僕の名前はウィスタリア・カラージェイ
カラージェイ家は子沢山で僕には何人もの兄弟がいる。
そして父さんの弟、つまり僕のおじさんは残念ながら子宝には恵まれなかったみたい。だからカラージェイ家で生まれた子供達のうち何人かはジパングにいるおじさんの家に養子に出されるんだ。
僕もその一人だ。
生まれてすぐにおじさんの家に養子として迎えられた。
おじさんはとっても優しくてまるで本当の父のように接してくれた。
そしてここ、ジパング地方はもはや僕の第二の故郷である。
ちなみに僕の現在の年齢は…12歳だ。
「かくれんぼするぞー!」
「わー!」
僕達はまだこども。まだまだ遊び盛りなのだ。今日も僕は兄弟、そして近所のこども達と一緒かくれんぼして遊ぶ。
「いーち…にーい…」
僕の弟が鬼になった。今のうちに隠れるぞ!
誰も知らない僕だけの隠れ家があるのだ。
脇道を通り、木に登り、塀を越えて穴をくぐると…
「そこは僕だけの秘密の隠れ家!」
「ふえ?」
「え…」
先客がいました。え?何で?僕しか知らないはずなのに…
「ウィスタリアくん?」
「あ…!ユキ!?」
隠れ家にいたのは友達グループの一人、ユキだった。
ユキとは小さいときから本当によく一緒に遊ぶ仲だ。どこに住んでいるのかは知らないが、いつの間にかやって来ていつの間にか去っていく、そんな不思議な女の子だった。
顔とか青白いけどちゃんとご飯食べてるのか?
いやそれよりも…
「ユキ、ここ僕の隠れ家なんだけど…」
「ん?えへへ」
「えへへじゃないよ!早くどっか行け、ここには僕が隠れるんだ!」
「嫌!ユキちゃんが先に隠れたんだもん!ウィスタリアくんがどっか行ったらいいじゃない。」
なんと生意気な子供なのだろう。(お前もだ)
女の子に乱暴はしたくないが、こうなったら無理矢理追い出してやる!
「こら!ここは僕の場所だ!出ていけ!」
「ああ!何するの、ちょっと…着物引っ張らないで…ああん!」
「え?うわっ!?」
「きゃあああ!?」
ガシャーン!
「あいたた…」
「いてて…ユキ、大丈夫か?」
「うん、なんとか。ウィスタリアくんがクッションになってくれたし。」
「うん、それなら良かった。重いからどいて。」
「む〜…女の子に向かって重いとは失礼な!」
狭い隠れ家で暴れたからか、僕達は抱き合った状態で倒れてしまったのだ。今僕の真上にユキが乗っている状態。ユキの可愛い顔がいきなり目の前にあってビックリした。
別にユキが重い訳じゃないけど恥ずかしいから早くどいてもらわないと。
「ん…!あれ?んんっ!」
「どうしたの?ユキ。」
「動けない…」
「はあ?」
「上に…何かあって…起き上がれない…!んんー!」
ユキの位置からは見えないだろうから僕がユキの上にあるものを覗く。
「なんか色々崩れてる…」
この隠れ家は大人達が荷物置き場に使ってる場所でもあるんだ。だからさっきのドタバタで荷物が崩れたんだな。
「んー!んー!どうしようウィスタリアくん!全然動けないよぉ…」
「と…とりあえず助けを呼ぼう!」
僕とユキは大声で助けを呼んだ。
「誰かー!助けてくれー!」
「助けてー!」
しかし俺達の声は誰にも聞こえなかった。
元々隠れ家にするくらい人が来ない場所だから…
「ふぇ…ど…どうしようウィスタリアくん…」
ユキが泣きそうな顔で見つめてきた。
「だ…大丈夫!そのうち誰かが助けにきてくれる。だから安心しろ、大丈夫だ!」
僕はそういって慰める事しかできなかった。
「うん…」
それにしても女の子とこうやってくっつくなんて初めてだ。ユキの体、冷たくて気持ちいな。冷え性なのかな?
「ウィスタリアくんの体ポカポカで気持ち良い…」
「え?な…何言ってんだよ。てか今夏だぞ?」
「うん…でもユキちゃん暖かいの好きなの…」
「……」
可愛い…
「ユキの体は冷たいな。」
「え…ウィスタリアくん、冷たいの…嫌い?」
「いや…ユキの体…気持ち良い…」
「えへ、良かった。じゃあお互い気持ち良いっ子同士だね♪」
「う…うん。」
そういってユキは僕の体にギュッと抱きついてきた。あ…なんか良い香りがする。
「ウィスタリアくん心臓ドキドキいってるよ?」
「うるさいよ、ユキもだろ!」
「うん、えへへ、ユキちゃんウィスタリアくんとくっついてドキドキしてるの。何でかな?」
「し…知らない!」
くぅ…!なんでユキがこんなに可愛く見えるんだ?昨日までは普通にただの友達だったのにドキドキが止まらない。
「ん〜…」
「お…おい、なにしてんだよ?」
「ん〜?」
ユキが僕の胸の隙間に手を入れてきた。小さな手で僕の小さな胸板をナデナデしてくる。
「ん〜、じゃないよ。やめろよ、くすぐったいから。」
「え〜?でも着物ごしよ
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