コンコン
「入れ」
「失礼します」
ドアをノックし、許しを得て入ってきたのは白燐に包まれたドラゴンだった。
「白燐のアイーリス、お呼びに従い参上いたしました」
「・・・その堅苦しい台詞はどうにかならないのか?」
入ってくるなり跪いてくるアイーリスに対して呆れながら答えるのはこのバトルクラブの主でもあるデルフィニアだ。
「滅相もございません。私はデルフィニア様に敗れたその日から忠誠を誓った身、この言葉遣いもデルフィニア様を思えばこそです」
「良くそんな事が言えたものだ。初めて対峙したときは・・・
『貴様か?最近この辺りの人間を拉致しているというドラゴンは?
別に人間がどうなろうと私には関係は無いが、この辺りは私の縄張りだから荒らされるのは許せないんだ。
私と勝負しろ!!!私に負けたらココから立ち去ってもらおう!!!』
・・・とか意気込んでいたものだが」
デルフィニアが当時の事を思い出し、嫌な笑顔を浮かべて告げる。
「あ・・あの時は!!!その!・・・なんといいますか・・・その・・・」
途端にみるみるうちに小さくなっていくアイーリス。
「ふっ、冗談だ。そんなに気にはしていないからそこまでかしこまらなくて良い。・・・さて今回そなたを呼んだのは他でもないバトルクラブについてだ」
「・・・やはり、そうでしたか」
先ほどまでの冗談はどこへやら、真剣な表情になり、アイーリスも予想していたのかやはりという感じで反応している。
「うむ。今回バトルクラブのDFバトル(デルフィニアファミリーバトル)についてなのだが、今回私は所要でクラブを開ける。当然私はDFバトルには出られない。そこでアイーリス、そなたには我の代理を務めて欲しいのだ」
「私が代理でよろしいのですか?」
「うむ、そなたなら我の4分の1ほどの力を持っているから心配せずに任せる事ができる」
「・・・・・・はっ了解しました。必ずや身代わりを務めて見せましょう」
アイーリスは心中複雑ではあったものの自分が頼られているのだと解釈して気持ちを切り替えて返事をしていた。
「それでは我はさっそく出かける。そなたはあくまで戦闘の代理ゆえクラブの代表代理では無い。クラブの仕事については親友のミレーヌに任せてあるから、そなたは戦闘のみ頑張ればよい。・・・とはいえいきなりDFバトルをやろうと思う愚か者、特に最強の我に挑む者もそうはいないから退屈になると思うが、もし指名されたときは存分に暴れるといい」
「はっ!」
デルフィニアはその返事に満足して、部屋を出て行った。
「・・・さてとりあえずは、私も準備だけはしておかなければな」
そう言って、アイーリスもまた部屋から出て行くのであった。
−−−DFバトル専用闘技場−−−
「・・・・・・まさか、たった数分で早くも出番が来るとは・・・」
現在アイーリスはDFバトル専用闘技場のど真ん中に立っていた。
デルフィニアの部屋から出て、せっかくだから試合でも見物するかと移動を開始しようとした瞬間に。
『アイーリス様・・・ご指名が入りました』
突如現れた、黒服に身を包んだ男が現れそう告げてきたのだ。
「たしか、そうそうこのバトルを選ぶ愚か者はいないと聞いていたのだが・・・いるところにはいるのだな、命知らずの馬鹿者が」
闘技場の中央で待つ事数分・・・チャレンジャー側のゲートから現れた。
その人物の姿は戦士姿にローブを羽織っていて、手には安物であろう両手剣を持った銀の髪の美青年だった。
アイーリスはため息を吐いていた。
(代理とはいえ一応最強の椅子を預かる身として言わせてもらえれば、舐めているのかこいつは・・・・・・どれだけ屈強な戦士が相手なのかと楽しみにしていただけにまさかこんな優男とは)
「貴様が私を指名した者か?」
アイーリスが男に対し質問をする。
男は質問に対してこう言った。
「ああ、ある情報屋にこの闘技場で一番強くて美しい女性は誰かと聞いたら、デルフィ二アというココの主だと聞いたのだが、どうやら不在らしいな」
「ああ、代わりに私がデルフィニア様の代理を務めている」
「・・・・・・」
「?なんだ?」
ジーッと見つめてくる男に対し首をかしげるアイーリス。
「いや、どうやら情報屋のネタは外れだったらしいと思ってね」
「それはデルフィニア様が不在だからか・・・」
「それもあるが、こんな絶世の美女がいるのにその情報が無いから外れだっていったのさ」
「!!!・・・か、からかうのはよせ!」
「からかってなんか無いさ、あんたは俺の好みにドストライクなんだ」
「!!!〜〜〜〜」
アイーリスは顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。
(な、なぜ私はこんな男の言葉に、これほど・・・ドキドキさせられているんだ?
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