朝。準備は整った。
今回の任務では機動力重視のため、馬車ではなく隊員一人一人が馬に乗っている。
「それじゃ、行って来る。」
「油断はしちゃ駄目よ。」
まだ朝早いせいなのか、見送りにはアネット一人だけが来ている。
「(天気が怪しいな…雨が降り出す前に村に着きたいが…)」
空は今にも雨が降り出しそうな、分厚い雲が浮かんでいる。
「隊長、いつでも行けます!」
「よし……では、カナック村へ向かうぞ!」
「了解!」
手綱を引き、馬を走らせる。カナック村までの距離はそう遠く無い。馬を使えば1時間もあればたどり着ける。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
馬の走る足音が森に響く。
曇っているせいで周りは薄暗い。森を通っているせいでよけいに暗い。
「(空気が湿ってきた…雨が近いかもしれん…)」
「隊長!」
馬を走らせていると、隣に居たセラが話しかけてきた。
「どうした?」
「あの…あいつは大丈夫なんですか?」
「あいつ?」
あいつ……。
「あぁ…アネットか?まぁ、あいつはなんだかんだでやる時はやるだろ。」
「違いますよ!いくら何でも上官をあいつ呼ばわりしまんよ!」
それもそうか。
「じゃあ、誰だ?」
「あいつです!あの小僧です!」
「小僧…?あー、ロアか。」
セラは今年で十九歳になるが、見た目はロアとあまり変わらないように見える。
そのせいで「小僧」が一瞬誰だかわからなかった。
「大丈夫だろう。あいつは頭も良いし、アネットが面倒を見てくれる。多分。」
「そうじゃなくて!あいつはカナック村の人間では無かったんでしょう?」
「ああ、村人でやつを知っているものは居なかった。」
「だったら、教会の人間だと言う可能性もあるんじゃないんですか!?」
一瞬、教会のスパイの話が頭を過った。
「…いや、それならアネットの魔法で最初にバレたはずだ。」
言葉がわからない振りなんてしていたならすぐにバレる。
「う〜…でも〜…なんか気に入らないんですよ〜!」
「?」
オリビアが訳が分からずに首を傾げていると、後ろからマールが笑いながら話しかけてきた。
「隊長!セラのやつ、最近隊長が構ってくれないって嘆いてたんスよ!」
「ちょ、マールさん!」
「なるほど、それで隊長が面倒見てるロアが憎い、と」
「わー!わー!フィルさんまで!やめて下さいよう!」
「…?何だ、あいつが居るから遠慮してたのか?別にそんな気にしなくても…」
「…うぅ…隊長……!」
「…な、何で涙目になってるんだ?」
「た…隊長の…バカぁ〜!」
「!?な、何!?何なんだ!?」
「…(相変わらず、何と言うか…)」
「…(朴念仁と言うか…)」
「おい!お前らなんで笑ってる!?一体何なんだ!」
「あ、ホラ!カナック村が見えてきましたよ!はやく行きましょう!フィルさん!マールさん!」
「さ、行こうぜ。」
「ああ。」
「ちょ、おい!待て!何なのか説明しろっ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「よし…それじゃ、調査を開始する。」
少し不機嫌そうにそう言うと、オリビアは桃色をした小さな石を取り出した。
「…これは?」
「本部で開発された、魔法が使用された後の魔力に反応して光る石らしい。」
人数分の石を全員に渡して行く。
「この意志が強く光った位置と、そこの部分の破壊された痕跡を調べてくれ。」
「了解!」
10分後。
「……」
「隊長!」
「マールか。どうだった?」
「破壊された民家を確認した所、反応がありました。」
「そうか。破壊された民家の様子は?」
「焦げ付いたような後がありましたので、火炎系の魔法かと思われます。」
マールに続き、フィルが戻ってきて言った。
「あっちにもあったっス!向こうのは破壊された他には特に痕跡がないんで、衝撃系の魔法か、凍結系の魔法かと!」
「そうか。私も見つけた。おそらく電撃系の魔法だ。」
「それにしても、この石…大した性能ですね。」
「後はセラですね。」
「それは…こいつの事かな?」
ふいに、低い男の声が聞こえた。
「誰だ!?」
振り向くと、セラが真っ白な服を来た男に縛り上げられていた。
「セラ!」
首が外されている。魔力が流れ出してしまったのか、自力で拘束を解くことは出来なそうだ。
外された首にはナイフが突きつけられ、セラは悔しそうに顔を歪めている。
「魔王に従う魔物共に告ぐ。仲間の命が惜しければ、我々の命令に従え。」
男の背後から、同じような
おそらく教会の人間だろう。
「…人質と言う事か?」
オリビアがそう聞くと、男は鼻で笑い、答えた。
「はっ!貴様らのようなクズ共には本来、交渉など必要ないのだがな…。喜べ。神は寛大だ。」
「…命令と言うのを聞かせてもらおう。」
オリビアがそう聞くと、男はにやりと笑い、言っ
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録