俺の名前はカーマイン・カラージェイ
カラージェイ家という代々冒険者の家系に生まれた男だ。俺には何人もの兄弟がいるが俺は二十五男だ。ちなみに歳は18。
カラージェイ家で生まれた兄弟のうち、何人かは生まれた時にジパング地方の人里にいるおじさんの元に養子として送られる。俺もその一人だ。
幼い時からおじさんの家で暮らし、16歳になった時におじさんの家を出て、俺は一人暮らしを始めた。
人里から少しだけ離れた場所にあるとある一軒家だ。
「今日は…雨か。」
俺は玄関に置いてある唐傘を手に取る。
使い古してボロボロになった真っ赤な傘。
これを今日みたいな雨の日に差そうものならすぐに雨の侵入を許してずぶ濡れになってしまう事だろう。
俺はこの傘が好きだった。だから雨の日は毎回傘をさして散歩に出かけていた。
思えばこの傘とも長い付き合いだな。おじさんの家で暮らし出した時…つまり俺が3歳の時だ。この傘と出会ったのは。
町の市場に売られていた一本の唐傘。
真っ赤で少しの白い模様が入った不格好な唐傘。幼い俺には少し…いやかなり大きい唐傘。
何故か小さかった時の俺はその傘がカッコよく見えて欲しくてたまらなくなったのだ。
おじさんに無理言って買って貰った。
誕生日プレゼントとして買って貰ったのだ。
それから俺は雨が降る度にその傘を差して散歩に出掛けた。
週に一度は綺麗に洗い大事に大事に使ってきた。
しかしいくら大事に使ってきたとはいえ、15年も使い続けてきたんだ。もう俺の傘はボロボロで使えたものではない。
「もう…寿命かな…」
そう言って俺は傘を手にとり部屋の中でバサッと広げた。
やはり傘はボロボロで開いた穴から天井が見えた。
俺は黙って傘を閉じてふたたび玄関の前へと置き直した。
「(いくらボロボロになっても愛着わいてるからかな?捨てる気にはなれないな…)」
「ふう…」
そして俺は傘を持たずに家を飛び出して仕事へと向かって行ったのである。
俺の仕事についだが、特に面白いことをしている訳ではない。
単なる普通の八百屋…の客引きのバイトだ。
たまに配達なんかもする。
日が傾いてきたころに俺の仕事は終わり家に帰る。
仕事が終わる頃には雨はすっかり止んでいた。
帰る途中で傘を売っている店を見つけた。
色とりどりの色んな傘。お洒落な傘。
何でもござれだ。
しかしどれを見ても俺の心は響かなかった。
「何でだろうなぁ?新しい傘…早く買わなきゃいけないんだけどな…」
俺はそのまま店を出て帰路についたのだった。
俺の城。小さな小さな一軒家へと帰ってきた。いやー今日も働いて疲れたな。
帰ったら飯作って風呂入ってさっさと寝るか。
そう考えながら家に入ると…
「おかえりなさいませ!ご主人様。」
「はい?」
玄関で三指をついて出迎えてきたのは頭に大きな傘を被った女の子だった。
「え?あ…?誰?ここ俺ん家…勝手に…え?」
「ご主人様。私です。ご主人様の唐傘でございます。」
「唐傘!?え?…あ…」
見てみると玄関に置いてあった唐傘が無くなっていた。
そして目の前の女の子。彼女が頭に被っている傘こそ紛れもない俺の傘だった。
なんか綺麗になってて穴も無くなってるけど。
デカイ目とかついてて舌とか出てるけど。
「本当に…俺の傘なのか?」
「はい!ご主人様のお役に立ちたい…ずっとそう考えていたら…動けるようになったんです。」
えへ♪と可愛く笑う唐傘少女。
確かに大事にしてきた道具には命が宿って妖怪(魔物)になる事があるって話は聞いた事があるが…
まさか俺の傘がそうなるなんて。
どう反応すればいいのか困るな。
とりあえず女の子となった唐傘をジーと見てみる。
「?どうされました?ご主人様。」
紫がかったパッツンヘアに少し眉の下がった幼い顔立ち。
にもかかわらず体つきはボンキュッボンでかなりスタイルは良いみたいだ。
そして服装だか…これは…なんというか…凄い…
背中の方は傘部分と同じ赤色をしたマントを羽織っているのだが前面が肌の色とよく似たような薄い桃色の布一枚を垂らしているだけなのだ。
簡単に言うと首もとからタオルを一枚かけているだけ。
辛うじて大事な部分は見えていないがこれ横から見たら危ないんじゃないのか?
「あの…ご主人様。そんなに見つめられるとその…恥ずかしい…///」
「おおっとごめん。ははは…とりあえず飯にでもするか。今から作るからちょっと待っててくれ。」
唐傘少女が自分の胸と性器にあたる部分を布越しに腕で隠したのを見て余計にエロいと思ったのは内緒だ。
俺が晩飯の調理をしようと立ち上がると。
何やら美味しそうな香りがぷ〜んと…
「あ!ご主人様。あの…その…お夕食の支度なら…私がしておきましたです…」
「マジで?え?ちょっ…何これ?美味し
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