のんきな女性剣客とさらにのんきな狐

「この旅を始めて、もう一週間になるんか〜。早いもんやな〜。」

 友華は肩からぶら下げている、酒を手元に持ってきて蓋をキュポンと開ける。そしてくいっと酒を飲む。

「ぷは〜、なんやかアカオニさんと会ってから妙に酒好きになってもうたわ」

 さらに酒を飲もうと傾けたが。

「?おりょ?・・・酒が切れてもうた、どないしよ〜・・・うん?おっあそこに見えるのは・・・村やないか〜よかったわ〜酒が補充できますわ〜」

 友華は駆け足でその村に向かっていった。

「うひょ〜、すごいわ〜うまそうな酒があっちにもこっちにも」

 友華は村に入って、さっそく酒屋に来ていた。

「おう姉ちゃん、いらっしゃい。この辺じゃあまり見ない顔だけど旅人かい?」

 この酒屋の店主であろう人が声を掛けてきた。

「そやで〜、急に家をおん出されて、仕方なく旅をしてるんや」
「そうなのかい、それにしても真昼間から酒屋に来るなんざ、相当な酒好きだね」
「そうなんよ。わて最近、急に酒好きになってもうてな、酒が切れると大変なんよ」
「どう大変なんだい?」
「・・・・・・まあそないなことええやないか、どうでも、あはははは」
「?まあいいか。で、どれにするんだい?」
「そうやな〜」

 友華はじーっと品物見て回り、ある一本の酒の前に止まった。

【地酒 小春】

「おっちゃん、おっちゃん、わてこの酒が欲しいんやけど」
「おっ、姉ちゃん凄いね。その酒はこの村でも一番人気の高い酒なんだよ」
「そうなんか?」
「ああ、あまりの人気の高さに入荷してすぐに売れきれちまうほどの品さ」
「へ〜そりゃすごいわ」
「その酒でいいんなら、代金だけど・・・」
「いくらなんや?」
「これくらいなんだけど」

 ピラッと代金を書いた紙を見せてくる店主。

【10両なり】(日本円にして約50万円)

「・・・・・・おっちゃん、0がひとつ多いんとちゃうんか・・・」
「悪いんだが、これが現在の売値なんだよ、なんせ人気が高いからこれくらい値段を高くしないとすぐに無くなっちまうんだ」

 友華は財布の中身を確認した。

【1両なり】(日本円にして約5万円)

「・・・・・・0が一つ足らへん・・・」

 がくりとうな垂れ、ぱたんと財布閉じる友華。

「そんなに飲みたいかい?」
「飲みたいがな〜」
「なら一つ頼まれ事を受けてくれないかな。そうしたらこいつを一本、依頼料としてやろう」
「ホンマかいな!!!やるやる、やらせてもらうわ!!!」
「頼み事っていうのはな村の近くに山があるのは分かるかい」
「ああすぐ後ろにあった奴やな」
「ああ、実はその山にこの小春を作っている奴が住んでいるんだ」
「あの山に?そりゃまたなんでや?」
「それは俺にも分からんさ。それよりも問題なのはその途中だ」
「途中?」
「最近あの山に山賊が出るんだよ。そいつらのせいで最近は危なくて一人で酒を取りに行くことも出来ないんだよ」
「そりゃ迷惑な話やな〜」
「そこであんたにその山賊を退治してもらいたいんだ」
「山賊か〜それならなんでこの村は平和なんや?」
「それがおかしなことに村の中には入ってこないんだ。被害者はなぜか山の中でのみ襲われて身包みを剥がされるそうだ」
「それまたおかしな話やな、あんさんはその山賊を見たことあるんか?」
「俺は噂を聞いてからは山に入っていないから見たことはないんだ」
「ちなみに被害者はこの村の人間なんか?」
「いや、全員旅人だ。なにやら興味本位で山の中に入っては身包み剥がされ村のふもとに倒れこんでいるんだ」
「興味本位?」
「ああこの村に伝わる言い伝えでなこの村の山には神様が住んでいるっていう言い伝えがあるんだ。どうやら旅人はそれを聞いて山の中に入っていくらしい」
「・・・わかったわ。とりあえずその山賊を退治すればいいんやね」
「ああ頼む」

   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 と、酒屋の主人に頼まれたのが1時間前の話。

「うーん、平和やな〜」

 友華は山の一本道を歩いていた。
酒屋の主人によれば旅人はこの一本道を通っている最中に襲われるらしいという情報なので友華は現在山道を歩いているわけだが。

「山賊なんておらへんがな〜、ホンマにおるんかいな?」

 上り始めて1時間、ちっとも現れない山賊に友華はだんだんとイライラしていた。

「あれ?頂上についてもうた・・・」

 結局山賊に会うことなく頂上についてしまった友華。

「う〜ん、どないしよ〜、おりょ?あそこにあるんわ・・・」

 友華が目にしたのは鳥居に小さい木造の建物に狐の像だった。

「これは神社やな〜。狐の像ってことは稲荷さんでも祭ってるんかな?」

 友華が神社を眺めていると。

「お参りですか〜?」

 急に後ろから声を掛けら
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