「………。」
地下牢につれてこられてから、どれぐらいの時間が経ったのだろうか。
日の光が差し込まないので全くわからない……。
……それにしても、何故教会に今回の作戦がバレたのだろうか?
今回の任務の内容は、他の兵士達には内密に行っていたはずだったが……。
任務の内容を話したのは、司令官であるアネット、第一部隊のセラ、フィル、マールの3人。
「(あいつらが裏切るとは思えないな……)」
第一部隊の連中とは付き合いが長い。魔王軍の方針もしっかりと理解し、その上で軍に所属している。
アネットが教会に寝返るとも思えない。子供の頃からの付き合いだ。
だとしたら……やはり、スパイか?だとしたら……誰が……?
頭の中で必死に考えを巡らせていると、どこかからかすすり泣くような声が聞こえてきた。
「……っ……っ……」
「(……他の捕虜か……?)」
どうしようか迷ったが、ひとまず声をかけてみる事にした。
「……誰だ?」
ひっ、と息をのむ音が聞こえ、その後は黙ってしまった。
しまった。もう少し優しく聞けば良かった。
「私は魔王軍の者だ。私も檻に入れられている。危害を加えるつもりは無い。」
「………」
返事は無い。そう簡単に信用しろと言う方が無理だろうが……。
「(ふぅ……相手を信用させるっていうのは、やはり難しいな…)」
ロアのときには食料を渡したが…….
……待てよ……?
そうだ、ロアにも任務の内容を話したんだった!
……考えてみれば、一番怪しいのはロアだ。記憶が無いと入っているが、本当かはいまいちわからない。
わざと記憶が無い振りをしている可能性だって十分にあり得る。
そうやって私達に近づき、情報を流していたとしたら……?
ということは……まさか、あいつがスパイなのか……?
だが、他に心当たりはない……。クソッ!だとしたら舐められたものだ……!
「おい、てめぇら!何をゴチャゴチャ話してやがる!」
隣の牢の捕虜が息を飲む音が聞こえた。
「おーおー……さっき連れて来られた奴じゃねえか。」
門番か……?ガラの悪い奴だ。
「残念だったなあ!お前らのたまり場には俺たちのスパイが紛れ込んでるんだよ!」
それは知っている。アネットはもうスパイを見抜いているかもしれない。
「お前らの司令官が用件を飲まなければ、お前らはその場で処刑だ!条件をのんだ所で、お前らは奴隷商人に売りさばかれるんだよ!」
やはりな。軍には「解放した」と言っておいて、実際は奴隷商人に売りさばく。
軍に私が戻らなくても、知らぬ存ぜぬを通すつもりなのだろう。
「その後はどうなるかしってるか?」
知っている。魔王軍が裏で手を引いている奴隷市場では、大抵性交のために買われる。
そのため、結果的には両者が結ばれる事になる。しかしコイツらの場合は……
「剥製にされるか、見せしめに処刑されるか……どっちにしろお前らは死ぬしか無いようだな!」
そう言うと、門番は笑いながらどこかへ歩いて行った。
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「……あ、あの……。」
門番がどこかへ言った後、他の捕虜が小さな声で話しかけてきた。
「本当に……魔王軍の人、なんですか……?」
声を聞く限り、まだ幼い子供のようだ。サバトの魔物じゃないなら。
「……ああ。魔王軍で部隊長を務めている。」
「じゃあ……さっきの話も……本当、なんですか……?」
さっきの話……
「ああ、そうだ。このままだと殺られる。」
ヒュッ、と息をのむ音が聞こえた。
「そんな……嫌……!嫌だ……!」
しまった。はっきり言い過ぎた。
「いや、多分軍から救助が来るはずだから大丈夫だ。」
「死にたくない……!死にたくないよぅ……!」
いかん……。またやってしまった。どうしようか……。
「おい!何を喋ってやがる!」
「ひっ……」
いつの間にか門番が戻ってきていたようだ。
「まだ殴られ足りないようだなぁ。あん?」
「や……嫌ぁ……!」
「おい!やめろ!」
オリビアが叫ぶと、門番がオリビアの牢を開いて中に入ってきた。
「まだ自分の立場がわかってねぇ様だなぁ、おい?」
そう言うと、布を取り出してオリビアの口を塞いだ。
「むぐっ……!」
「抵抗するなよぉ?抵抗したら隣の牢の捕虜もただじゃすまねぇからな!」
オリビアの口を塞ぎ終わると、門番はいきなり腹を殴りつけてきた。
ズンッ!と腹に衝撃が走る。
「ぐっ!」
先ほどとは違い、腹直筋に力を込める事が出来るおかげでそこまでのダメージは無い。
「やめて……!やめてよぉ……!」
隣の捕虜は状況がわかっていないせいで、半ばパニックになっているようだ。
さて、どうしたものか……。
バキッ!
今度は何か固いもので殴りつけたような音だ。
……痛みは無い。
ドサッ、と言う何かが倒れるような音が聞こえた。
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