青年期《ゆきおんな》

僕の名前はウィスタリア・カラージェイ
カラージェイ家という代々冒険者の家系に生まれた男だ。僕には何人もの兄弟がいるが僕は二十七男だ。ちなみに歳は17。

生まれた時にジパング地方に住むおじさんとこに養子に出された僕は、ずっとおじさんの家で暮らしていた。
そんなある日の夏の事。

「暑い…」

夏の太陽がジリジリと僕の体と精神を焦がす。
僕の兄弟には晴れの日でも日傘として唐傘をさしてるような馬鹿がいるんだけど、その気持ちも分かるほどに今日は特に暑かった。

「暑い…暑すぎる…ど…どこか涼しいところ…ッハ!あれだ…!」

涼しい場所を求めて日陰に移動しているとふと人里から離れた場所にある大きな山が目に入った。
山の頂上付近を見てみると雪が積もっているのだ。

「雪山なら夏でも快適に過ごせそうだな。」

そんな軽い気持ちで僕は雪山へと何の準備もせずに向かったのだった。
そして…

「さっぶ…!ヤバい…どこだここは?」

道に迷った。
雪山に慣れてない者は一人では登るなと言うが本当だな。吹雪いてきてもうどっちが前やら後ろやら…
寒いし食料や水もない…

「我ながら馬鹿だった…夏の暑さの方がまだマシだったな…」

体が冷えきり頭がもうろうとしてきた…
おや?目の前に綺麗な女性が見えるぞ?
雪山での幻覚かしら?彼女は僕をおぶるとどこかへ向かって歩き出す。あれ?雪山の真ん中に小さな家が見える…ああ…何だか眠たくなってきたな…
おやすみ…


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ウィスタリアくん。起きて、ウィスタリアくん。」
「むにゃむにゃ…後5分…」
「寝ぼけないで、ほら、暖かいお鍋よ?」
「鍋?」

目を覚ますとそこは家の中だった。目の前には先程の幻覚の女性…
いや幻覚じゃなかったのか。確かに彼女はそこにいる…青白い肌に白く長い髪の毛…今うつわに鍋の中身をよそっている。

「はいどうぞ♪」

うつわを渡される。見てみるとそれは熱々のオデンだった。良い匂い…オデン大好き!
僕は箸を渡されるやいなやオデンにかぶり付いた!

「ガツガツ!ムシャムシャ!ハフハフ…もぐもぐ!」
「うふふ♪どう?美味しい?」
「美味しいです!ありがとうございます!」
「えへ〜
#9825;それは良かった♪」
「いや、それにしても助かりました。雪山で遭難してる所を助けていただいて、それにこんなご馳走してもらっちゃって。もぐもぐ。こんな見ず知らずの僕なんかを…」
「え?」
「ん?」

女性が固まる。
あれ?何かまずいこと言ったかな?

「見ず知らず…?」
「あ、はい。僕ウィスタリア・カラージェイって言います。貴女は?」
「……知らない…」
「はい?」
「知らない!ウィスタリアくんのバーカ!」

すると女性。プイッと後ろを向いてしまった。
ヤバイ怒らせてしまったらしい。
どいやら彼女と僕は知り合いだったらしいな…
でもあんな美人に知り合いがいたかなぁ…?

僕は箸を置いて彼女の前へと回り込む。

「うーん…」
「……」

見れば見るほど美人だ…
こんな美人、一度見れば忘れられないと思うんだがなあ…綺麗な顔に着物の上からでも分かる抜群のスタイル…オマケに料理上手ときたもんだ。家の中を見るかぎり掃除も行き届いている。まるで理想のお嫁さんだな。
青白い肌がまた…青白い肌?
待てよ…青白い肌に白い髪…
昔そんな女の子が人里にいたよな…小さい頃僕はよくその娘と遊んでいた。そして恥ずかしい話だがよく裸になってお互いの体を弄り合っていた。
ある日突然その娘は消えちゃったんだけど…もしかして…

「ユキ…?」
「…うん…」

コクリと頷くユキ。マジか!なんか幼児体型だったあの頃の印象しかなかったから気が付かなかった!
こ…こんな美人になっちゃったのか…ユキ…

「すぐに気付いてくれると思ってた…」
「ごめんユキ、ユキがあまりにも綺麗になり過ぎてるから気が付かなかったんだ。」
「……私綺麗になった?」
「ああ、もちろんだ。あまりに美人過ぎて僕の理想像が幻覚になったのかと思ったほどだ!」
「…なら許してあげる。次からお世辞は通じないよ?」
「いやお世辞じゃないけどさ。…にしてもここどこなんだ?窓の外を見る限りまだ雪山っぽいけど…」
「うん、ここ私の家だよ。ウィスタリアくん。」
「家!?マジで?ここに住んでるの!?大丈夫なの?かなり寒いんだけど!」
「え…だって私、雪女だし…」
「え?」
「え?」

ユキが…雪女?

「ウィスタリアくん知らなかったの?」
「全ッ然知らなかった!」

そう言われてみると人間にしては肌が青すぎるもんな。まあそういったところがユキの魅力なんだけど…

「え〜?何?ウィスタリアくん、ジーッと見つめてぇ…恥ずかしいよ。」
「いや…ユキ、大人っぽくなったなって思って…」
「そ
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