※14000字超で長いです。
※若干胸が悪くなる内容が含まれますので、ご覧頂く方はご注意下さい。
PM16:15
通された部屋の内装は一言で言えば豪華であった。
高い天井にシャンデリアを模した電灯が配置され、細かい装飾の施された大きめのソファは柔らかく客人を受け入れる。
清潔感のある白い壁にはいくつかの絵画が目の保養になる範囲で配置されている。
腰下程度の高さのテーブルには、ソラさんの用意したと思われる香り高いお茶と香ばしい焼き菓子が鎮座していた。
「(エ△エ) ようこそ、アマルのアトリエへ」
大型の輸送車に揺られ数十分。
人気の無い閑静な土地――といえば聞こえは良いものの、自然以外取り立てる条件の無い立地に変態天才美人研究者 アマル・スタグナント・ハイドラグラムは居を構えている。
この変態先生は本来研究に集中できるよう郊外に住む研究者とは違い、どちらかといえば追いたてられて郊外に移り住んだ類だ。
出不精なので材料集めは空間転移魔法を使い現地へ直行。
素材を集めて帰ってきては座標軸を固定したままうっかり忘れるのが殆どなのだが、結果としてその度にはた迷惑な状況に陥る。
例をいえば
・本来この国に居ない筈の大型生物が紛れ込んできてちょっとしたパニック事件が発生。
・真夏日に極寒地にしかない希少な『不凍水』という、こちらでいう液体窒素のような物質の採取に向かって閉じ忘れ数日間放置した結果研究所を中心とした極寒地獄が発生。
・元々住んでいた魔界から研究機材の調達を行ったところ、ゾンビと触手が研究所内に大量発生し研究所周辺が某ゲームと同じような状況に。※先生達は脱出済み。
・ダークマターが何故か出現。暗黒魔界化しかける。
等々。
枚挙に暇が無い為、どうかこれ以上研究をするなら余所でやってくれという周辺住民の必死の願いを聞かざるを得なくなり研究所ごと転移して今に至る。
正直この変態研究バカに付き合わなければならなかった周辺住民には同情を禁じ得ない。
「(エ△エ) いい加減変態変態言うのは止めてくれないか。直すのが大変だぞ」
「人のモノローグ勝手に書き換えてんじゃねえよ!? ていうかアンタ最初に会った時、紛う事無き変態だったわ!」
「(エ△エ) あぁ、由緒正しい全裸マントだった時だな。あの時君は可愛かったなぁ。『お姉ちゃん、何でお服ないの?』だったか。危うく襲いそうになったよ」
「あっぶねえ……俺の人生、助けを求めた張本人に閉じられるところだったのかよ!?」
俺達のやり取りを茶を啜りながら生温い目で見ているのは、沙耶とソラさんだ。
だがちょっと待って欲しい。俺の温度が高いと思うか?
仮にも信頼している人物から、実はお前俺のせいで年齢一桁で人生を詰むところだったとカミングアウトされれば誰だってこうなる。
寧ろ殴り掛からない分まだ紳士的だ。
「(エ△エ) 女に殴り掛かるのかね君は。その性格面の欠点、調整してあげようか?」
「それが出来たらと本気で思ってるわ。自分の紳士さが恨めしいぜ」
かと言って先生が嫌いかというとそうでもない。
一応幼少時からの俺の恩人だし、何より年上の美人である。
実は小さい頃、最初はそれなりに好意を抱いていたのだがあまりにもぶっ飛んだ思考回路と行動の為俺の好意は恋にすら成らず早々に幻滅していった。
今では俺にとって歳の離れた姉のような存在である。
外見で言えば前髪と揉み上げが長い変則的なショートカットで、体型は身長の低さも相まってトランジスタグラマーの見本のようなプロポーションをしている。
やや童顔気味だが深海生物を思わせる無表情は本人も気にしているようで、そこにさえ触れなければ割りと面倒見の良い人物で通る。
「あの、ちょっといいですか?」
俺達の日常会話に耐え切れなくなったのか、沙耶が声を掛けてきた。
そうだ、そういえば俺と一緒に来たわけだが、何で先生は沙耶まで連れてきたんだ?
俺の疑問を余所に沙耶は口を開く。
「(エ△エ) 何かな、日藤君。豪の事なら趣味嗜好まで答えられるが」
「本当ですか!?……い、いや、そっちは後でいいですが。ちょっと気になりまして」
知ってるんかい。そして知りたいんかい。
だが、割って入るくらいだから結構重要な事なの、か?
ここは黙って聞いていた方がいいか。
「(エ△エ) ? では何かね」
「あぁそれです」
あまりに抽象的な質問に流石の先生も考え込む。
ソラさんは勿論だが俺も分からん。
沈黙をされたのが先生が気に触ったと勘違いしたらしく、慌てて沙耶が訂正してきた。
「違うんですよ。それ、どんな風になってるのかなって」
沙耶は自らのタッチパネ
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