今からほんの少し昔の話。
あるところに当時臭い汚い醜いといわれ魔物の中で一番に嫌われた種族ゴブリンの中に一人だけ変わったゴブリンがいました。
当時のゴブリンは体や服を洗う体についた汚れをふき取るという習慣もなく汗や垢で体は汚れ用を足してもおしりをふくこともない服は原型がなくなり着れなくなるので一度も洗わず取り替えないためとても臭くさらに醜い見た目と他種族の女性を連れ去り犯すことで数を増やす習性から世界中の全ての人族から嫌われていました。
そんなゴブリンの中で彼だけは違いました。
彼は毎日水浴びをして体を清め香りのよい香草を体にすり込むことを日課としていました。
当然彼は最初からそうではありませんでした。
彼は生まれた時普通のゴブリンでしたが繁殖できるころになると彼は自分に違和感を覚え始めました。
同じ時に生まれた同族は捕まえた女性がどれだけ泣き叫び悲痛の声を上げようとも嬉々として犯していましたが彼にはどうやっても受け入れられませんでした。
彼女たちの暗い闇でも宿したような光のないよどんだ瞳を見るのがどうやってもいやで犯すことができず彼はついに巣から追放されました。
そのゴブリンは最初は悲しかったですが今ではよかったと思い一人森の奥で生活していました。
最初に巣から追い出された出会った人間は一言顔をゆがめ「臭い」と言い放ち剣を抜き何とか逃げ出し彼は自身が臭いと思われているのが嫌で毎日水浴びをして体を清め香りのよい香草を体に刷り込むことを日課としてました。
すると次第になれ彼も如何に自分が不潔であるかと知りいつしか水浴びの気持ちよさを知りました。
毎日獲物の皮で作った粗末な腰巻を洗い数日おきに新たに交換し自分の体臭については同族の凄まじい体臭の悪臭に囲まれ生まれたころから慣れ親しんだためよくわかりませんでしたが臭いと思われるのはなぜか嫌だったので自分のお気に入りの香りのよい草をすり込むことにした。
そんなある日でした。
「うわあああ!?」
そんな声が聞こえてきました。
どう聞いても人間の声です。
今までの経験から言えば剣を向けられるか逃げられるかの二択です。
一瞬ほおっておこうかと思った清潔なゴブリンさんですが、何故がその声のほうに走り出しました。
彼はずっと一人で寂しかったのかもしれません。
助けても感謝されず理解されなくても誰かとのつながりが欲しかったのでしょう。
そこには大きなイノシシの魔物グレイトボアに襲われている少年がいました。
「グモモモモモモモモモ!?」
清潔なゴブリンさんは素早くグレイトボアに駆け寄ると石と曲がった棒で作った粗末なやりで首の頸動脈ごとばっさり骨まで切断しグレイトボアを一撃で倒しました。
彼は巣を出てから気づいたのですが何故か彼は他のゴブリンよりもはるかに強く素早かったのです。
しかしそんなことは彼にはどうでもよかったのです。
どうせ感謝などされるわけがありませんからしかし予想外のことが起きました。
「ありがとうゴブリンさん」
清潔なゴブリンさんは困惑しました同族にも人間にも他種族にも笑顔なんて向けられた経験などありません。
かわいらしい顔立ちの少年は金髪を揺らし笑顔を向けてきます。
「モリキケン モウクルナ」
困惑しながら彼はそう言って巨大なグレイトボアを引きずつり仮の巣に帰ろうとしました。
「ゴブリンさん今度お礼しに来るね!」
その言葉にさらに清潔なゴブリンさんは驚きましたが冗談だろうと思いながら仮の巣に帰りました。
しかし次の日――
「ゴブリンさーんどこ?}
あの少年が昨日と同じ場所に現れたのです。
今までの経験から警戒しましたが心のどこかにあった寂しさに勝てず恐る恐る姿を現しました。
「ナゼキタ……オレゴブリン……オマエノテキ……オレクサイ……」
「敵じゃないよ他のゴブリンみたいに嫌な感じはしないし僕を助けてくれたじゃないか! それに他のゴブリンみたいに臭くないしむしろ死んじゃたお母さんみたいにいい匂いするよ! それより助けてもらったお礼はちゃんとしなさいってお父さんに言われているんだお礼のパンを持ってきたよ!」
「パン……?」
少年の差し出す見たことのない茶色い長いものに困惑する清潔なゴブリンさん――しかしその謎の茶色いものから放たれる香ばしい香りはやけに彼の食欲をそそり危ないと思いながら口に含んでしまいました。
「――!?」
一口口に入れた噛んだ時口の中に広がる芳醇な小麦の香り表面はやや硬くても中は柔らかくフカフカ噛め噛むほどここゆよい甘みと芳醇な香りが鼻に抜けますこんなもの食べたことありません。
「ウマイ!」
気づくと少年の差し出したパンを平らげ少年はそれをニ
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