朝、鳥の鳴き声で目が覚めた。
「ん……朝か…」
昨夜は青年をベットで寝かせるため、オリビアはたまに任務で使う寝袋を使っていた。
普段はあまり使わないので熟睡できなかったようだ。
「(あぁ…今日からあいつの面倒を見るのか…)」
前にもアネットに面倒な仕事を押し付けられた事があった。とある町で放送していたラジオに相談したら、「優先順位を決めれば楽だ」と教えてもらった。
むくりと起き上がって、ふと青年を見ると、彼女はある違和感に気がついた。
「…ん?」
昨夜は真っ白だったはずの青年の髪がわずかに黒っぽくなっているように見えたのだ。
髪の色は気のせいではなさそうだった。しかしそれ以上に気になる、
いや、気にするべき事のせいで、そんな事はどうでも良くなってしまった。
「とりあえず…服を用意してやらないとな…」
青年は、上半身に巻かれた包帯と、血にまみれたズボンしか身につけていなかった。
しかし、オリビアの服ではサイズが合わない。青年と身長の近い他の誰かから貰うしかないだろう。
優先順位。服の用意。
「(男物の服なんて持ってる奴居るか…?)」
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「隊長!」
砦の廊下をしばらく歩いていると、後ろから声をかけられた。
「マールか。どうした?」
「司令官からお伝えするように言われた事がありまして。昨日保護した村人達のことです」
「何だ?」
「彼らの村は壊滅状態でしたので、我々である程度修復するそうです。修復がすむまで時間がかかりそうなので、それまで彼らの面倒を北方軍の城で見るそうです」
北方軍。
魔王軍にはいくつかの大きな軍隊に別れており、その中で最も北に存在しているのが北方軍。
この砦は北方軍が、反魔物派からの侵略から新魔物派を保護したりするために北方軍が派遣し、古くなっていたこの城を補修し、戦いの拠点としている。
常に戦闘などが起こり、決して安全な場所とは言いがたい。
村人達は安全な北方軍の城下町に避難させるのが良いだろう。
「そうか…まて、例の青年はどうするんだ?奴も一緒に避難させるのか?」
「ああ…彼は避難させても言葉がわからないから、まだしばらくはここで面倒を見ると言ってました。」
「…そうか…」
それを聞き、面倒な仕事をしないですむかもしれない、と言う彼女の淡い期待は一瞬で崩れ去った。
「あと、もう一つ。『あとで良いもの上げるから司令室に来なさい』だそうです」
「わかった…ああ、ところでマール」
「はい?」
「お前、男物の服とか持ってるか?」
「いえ、私は持っていませんが、セラが確か一着持っていましたよ。前に仮装で使ったらしいです」
「(仮装?)セラが今どこに居るのかわかるか?」
「たしか、剣術の稽古に行きましたよ」
「そうか。すまんな」
「いえいえ」
そう言うと、オリビアは稽古場に向かって行った。
「(男物の服なんて…どうするんだろう?)」
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「ふんっ…!ふんっ…!」
稽古場ではセラが木剣を降っていた。
「セラ」
「あっ、隊長!」
セラは息を切らせながらオリビアのもとに駆け寄った。
「こんな時間から稽古とは、感心だな」
「隊長こそ、こんな時間にどうしたんですか?」
「いや、少し頼みたい事があってな。服を譲って欲しいのだが、良いか?」
「私の服ですか?構いませんが…隊長にはサイズが合わないのでは?」
「あぁ、着るのは私じゃないんだ。昨日保護したあいつだ」
「あ、あの例の…てことは、男物の服ですか?」
「お前が男物の服を持ってると聞いてな」
「いや、あの、確かに持ってますけど、その…」
「どうした?」
「男物の服と言っても、その…」
セラは顔を真っ赤にして言った。
「(ごにょごにょ)……なんです」
「は…?」
「でも、それしか無いですよ…」
「…じゃあ…とりあえず見せてくれるか?」
「はい…」
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「これなんですけど…」
二人はセラの部屋に来ていた。
「これはアウトだな…こんなもん着れん」
「ええ…そうですね」
「…早々に服を用意してやらんとな…」
「ですよねー…」
彼女はセラの服を受け取ると、セラに礼を言った。
「じゃ…これは一応、貰って行くぞ。指令には私からきつく言っておくから、安心しろ」
「あ、お願いします」
オリビアはセラの部屋を出て、司令室へと向かって行った。
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コンコン
「どうぞー」
オリビアが司令室の扉をノックすると中からアネットの声が返ってきた。
扉を開けて中に入ると、アネットが新聞を読んでいた。
「あら、オリビア。ど
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