗んでやろうと思ってここで待ち伏せていたのよ」
「盗みね。なぜそんなことをする」
「なぜ?」
「そんなことを?」
「する?」
「「「それはあたし達が盗賊だからさ〜!!!」」」
「そこに盗めるものあらば、どこまでもかけつけ!!!」
「狙った獲物は確実に!!!」
「し、姉妹の力を、ひ、一つにして」
「「「いざ盗み出さん、あたしらゴブリン三姉妹!!!」」」
ドッカーン!!!!
という効果音が聞こえそうなくらいに見事なキメ台詞とポージングだった。
その光景をフレイヤは呆然として見ていた。
どうしようこのまま逃げてしまおうかな?
いやしかしなんだか無視するのもかわいそうだし、もうちょっと付き合ってあげようかな?と真剣に悩んでいるフレイヤをよそに、三姉妹はというと・・・
「や、やったよカリンおねえちゃん、コリンおねえちゃん、あたし初めてポージングとキメ台詞成功したよ〜」
「やったなーマリン。ついに成功したんだな」
「よくがんばっ
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