17.真実


数時間前

「ロア〜?居る〜?」
訓練場に入ると、オリビアに命じられた通りに訓練をしていた。
「あ、アネットさん。どうしたんですか?」
「訓練中に悪いんだけど…ちょっと良いかしら?」
「?…はい。」
部屋からロアを連れ出すと、無言のまま歩く。

「(ロア、そのまま歩きながら聞いて。)」
「(え!?)」
「(おどろいた?大丈夫、ただの念話よ。)」
アネットがそう言うと、ロアは無言で小さく頷いた。
「(今、砦の中にスパイが居る事は知ってる?)」
「(……はい。噂で聞いた事あります。)」
「(そのスパイがあなたじゃないかって疑っている兵士が居るのは?)」
「(……それも、知ってます。)」
「(なら話は早いわ。そこを利用して、本物のスパイをあぶり出すわ。)」
「(え?どうやって……)」
「(いい?今言う通りに振る舞って。そうすれば上手く行くわ。)」
「(……わかりました。)」

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「指令!はやく説明を!」
「じゃ、結論から言うわね。」
アネットは一人の兵士を指差して行った。
「スパイは、あなた。」
指差したのは、始めにスパイの話題を出した兵士だった。
「な……!?」
「あなたはさっき、司令室での会話を聞いた、と言っていたわね。」
「そ、それが何だと」
「あの時、司令室には音を遮断する結界を張っておいたの。中で話している内容は外には聞こえないわ。大方、司令室に盗聴器でも仕込んでたんでしょう?そうじゃなきゃ聞こえないもの。」
兵士は驚いたように口をつぐむ。
「ロアが疑われている事を上手く利用しようとしたんでしょうけど、迂闊だったわね。全部芝居よ。」
そう言うとアネットは兵士を睨みつけた。
「私達を侮ったのが失敗だったわね。……あなたには独房に入ってもらうわ。」
「ち、畜生っ!」
教会の兵士は追いつめられてやけになったのか、腰の剣を抜き、アネットに斬り掛かった。
「し、司令っ!」
「死ねぇぇっ!」

次の瞬間には、兵士の体が宙を舞っていた。
ドサッ!と鈍い音がして、兵士が床に叩き付けられる。
「かっ……!」
「司令官だから戦闘は苦手だと思った?悪いけど、私は柔術が一番得意なの。」

しばらくの沈黙の後、歓声が上がった。

「司令カッコイイー!」
「素敵ですー!」
「うおおお!結婚してくれえええ!」
「ちょ、おま、司令は俺の嫁だろうが!」
「バカ言いなさいよ!司令はあたしの嫁なの!」
口々に叫ぶ兵士達をみて、アネット呆れたよう指示を出す。
「はいはい!下らない事言ってないでちょうだい!オリビアを助けに行くわよ!」
それを聞いた兵士の一人がおずおずと聞いた。
「あの、司令?ロア君は?」
「多分、カナック村に向かったわ。」
「え!?それじゃ……!」
「教会に向かったかもしれないわね。」(……場所を教えたのは失敗だったかしらね。そこまで積極的に動くなんて。……よっぽどオリビアが心配だったのね。)」
アネットはそう呟いてから、兵士達に向かって叫ぶ。
「第1、第2、第3、そして救護部隊!第1部隊長オリビア・リズレイ、およびロア・フレインの救出に向かう!私も出撃して、直接指揮を取る!」

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「そうか……そんな事があったのか……」
オリビアは馬車の外でセラから話を聞いてた。
「はい……私も正直、疑っていました。」
教会で衣服を破られてしまったので、今はセラから手渡されたマントをまとっている。
「……情けない話だ。私はあいつを……信用しきれていなかった……。」
オリビアは完全に落ち込んでしまっている。
「あの、コイツ……大丈夫なんですか?」
セラがロアの方をちらりと見てから言った。
「……ただの、貧血だそうだ。」
「そう、ですか。」
セラはほっとしたようにため息をついた。
「………あの」
オリビアは俯いて何も喋らない。
「あ、ぅ、その、アネット指令は、相当早い段階でスパイに気が付いていたようです!すごいですよね!」
オリビアを元気付けようとしているのか、明るい口調で話す。
「そう、か……。流石だな……。それに比べて、私と来たら……。」
オリビイあの周りにはどんよりした空気が漂っている。
「(どどどどうしよう、かえって落ち込ませてしまった!)」
セラがあたふたしていると、教会からフィルとマールが出てきた。
「ぶはぁ!とんでもねえ人の数だ!」
「全く…息苦しい……!」
二人はオリビアを見つけると、どんよりした空気もきにせず明るい調子でやってきた。
「お?隊長!」
「どうしました?空気が淀んでますよ。」
「あ、フィルさん、マールさん!(助かった!)」
セラが二人に駆け寄る。
「?あ、隊長。司令から伝言がありますよ。」
「伝
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