私は今中央地区を走り回っている。
今回の散策の依頼カリン達にそれぞれ一つずつ担当してもらっているが私は二つも担当している。
のんびりしていては朝日が出てしまうだろう。
幸いこの街についてから、中央地区を散策していたから主な場所はすでに調べてある。
残りはあと三つ、早く切り上げて例の北居住区に向かわねば。
フレイヤは急いで走っていった。
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エリエール軍施設前
「はあはあ、ここがエリエール軍の施設か」
エリエール軍、このエリエールの守りを担っている軍隊。
この軍には歴史があり、昔は自警団として創設されていた。
しかし、教団派の侵攻を受け、一時は壊滅状態に追いやられたこともある。
そのあと、魔界軍からの援護を受け、エリエール軍として発展して教団派を撃退することに成功したのだ。
この時からエリエールは軍事力と防衛力に力を入れ始めた。
おかげでこのように平和な街が保たれているのだ。
「すごい、やっぱり本で読むよりずっとすごいや。こうして歴史に手を触れられるのは幸せだなー。・・・はっ、いかんうっとりしている場合ではない。次にいかなければ」
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賭博闘技場前
「はあはあはあ、ふうーさすがに疲れた。走りっぱなしは体に堪える。ここがエリエールの賭博闘技場か」
賭博闘技場、月に一回だけ開催される戦いの祭典。
市民たちにも何か楽しめる催しを開かなければ商売のモチベーションがあがらないと感じた当時の領主が作ったもので、戦う姿と賭け事を楽しめるというこの賭博闘技場を作ったのだ。
結果としてこれが大当たりして、現在でも月に一回開催されている。
「賭博闘技場か、私も自警団時代は何度もきたいと思っていた。残念ながらこれなかったわけだが、そういえば今月は開催されるのだろうか?」
フレイヤが辺りを探し始めると立て札が見えた。
今月は○日に開催します。皆様のご参加をお持ちしております
「この日に開催するのか、ぜひとも参加したいところだ。おっと、次にいかなければ」
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エリエール大型病院前
「はあはあはあはあ、これで最後だ」
エリエール大型病院、ここでは主に長期入院が必要な患者がやってくる。各地区に診療所はあるがそこで対応できない患者がここに運び込まれてくるのだ。
ちなみにこの病院は昔から創設されていて、昔の教団派との戦いの時にも大いに活躍している。
教団派に奪われたときも、そのまま教団派が使っていたため。唯一その戦いにおいて無傷の建物と言える。
「私も冒険者になったからな、ここのお世話にはならないようにしなくては。さてこれで中央地区は終わりだ。次は反魔物地区でもある北居住区だ」
正直に言ってここが一番不安な場所だ。
この北居住区は昔の戦いで負傷した反魔物派、つまり教団派の生き残りが住んでいる地区なのだ。
当時の領主は、皆殺しを嫌い、教団派の人間にも慈悲を与えるべきだと主張し彼らが安心して暮らせる環境を提供したのだ。
しかし、そんな慈悲を与えたにもかかわらず生き残った教団派は生まれてきた子供たちにいまだに魔物は悪だと教えているのだ。
もちろんこのエリエールの住人も悪だと教えている。
そういう経歴があるため、何度かエリエールを襲ったことがあるのだ。
その度に返り討ちにあっているのだが。
現在では魔物が悪だという考えが間違いなんじゃないかという考えを持つ者達といいや魔物は滅ぼすべき存在だと決め込む者達で対立しているのが現状である。
そんなことを考えながらフレイヤは北居住区を目指した。
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北居住区関所前
「止まれ。このような時間に北居住区に何用だ」
関所の前では厳重な警備が敷かれていた。
「私はヴァル=フレイヤ、冒険者だ。依頼を受けてこの街の散策を行っている。通してもらえないか?」
「・・・いいだろう。しかしくれぐれも気をつけていけ、この先は治外法権だ。下手をすれば命が危険にさらされる場合がある。心していけ」
「ありがとうございます」
私は一礼をして、関所を通り抜けた。
通り抜けた先に見えたのはまず大通りだった。
しかし、その大通りには無数の傷跡が見えた。
まるで日々争いが行われてるのではと思われる傷跡だった。
「ともかく早く散策をして切り上げよう、なんだか嫌な予感がする」
フレイヤは地図を片手に歩き出した。
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あれから私はいろいろな場所に赴いた。
役所、商店街、住宅、診療所、学校、いろいろな場
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