「・・・・・・退屈だ」
この言葉を漏らしたのはバトルクラブの主デルフィニアだ。
「最近はレベルの低い戦いばかりで退屈だ・・・」
デルフィニアが試合を観戦しながらそうつぶやいた。
「なんじゃ?また退屈になっておるのか?」
「・・・ミレーヌか?」
いつのまに現れたのかデルフィニアの後ろにミレーヌが立っていた。
「貴様いつの間に入ってきたのだ?」
「なに、ヌシが退屈だと言ったあたりから転移魔法でやってきたんじゃよ」
「・・・普通はドアを開けて入るものだぞ、もし我が遊んでいる最中だったらどうする気だ?」
「その時はワシも混ぜてもらうのじゃ♪」
「・・・・・・まあいい、で何のようだ?」
「なに、そろそろヌシのことだから退屈になって不貞腐れ始める気がしてのぉ・・・話し相手になってやろうと思ってのぉ」
「・・・ふん、そんな事を言っておるが実際は貴様が暇だっただけであろう」
「バレておったか、だがさっき言ったことは本当じゃよ」
「・・・ならば我の昔話にでも付き合え、そうすれば多少は退屈は忘れられる」
「うむ・・・してどんな話なのじゃ?」
「・・・・・・我らドラゴンからしてみれば昨日のことの用に思い出せることだが、今から100年前のことだ。このバトルクラブに名勝負といってもよい戦いがあったのだ。我も思わず手に汗握ったほどの名勝負が・・・・・・」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
100年前のバトルクラブ闘技場。
「お待たせいたしました。バトルクラブフリートーナメント、決勝戦を行いたいと思います!!!」
うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
司会者の宣言と同時に大歓声があがる。
観客のボルテージは最高潮まであがっていた。
なぜなら。
「このフリートーナメント、皆様ご存知の通り最高4名までチームを組める。何でもありのトーナメントです。大概の場合は4名で出場するチームが最後まで残るのですが、今回はなんと両者最初から一人で出場して決勝まで生き残りました。その技の数々、人間を超えたかのような身体能力、その戦闘能力に我々は度肝を抜かれました。今回は我々の想像を超えた凄まじいバトルが展開されるはずです。皆様どうか一瞬たりとも気を抜かずにご観戦ください。・・・それではバトルクラブフリートーナメント!!!決勝!!!選手の入場です!!!!!!」
フッと闘技場全体が薄暗くなる。
ドッカーン!!!!!!
突如爆発が起こる。
ちなみにこれは我の部下の魔法を使った演出によるものだ。
爆発が終わるのと同時に薄暗かった闘技場が再び明るくなる。
もくもくと上がる爆煙の中に2つの人影が見え始めた。
次第に爆煙は薄れて、2つの人影が消えて代わりに2人の姿を現し始めた。
一人は若者で身の丈ほどもある大剣を背負い、鉄の仕込まれた靴とガントレットを装備していた。
もう一人は一見すると老婆のような老人で、左手が無く、右手で大剣持っており、人を威圧するかのような鋭い眼光をしていた。
「ご紹介しましょう!!!数々の猛者を大剣一本と己の体一つで蹴散らしAブロックを勝ち上がってた若き旅人、その名も【アルト・カルトリンク】!!!、対するは旧世代の頃から生き続けその年齢は100を超えると言われる伝説の偉人!隻腕のアルこと【アルレイン・フォン・クレールヘン】!!!」
闘技場全体が盛り上がりヒートアップする中、対峙している2人は逆に静かに戦いの時に向けて備えていた。
「・・・・・・」
冷静さを保っているようでアルの心中は穏やかではなかった。
目の前に生きる伝説と言われる武人が存在するのだ。
元々アルは幼馴染を探して旅をしている最中に自身の力不足を感じて、このままではいずれ旅の途中で力尽きてしまうと懸念し、自分より数段強い相手を求めバトルクラブにやってきていたのだ。
たしかに強者を求めた。
自身を高めるために、だが、体が強張る、額から静かに汗が滴る、そして今すぐにでも逃げ出してしまいたいと思ってしまうほどの強烈なプレッシャー。
今まで対戦してきた連中は確実に自分と同等かそれ以上の使い手ばかりだった。
しかし、今それらを遥かに超えるほどの存在が目の前にいる。
恐怖感が心を覆いつくしてしまいそうになる。
そんな状況だというのに、その恐怖感と同時に興味が湧いていた。
確かに怖い・・・だがこいつはいったいどれほど強いんだ?そして俺はこいつにどれだけ通用するんだ?
そんな気持ちも同時に湧いていた。
「それではいよいよ決勝戦の開始です!!!!!!両者とも準備はいいですか!!!?」
いつのまにか試合開始直前になっていたようだった。
アルは大剣を静かに構える。
対するアルレインは右腕だけで大剣を構える。
「ではバトル開
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