俺の名はクロム=ディアメック。
見習い忍者で16歳の少年さ。
えっ?なんで大陸の人間が見習い忍者なんかやってるのかって?
そりゃージパングからやってきた師匠がいるからさ。
当時の俺は忍者っていうのに憧れててよ、実際に忍術を伝承したいとやってきた師匠に会って即行で入門したんだけどよ・・・
たださー・・・なんつうか・・・ジパングの忍者ってさ、イメージ的に分身したり、火を吹いたり、変身できたりっていう、なんとなく摩訶不思議な術が使えるのを想像してたんだけどさ・・・
物凄い地味なトレーニングばっかなんだよな・・・トレーニングはただひたすらに筋力トレーニングとマラソンをすることから始まり、手裏剣術、体術、剣術と順に教えられるみたいなんだけど、一切と言っていいほどさっき言ったような派手な術を教えてるとこは見たことが無い。
1年くらい我慢して修行していたんだけどついに我慢できなくて一回師匠に聞いてみたら・・・
『忍者は基本的に忍ぶ者を指している。要するに人に見つからないように逃げたり、隠れたりする者のことをいうんだ。そんな奴がわざわざそんな派手なことをするわけが無いだろう。戦闘訓練はあくまで忍者が逃げ切れない時のためのモノだし、ここで忍術を教えてるのは伝承と護身用として教えるためだ。大陸は中々に物騒だと聞いていたからこの技術が役に立つと思ったのも一つの理由だな』
・・・ってさ正直これを聞いたとき、がっくりしたね。
俺はその後すっかりやる気を無くしちまって、道場に通わなくなったんだ。
今はこの中途半端な忍者のスキルで村の自警団として活躍をしてるってわけさ。
まあ以外と努力は自分を裏切らないという言葉がある通りでその辺の盗賊が襲ってきても簡単に蹴散らす事ができるくらいの実力があったんだ。
自警団の戦闘訓練でも俺に触れる奴は一人もいなかった。
ちなみにその忍術道場をやめて入ってきた奴も俺には勝てなかった。
だからかな・・・あんな馬鹿げたことを思いついたのは。
当時の俺は相当に調子に乗り天狗になっていた。
それはもう「俺ツエー!!!」っていうくらいに調子に乗っていたよ。
俺はあるとき村にやってきた一人の旅の戦士からある情報を聞いたんだ。
その情報はバトルクラブっていう賭博闘技場のことでよ、戦士が言うにはそこにバトルジャンキーが集い、日夜命がけのバトルが繰り広げられているというものだったよ。
えっ?何で俺がこの情報を手に入れられたのかって?
その戦士がやけに傷だらけだったのが気になって質問をしたからだ。
その戦士もバトルクラブに参戦したらしいんだが、自分より遥かに強い相手が居た為に一時は二度と戦えないほどにボロボロにされたらしい。
今は世界を回って己を鍛えなおす旅の途中とも言ってたな。
・・・ちょっと話がそれたな、その話を聞いた俺は一つの感覚に捕らわれていたんだ。
それは・・・
『俺はどれくらい強いんだ?』
男なら自分がどれくらいの強さなのかとか強くなって英雄のような悪者をばったばったと倒していく物語に憧れるもので当時の俺はその思考が人一倍強かった。
架空の強さに憧れ、自分も今ならその架空の強さにある程度近づいたんじゃないかと思っていた。
そしてそれを試せる場があると聞いた俺は気が付けば、俺の相棒でもある忍者刀と忍び道具一式が入ったウエストポーチとホルスターを装備して手持ちの金と自分流にアレンジした忍装束を着込み村を飛び出してたんだ。
あっ、ちなみにこの忍装束は色は黒であまり目立たない服装だからさ、長袖を半袖にして切りましたよってアピールする感じでギザギザをつけて、口布は正直カッコわりいから無しにして代わりに首に赤いスカーフをつけて、それからやっぱ背中がなんか寂しいからよジパングの文字で『神風見参!』って書いてあるんだよ!どうだ!すっげーカッコいいだろう!
・・・わりいまた話がそれたな。
一月を掛けて漸く目的のバトルクラブに到着した俺はとにかく早く戦いたくて受付をさっさと済まそうとしていたんだが、どの受付もやたらと並んでいて正直憂鬱な気分になってたんだ。
そんな時に俺はあまり並んでいない受付を見て即座にそっちに並びにいったんだけどさ、その時後ろから「おいお前、そっちは」とか「あいつ、新参者だよな?」とか「死んだな」ってのが聞こえていたが正直それどころじゃなかったんで俺は無視をしてその短い列に並んだんだ。
理由は簡単さ。
俺は一月で手持ちの金をあっという間に使い込んでしまい約1週間はろくに飯を食っていなかったから早く戦って金を稼いで飯が食いたいという気持ちに変わり相当に焦っていたんだ。
えっ?そんな状態で戦えるのかって?
・・・まあ結論から言えば、そんなもん無理だ!
でも当時の俺はそんなもん考える余裕なかったからなー本当に死ぬかと思ったよ
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