第七章 訓練と依頼の日記その一 (ほのぼの)

パーティーから数日がたったある日の朝。

「アーニー殿おはようございます」

「フレイヤか、うむおはようなのじゃ」

二階から降りて来たフレイヤはギルドの受付の椅子に座って新聞を読んでいるアーニーに挨拶をする。
それに対しアーニーは新聞から顔を出し挨拶をする。
その顔には眼鏡を掛けていた。
フレイヤ達はアーニーの好意によりギルドの下宿部屋を借りて過ごしていた。
最初こそ断っていたが宿代が無いという現実の前に屈指、部屋をタダで貸してもらっているのだ。

「アーニー殿何か依頼は入りましたか?」

「すまんのぉ、まだ依頼は入ってきていないのじゃ」

「そうですか」

少しがっかりしたのか肩を落とすフレイヤ。
あのパーティーから数日、依頼が入ってこない日々が続き少々困っていた。

「やはり、信頼が薄いんですかね?」

「それもあるかもしれんがの、単純に人手が足りているから特に困ったことはおきていないとも取れるのじゃ、平和なのは良いことじゃ」

「それは、そうなんですけど」

「そうじゃ!今朝の新聞と一緒に新しい手配書が届いておったのじゃ、すまぬがこれを貼り出してもらえるかの」

アーニーはそう言って数枚の手配書を取り出した。

「わかりました。タダで部屋を貸してもらっているんですからこれくらいのことは喜んでやらせていただきますよ」

そう言い返し、フレイヤは手配書を受け取った。

「どれどれ今度の指名手配犯は・・・・・・な、なんですかこれ!?」

「どうしたのじゃ?」

手配書を確認していたフレイヤが突然大声をあげた。
それにに対し首を傾げつつ尋ねるアーニー。

「これを見てください」

対するフレイヤはその手配書をバッとアーニーの目の前に突き出す。

「・・・・・・!?す、すごいのぉー」

アーニーも驚くほどのものがその手配書には書かれていた。


[全世界指名手配犯
名前 キリア=ミーナ
推定年齢 18
身長 およそ160cm台
特徴 黒いショートヘアーと二本の短剣、静かに微笑みながら相手を惨殺する実力。

得られた情報によれば、彼女は500以上の村を壊滅させており、親魔物派と反魔物派の村も両方とも多大な被害を受けており、彼女をSSS級危険人物として認定。
生死は問わず、捕獲もしくは殺した証拠を持ち帰ることを条件とする。

賞金 金貨5000枚]

「金貨5000枚、それほどの額がつくほどの強さなのか・・・」

 ドックン ドックン ドックン

 なぜだ?急に心臓の鼓動が早くなった。この感じはもしかしたらワクワクしているのか?

「フレイヤ、どうしたのじゃ?先ほどから小刻みに体が震えているようじゃが」

「な、なんでもありません」

「それならば良いのじゃが。それにしても金貨5000枚とはのぉ、人間にしてはすごい額じゃ」

「やはり、凄いのですか?」

「当然じゃ、この額は恐らく魔王軍の幹部クラスに匹敵するほどの額じゃ、まったく末恐ろしい人間もおったもんじゃのぉ」

 たしかにそうだ。普通の人間ならここまでの金額はつかない、私が自警団に所属していたときも何度か手配書を見たが最高でも金貨100枚だった。
これでも十分なほどに凄いのだが、金貨5000枚と金貨100枚、その差は50倍、明らかに人間離れしている。

「まあしかし、そのような物騒な輩がこの大陸にいるならばすぐにでも情報が入っているじゃろうから、そこまで心配することはなかろう」

「・・・そうですね」

 トトトトト

不意に階段を下りてくる音が聞こえてきた。
 
 ん、三人とも起きてきたのかな?

「おっはよう!!!あっねきー!!!」

「おはようございます。フレイヤさん」

「お、おはようございます」

 やはり三姉妹だったか。

「おはよう」

「姉貴!!依頼入ってた?」

「いや、まだ入ってはいないらしい」

「えー!!今日も入ってないのー!!!」

フレイヤの言葉に不平をもらすカリン。

「それじゃ、今日はどうするんですか?」

隣に居たコリンがそんな質問をフレイヤにした。

「うーん、そうだな・・・」

フレイヤは顎に手をやり、目をつぶって思案を始めた。
考え始めて約一分、思案が終わったのか目を開くフレイヤ。

「アーニー殿お願いがあるんですが」

「なんじゃ?」

「ギルドの前にある広場を少し借りてもいいですか?戦闘訓練したいので」

「構わんぞ、広場は元々訓練用のスペースじゃからな」

「ありがとうございます!いいかこれから4人で戦闘訓練を始める。3人とも武器を持って広場に集合だ」

「「「はーい!!!」」」

三姉妹は駆け足で階段を上がっていった。
フレイヤはすでに準備をしていたためそのまま広場にむかった。

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