「はぁっ…!はぁっ…!」
「ふぅ…よく、頑張ったな…なかなか良かったぞ…」
ロアの荒い息づかいが響く。周りにはオリビアとロアの汗の匂いが漂っていた。
「ふふ…これからも私がしっかりと鍛えてやるから、覚悟しろよ?」
「は、はい…」
疲れ果てたのか、ロアがその場にへたり込んだ。
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その日の朝。
「ん…むぅ……」
眩しくて目が覚めた。ちょうど頭の位置に窓から朝日が差し込んでいる。
「…ふあぁ…もう朝か…」
寝袋から這い出て体を伸ばすと、背骨からボキボキと良い音が鳴る。
ベッドの方を向くと、ロアが気持ち良さそうに寝息を立てて寝ている。
昨日の様にうなされている様子は無かった。ベッドに近寄り、ロアの体を揺さぶって起こす。
「ロア、起きろ。朝だぞ」
「う…んー…」
「(……まただ)」
ロアの髪は、昨日と同じ様にまた黒っぽくなっており、既に真っ黒と言ってよかった。
不思議な事に、眠る度に少しずつ髪が黒くなっていくようだった。
「(アネットはこいつの言葉がジパングの物と似ていると言っていたが…案外、ジパングの者なのかもしれんな…)」
髪の色は黒いし、なにより顔つきが知り合いの東洋人に少し似ていたのだ。
そんな事を考えているうちに、ロアがベッドから起き上がった。
「う…おはよう、ございます」
「ああ、おはよう」
眠そうな声でロアが挨拶をする。
昨日のうちに挨拶は全て覚えてしまった。やはり元々賢いのだろう。
「さ、朝食の時間だ。着替えて食堂に行くぞ」
「がってんしょうち」
「……」
またアネットが変な事を吹き込んだのだろうか。
間違ってはいない。間違ってはいないのだが、なんか違う。絶対に違う。
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「ごちそうさまでした」
「うん、良い調子だな」
あの後いろいろと間違った所を修正したが、それをすぐに覚えてくれるので助かる。
「(さて、今日は何を教えるか…)」
「オリビアさん」
「ん?なんだ?」
「きょうは、なにをおしえてくれるのでしょうか?」
「あー…そうだな…」
ちょうど考えていた所なので少し迷ったが、やはり他に思いつかない。
「きょうは剣術を少し教えようと思う。」
「けんじゅつ…たたかいのほうほうですか?」
「ああ。そうだ。よく覚えていたな」
昨日、アネットが軽く言ったのを覚えていたのだろう。
解っているならば話は早い。
「そうだな、少し休憩したら始める事にしよう。いろいろと準備もあるから、それが済み次第呼びに行く。それまでは部屋でゆっくりしていてくれ」
「わかりました」
必要な物はアネットに用意させれば良いか。
と、変な事を教えた仕返しに少し困らせてやろうと思っていたが―――
「入るぞ」
「あら、遅かったわね!」
司令室に行くと、アネットが既に胸当てなどを用意していた。
「今日は剣術を教えるんでしょ?」
「あ?」
「いや、どうせあなたの事だから、教える事が思いつかないから剣術でも教えようかなーとか考えてると思ってね」
「……」
図星。こいつは予知能力でも持っているのだろうか?とたまに疑いたくなる。
合っているかどうか聞き返されないのが何とも言えず悔しい。
「それで、どこで教えるの?」
「そうだな…他の戦士がいる場所では(色々と)危ないからな…」
種族によっては有無を言わさず襲いかかるかもしれない。色々な意味で。
「じゃ、中庭とかで良いんじゃない?」
「ああ、確かに丁度良いかも知れないな」
「じゃ、行きましょ!」
「先に行っててくれ。私はロアを呼んでくる」
「はいはい〜♪」
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「よし、準備はすんだな」
「うん!似合ってるわよ!」
木製の防具と剣を装備すると、それなりに様になっている。
「それじゃ、あなたも早くを防具付けなきゃ」
「ん?別にいらないだろ」
「全く。馬鹿ね、あなたは」
「馬っ…!?」
いきなり馬鹿呼ばわりされて、思わずオリビアは声を詰まらせた。
「ロアに剣術の心得があると思ってるの?いきなり生身のあなたに木製とはいえ、攻撃出来ると思うの?」
「いや…確かに、そうかもしれないが…」
「じゃ、早く鎧を付けてきなさい」
「くぅ…」
何となく悔しいが、確かにその通りだった。
「わかった…鎧、着てくる…」
「行ってらっしゃ〜い♪」
妙な哀愁を漂わせながら、オリビアは鎧を取りにいった。
「まったく…もう少し自分が女ってことを自覚してくれないかしら…」
アネットが溜息をついていると、ロアが横から話しかけてきた。
「オリビアさんはどこへいったんですか?」
「ん
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