お猿のお尻を追いかけて《カク猿》

俺の名前はベージュ・カラージェイ
カラージェイ家という代々冒険者の家系に生まれた男だ。俺には何人もの兄弟がいるが俺は十男だ。ちなみに歳は21。

「それでどうなんだ?俺の武器は…完成するのか?」
「いや…これでは完成しないな…」

俺は今、町外れにある、とある錬金術師の家にやって来ている。彼の家に来た理由は俺の武器を作ってもらう為だ。

「完成しないってそりゃどういう事だ?あんたが一流の錬金術師だと聞いたから俺は来たんだぞ?」
「これではダメなのじゃ。まだ材料が足りん。」
「材料?」

俺は錬金術師に武器を作って貰うためにさまざまな武器の材料を持ってきていた。しかしまだ足りないのか…

「一体何が足りないんだ?材料が足りないのなら俺が買ってくる。」
「いや…足りない材料は買えるような代物ではない。霧の大陸に生息しているという魔物…“カク猿”足りないのはこいつが頭に付けていると言われる金属なのじゃ。」
「カク猿の…金属?」

よく分からないが、その魔物を捕まえて装備をひっぺはがせばいいんだな?

「分かった。俺がそのカク猿とかいう魔物…捕まえてきてやるよ!」
「何?しかし奴を捕らえるのは容易い事ではないぞ?奴は恐ろしく身軽な魔物だと聞く。」
「大丈夫だ。所詮は魔物。単純な生き物だ。エサでも用意すれば簡単に捕まえられるだろ。」
「そうなのか?」
「ああ、すぐに猿をゲッチュして戻るからな。俺の武器を作る用意をして待っておけ。」

俺はそう言って旅に出た。
カク猿を捕まえる為に、霧の大陸へと。


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「ここが霧の大陸か…」

霧の大陸。その名の通り霧が立ち込める…
いや、この場所については多くは語るまい。俺の目的はカク猿のみだ。
所詮は魔物、俺が持ってきたこのエサを置いておけばカク猿の一匹や二匹、すぐに捕まえられるだろう。
俺はカク猿がいると言われる山奥へと入っていった。

「さあて…狩りの時間だ!」

俺はエサを用意し、エサの下にトラップをセットして茂みに身を隠した。
何時間ぐらいで捕まえられるかな?俺は気長に待つことにした。



三日目。

「全然捕まんねぇー!!」

魔物だと侮って油断していた!こいつら頭良いわ!
この三日間、カク猿の姿は何度か目に入った。
てか目の前までやって来た時もあった。
俺に気がついたカク猿達は木々の上から俺の作ったエサ付きのトラップを見て指を指して笑っていやがったんだ!
そしてトラップの側にわざとらしくやって来て、器用に尻尾を使いトラップにかからずエサだけを持っていきやがったんだ。
俺が無言で新しいエサをセットしていると俺の目の前にカク猿が降りてきた。捕まえようと手を伸ばすと、ひらりと身をかわしてキャッキャと大笑い。あげく尻をペシペシ叩いて挑発してきやがった!

「も…もう我慢できん!うがぁ!力ずくで捕まえてやる!」
「わっ!?」
「こんの猿めがあー!!」

こう見えて俺はA級冒険者なのだ。優しく罠で捕まえてやろうと思っていたが、そっちがその気ならこっちも出るとこ出るぞ!
俺は俺を率先してからかってきたカク猿に狙いをつけて飛びかかった!

「おおっとぉ!」

カク猿はぴょんとジャンプし、上にあった枝を掴んで木の上にスルスルと登っていった。

「うっきゃっきゃ♪」

奴め、俺が自分を取り逃したと思ってウキウキ笑ってやがる。バカめ!木登りが自分だけのもんだと思ったら大間違いって事を教えてやる!

「うおぉおおおお!!」
「え?えええ!?」

俺は木をダッシュでかけ上がる!これには猿共も驚いたのか皆逃げていく。逃げるか。まあいい…しかし貴様は逃がさん!
俺を率先してからかってきたカク猿。奴は万死に値する!俺に向けてケツを叩くとはな!

「うわわ!うわっ!来ないでよ!」
「待てぇええい!この猿がー!!」

カク猿は木から木へとピョンピョン飛んで逃げていく。俺もそれを追いかける!

「人間様に舐めた真似をしやがって!説教してやる!」
「な…何よ!人間のクセに生意気!」

お?…カク猿は器用に尻尾を使い、グルンと回転して俺の真上を越えてった。

「へへーん!バーカ!捕まえられるものなら捕まえてみなよ〜♪」

腐っても猿だな。木の上は奴のホームグラウンド。
しかし俺はあえてそこで勝負する!
俺はくるっとUターンして、木から木へと飛び移り、カク猿を追いかける。

「待てこの…!くそ!小癪なあ!」
「バーカ!バーカ!」

カク猿の後ろを取り、目の前で移動するカク猿をロックオンしたが、カク猿はヒョイヒョイ体を捻って俺の手をかわしている。
全然捕まえられん!触れられる気配すらしないのだ。

「バーカ!やっぱ人間てバーカ!」
「むがぁ!!ゆっるさぁん!!」

俺は木の上である事を忘れて全力でカ
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