第七章 最終回 訓練と依頼の日記 その六(シリアス、バトル)

激しい雄たけびと共に攻撃が飛び交う最前線。
持ち前の戦闘能力と突撃力で押してくるユキチーム。
機転と連携力でその突撃を必死に押し返すフレイヤチーム。
しかし、客観的に見てもその戦力差はやはりユキチームの方が戦力が上だった。
そんなフレイヤチームにとって不利なこの状況をさらに悪化させる事態が発生した。

ユキ「全兵に告ぐ!、これより前線の指揮は私が行う!各隊速やかに支持を聞き行動しろ!」

突然の大将の来襲に戦線に緊張が走った。
ユキチームは頼れる大将が来たことにより戦意が高揚し士気が上がる、対してフレイヤチームは新たな援軍と大将の登場により士気が下がりかけていた。

もうダメだ、フレイヤチームの誰もがそう思い始めた、その時だった。

べル「皆あきらめちゃダメだよ!フレイヤ先生が言っていたじゃないか!どんなに不利な状況でもあきらめるなって!!」

セレスト「ベルの言うとおりです。心が折れた者から戦場では命を落としていきます。私達は大将を信じて戦っているのです!一度信じると決めたなら最後まで信じて戦いなさい!」

冷静なセレストはこのままでは全滅してしまうと理解していた。
理解して先ほどの発言をしたのだ。
フレイヤを信じたための発言だったのか、それともエルフの意地が出たための発言だったのか、真意はセレストにしか分からない。
だがその言葉がそれぞれの心を立ち直らせた。
崩れかけた連携力も何とか立て直した。
もちろんセレストの言葉だけではない、ベルの言葉も多大に影響を与えていた。
あの弱々しかったベルが必死に声を出して励まそうとしている。
ベルが頑張っているのに自分が頑張らないでどうするんだとそれぞれが自分に活を入れたためでもある。

それでも、やはり苦しい状況はまだまだ続く、弓矢の攻撃を突破してきては前線部隊が押さえ込み再び弓矢で攻撃をするというパターンができていた。
ユキチームは弓矢の攻撃で風船を割られまいと、弓矢の攻撃の時は防御に専念してくるが弓矢での攻撃が無くなれば勢いよく突撃をしてくるといった感じが続いていた。
しかもあと少しで弓矢が尽きそうなこの状況、まさに絶望に近い状況が出来上がりつつあった時だった。

フレイヤ「もらったー!」

ユキ「何!?」

突如そんな声が戦場に走った。
その声に全員が声の聞こえた方を見た。
そこには後ろから奇襲をかけるフレイヤの姿とそれに気づき慌てて剣を構えるユキ先生の姿があった。

間一髪のところで攻撃を受けるユキ先生。

ユキ「いったい・・・いつのまに・・・後ろに、回りこんだんだ?・・・」

フレイヤ「それは・・・秘密・・・です!」

はじけるように離れる二人。
唖然としていた護衛も慌てて、フレイヤに襲い掛かろうとした。

カリン「そんなことは」

コリン「あたし達が」

マリン「さ、させません」

エスト「(サッ)」

シルミア「めんどいですが、大将を守るのは部下の役目でありんす」

フレイヤを守るべく後ろから現れ、護衛の攻撃を受けるカリン達。

フレイヤ「これで、私とユキ先生との一騎打ちです」

ユキ「・・・はじめから、これを狙っていたのか?」

フレイヤ「はい、私達のチームではどう頑張っても正攻法ではユキ先生のチームを崩すのは無理だと思っていました。勝つにはどうすればいいか、それは奇襲しかありえないと読んだわけです」

ユキ「それは生徒を信用していなかった、ということかな?これはあくまでも授業だ。生徒を信用して作戦を立てるのが基本だと思うのだが?」

フレイヤ「信用していますよ。たしかに結果的には囮作戦を任せました。しかし、信用できない者に私は囮を任せるつもりはさらさらありません。それに」

ユキ「それに?」

フレイヤ「皆は勝利を欲しがっていました。どんな形でも勝利が欲しいと貪欲に望んでいました。私はこの作戦を伝えた時に確認をしました。この作戦は皆が囮となるため活躍することができない、それでも勝利が欲しいかと?・・・皆は、はいと、勝てるなら喜んで引き受けるといいました。・・・皆のためにも私は勝利を掴み取る!ただそれだけです」

ユキ「・・・・・・フッ、一日だけの教師だというのに、そこまで生徒のことを思ってくれるとはな、私もその思いに答えねばなるまい」

お互いにフッと笑い、木剣を構える。

最前線の生徒達、ユキチームの方はすぐさま引き返そうとするがそれをフレイヤチームの生徒達が足止めをする。
ユキの護衛はフレイヤの護衛に足止めをされ、援護に向かえない。
つまり大将同士の一騎打ちしかできない状況になったのだった。

お互いに援軍は無い、純粋にどっちが強いかで勝負が決まる。

少しの間を取り、フレイヤが構えを変えた。
その構えは体制を低く取り、剣を片手で後ろに持っていき、もう片方の手を剣
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