一般的に適温とされる気温は25℃とされている。
湿度による個人差はあるであろうが、大体の人間は25℃の室温であれば人は快適に睡眠を出来るという。
然るに――それを超えた温度は人体に強く影響し、容易にその休息を打ち破れる。
そういった意味では彼、文月 玖郎(ふみつき くろう)は不幸と言えるだろう。
人体より大分温度の低い、等身大の人形(ひとがた)に彼は組み伏せられる。
強制的に奪われる体温に彼は悲鳴とも快感ともつかない空気を喉の奥から漏らす。
「あら、冷た過ぎました? 初めてでしたので上手く出来ませんでした……この位では如何です?」
馬乗りになりながらしな垂れ掛かるのは、着物を肌蹴た氷山 碧(ひやま みどり)と名乗った女性であった。
二の腕あたりまで内に着ていた襦袢を肌蹴させ、成人男性の掌では支え切れず呑み込みそうな大きさの青み掛かった乳房が外気に晒されたまま玖郎の胸板に合わさるよう大きく変形している。
太陽光を受けた雪原の影のような青い人外色の肉球は、先端にあるしこりが玖郎の肌に触れる度に断続的な刺激を両者に送り続けていた。
玖郎は答える事が出来ず、ただただ小さく息を吸っては漏らすという作業しか出来ない。
だが――――
「うふふ
#9829;声は出なくても――こちらは正直者ですね?」
主の代弁と言わんばかりに玖郎の分身は屹立していた。
適度な冷たさ。触れられる度に走る静電気のような快感。
女の甘い体臭に、本体の意思を代弁するかのように玖郎の分身はピクリ、ピクリと小刻みに震えていた。
「――新ちゃん? そろそろ限界でしょうし、玖郎さんの初物を頂きましょうね?」
「うあぃ」
呻き声とも返事とも判別のつかない声で、のそりと完全に死体としか思えない女が現れる。
緩慢な動作で、しかし狙った獲物を逃さないという表情を浮かべながら現れた雪下 新(ゆきした あらた)は、やはり緩慢な動作で着実に寝台へと這いずって来た。
その様子に、命の危険は無いと分かっていても玖郎の瞳に怯えの光が混ざる。
それを碧は見逃さなかった。
「玖郎さん? 新ちゃんも女の子なんですから。そんなの怖がっては可哀想ですよ」
数瞬、玖郎の意識を新から外すべく碧は玖郎の唇を貪った。
下唇の甘噛みから始まり、舌を滑らせ玖郎の舌と絡み合う。
上質な、後味の残らない爽やかな甘みを感じていると玖郎の舌の動きが急に止まる。
唇を離した時に引いた唾液の橋が名残惜しそうに繋がったままで碧は後ろを振り向くと、一心不乱に玖郎の一物をしゃぶる新の姿があった。
先程の緩慢な動作等嘘であったようなその動きは、さながら熱砂の中に水を見つけた遭難者を連想させる。
亀頭を咥え、雁の裏側を蠢いていた舌はより強い圧力を加えて弱いところを探し出そうと肉竿を満遍なく這い続ける。
それに歯茎や喉奥まで使うストロークが加わり、突然の衝撃染みた快感を与えられた玖郎は掠れた声を上げるしか手段が無かった。
唾液でふやかすように吸い付き離れ――血液の集中と灼熱感を伴う腫れで限界まで膨れ上がった陰茎が玖郎の目尻を伝う涙のように先走りを垂れ流し続けている。
そしてそれは――新が咥えた肉棒をそのまま吸い上げながら徐々に口外から露出させ、鈴口に舌を割り入れたところで爆発した。
「〜〜〜〜〜〜〜〜
#9829;
#9829;
#9829;ぷぅ
#9829;はああぁぁぁぁ
#9829;
#9829;
#9829;
#9829;」
暴発した白濁がその小さな口内を満たし尽くす。
ごくごくと嚥下するその姿と満たされたその顔は正しく九死に一生を得た遭難者のそれである。
容積が足りないのか鼻の穴からも僅かに精液が伝ってきたが、それすらも啜り上げて喉奥に仕舞い込む。
最後の一滴まで吸い上げた後で漸く玖郎の一物から口を離した新の口から漏れるのは、只々快楽に蕩けきった声音だけであった。
「あらあら……新ちゃん、お弁当ついてますよ? お姉さんが取ってあげますから動かないでね……?」
んぅ? と気の抜けた声を上げた新に、湿り気のある冷たくて柔らかいものが触れる。
頤(おとがい)から口元へ辿るそれを、新はややあって碧の唇であると理解する。
伝った精液の道を辿るそれは、その大元であった新の口内に緩やかに侵入した。
碧は新の口内に残る馳走の余韻を味わい、新は口内を舐る碧の舌にされるがままになっている。
数秒、数分経過したろうか。
ややあって急に碧の動きが途絶えたのを新は感じた。
少し離れて見てみれば、碧が余裕無く打ち震えているのが分かる。
瞳は潤み口をだらしなく半開きにして、支える腕に力が入らないのか新が一抱え出来そうな二つの果実が
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