「えぇ〜!? どうしてそんな物を持ってきたのよ!?」
「すまん! 俺のミスでお前に渡しちまったんだ!」
「どどどうしよう・・・・・・もう全部飲んじゃったのよ!?」
(今からじゃ解毒剤を作っても遅いし・・・どうすりゃいいんだ?)
魔王軍魔術部隊の警備隊休憩所にて俺は頭を抱えていた。いったい何があったのか気になる人は大勢いると思うが、事情を説明する前に自己紹介とこの町について説明させて欲しい。
俺の名前は高峰 翔(たかみね しょう)。
名前から分かると思うがジパング出身だ。職業は表向きは薬剤師だが本職は忍び。この町には薬剤師として修行のためにも来ているが本当は偵察の為に来ている。
何故かと言うと新魔王が統治するようになって以来ジパングには大陸から
多くの魔物娘がやってくるようになったが、同時にジパング内でバフォメットやダークプリーストたちの勧誘活動が活発になり始めていた。
彼女達にしてみれば人間達の敵対心が和らいでいる今こそ勢力拡大の
チャンスだから懸命に活動しているのだろうが、宗教が絡むことには
いつだって争い事が絡んでくる。教団と魔物娘達との間の争いがいい例だ。
もしかするとジパング内での魔物娘達の勢力拡大に教団が警戒し、密偵や兵を送り込みジパングでも教団と魔物娘達との争いが起こるかもしれない。
そのことに不安を感じた我が主は魔王軍、及び教団の活動の偵察と監視をするよう通達なさり俺は大陸に赴いて情報収集を行っている。
そしてこの町は魔王軍魔術部隊の人間界本拠地にして親魔物領の町ネグローニ。
人間、魔物を問わず盛んな文化交流が行われているため情報収集を行うのには最適と睨んだ町だ。
魔術部隊の本拠地だけあって特に薬学が発達しており薬草の調達や薬学の勉強が容易なので薬剤師として修行するにも丁度良い環境だった。
ジパングからの留学生は珍しいとのことで色々と気にかけてくれる人や魔物が多くいたし、ジパングにしかない薬の調合方法や料理を教えたりしているうちにすっかり俺は町の人たちと親しくなり、魔王軍の開発部の連中とも仲良くなっていた。
そんなわけで俺はただの人間でありながら限定的だが魔王軍の内部に出入りできる立場になったんだ。
もっとも、流石は魔術部隊の本拠地だけあって警備は厳重そのもの。警備にはゴーレムやデュラハンが当たり前のように巡回しているし、様々な侵入者用のトラップがあったりして機密情報を盗み出すのには相当苦労しているからまだまだ魔王軍の内情はよく分かっていないのが現状だ。
ではさっきの会話についての話に戻ろう。
事の発端は今から3日前に受けた依頼がきっかけだった・・・。
チリリ〜ン
入り口に置いておいた呼び鈴が鳴り響き来客を告げた。
「はい、ただいま参ります」
俺は薬の調合を中断し、カウンターへと向かった。
「翔ちゃんこんにちは〜。頼みがあるんだけど、ちょっといい〜?」
「やぁシーナさん。またいつものやつかい?」
「ううん。今日はいつものじゃないの〜」
やってきたのはホルスタウロスのシーナさん。
近所で居酒屋「夜風の止まり木亭」を経営していて、俺もちょくちょく行っているため顔なじみになっている。名物のシチューはシーナさんの母乳が
ふんだんに使われていて、子供から大人まで人気のあるメニューなんだ。
ちなみに「いつものやつ」とはお香の調合のことだ。
「そうですか・・・では今日はどんなご用件で?」
「じつは最近冒険者のお客さんが増えてきて料理に使う母乳が切らし気味なん ですよ〜。 母乳がよく出る薬って作れます〜?」
「ええ作れますよ。母乳はどれほどの量が必要なんですか?」
「う〜んと・・・今の3倍くらいの量かな〜」
「えっ!? 3倍もですか!?」
「もしかして無理なんですか〜?」
「いや、そうではないんですがそこまで多くの量が必要になると
おっぱいそのものを大きくしないといけないんです」
「どうしてですか〜?」
「そうしないとシーナさんの体に負担がかかってしまうからです。」
母乳分泌薬で母乳の量を増やすことはできるが、同時に急激な母乳の生産によって乳腺や周囲の血管が傷ついてしまう危険性が出てくる。
ただ母乳の出を良くするだけなら薬もわずかな量で済むのだが、今回は必要量が多い分危険性も増す。まして母乳の生産量が多いホルスタウロスではその危険性が高い。
だから体に負担をかけないようにするにはおっぱい全体を大きくして負担を軽減するようにしなければならないのだ。
「具体的にはどれくらい大きくしなけらばならないんですか〜?」
「そうですねぇ・・・最低でも今より2回りぐらいは大きくしないと
駄目ですね」
「なぁ〜んだ。それぐらいなら別に構いませんよ〜」
どうみても
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