砂漠で魔物に食べられて《サンドウォーム》

俺の名前はブラウン・カラージェイ
カラージェイ家という代々冒険者の家系に生まれた男だ。俺には何人もの兄弟がいるが俺は十四男だ。ちなみに歳は20。

冒険者の家系に生まれたんだけど俺は兄弟のなかではかなりめんどくさがりな性格をしている。剣の修行はするけど実践経験は皆無だ。
いつも家の中で寝そべっている。まあ簡単に言うとニートなのだ。

そんなある日、親父が俺を怒鳴った。

「お前もカラージェイ家の男なのなら冒険に出ろ!いつも家でぐーたらぐーたらして、剣の腕はそこそこあるのだから外に出て魔物でも倒してこい!」

うちの親父は魔物の事が嫌いだ。
俺達兄弟を冒険者として送り出すのも魔物退治させる為なんだとよ。正直俺は魔物なんか全く興味ないけどな。俺はひたすら家で寝ていたい。

しかしS級冒険者だった親父の折檻は怖いので俺は渋々外に出るのであった。

「太陽がうざい…」

久しぶりに外に出た感想がそれであった。
さて、これからどうするか?一応剣の腕前は中級者レベルと言われてるからどこに行ってもある程度どうにかなるとは思うんだけど…
親父に渡されたおこづかいは約一週間分。
たぶん2〜3ヶ月は家に入れてもらえないだろうなぁ…

俺はとりあえず酒場に行った。情報を仕入れるといったら酒場だ。俺は楽して稼げる方法をどうにか聞きたい。
しかしここで問題発生。
長年引きこもりだった俺は他人とどうコミュニケーションをとっていいか分からない!
俺は酒をちびちび飲みながら話しやすそうな人を探していた。
すると…

「おう知ってるか?砂漠の奥の遺跡に宝物が隠されてるって話。」
「お?知らねえ、なんだよそれ?」

向こうの隅っこの方で何やら興味深い話をしている人達を見つけた。俺は彼らの話に耳を傾ける。

「なんかな、砂漠の奥にでっかい遺跡があるんだとよ、その遺跡の奥には一生遊んで暮らせるだけの財宝が眠っているらしいぜ。」
「まじかよお前!ただの噂じゃないのか?」
「いや、なんかマジの話らしい。今度この話が新聞に乗るんだってよ。だからあんまりベラベラ喋れないんだけどな。」
「めっちゃ喋ってんじゃねえか!」

……なんだかとっても良い話を盗み聞きできたみたい。ぐふふ、一生遊んで暮らせるだけの財宝だってよ。そんなの手に入れたら一生引きこもってられるじゃないのさ!
俺は注文したお酒をぐいっと飲んで決心した。
砂漠の財宝…俺がいただくぜ!


〜〜〜〜〜〜〜〜


次の日、俺は装備を整えて砂漠に出発した。
目指すは砂漠の遺跡にあるという財宝。
準備は万端!俺は鼻歌まじりに砂漠の道なき道を歩いていった…

「迷った」

それは仕方のない事だろう。
数年間引きこもってた俺に地図もなく砂漠を渡り歩いて遺跡に行けと言われても行けるわけがない!
てかその事になんで早く気がつかなかった俺!

前を見る、砂。
後ろを見る、砂。
辺り一面、砂砂砂。

「誰かぁー!助けてー!」

叫んでも勿論誰にも聞こえる訳がない。もう戻る道すら分からない。食料も残り少なくなってきた。

「俺、ここで死ぬのかなぁ…」

俺がそう呟いたその時だった!

「あれ?なんか…奥に…なんだあれ…え?まさか…遺跡!?」

遺跡だ!ついに見つけた!地平線のギリギリのところに確かに見える。あれこそが砂漠の遺跡にちがいない!

「やったー!ついに見つけたぞー!」

俺は駆け足で遺跡に向かう。遺跡との距離はどんどん近くなってくる。やった!やった!
そして遺跡の目の前のところで“奴“は現れた。

「うわああああああ!!」

砂漠の砂が割れたかと思うと砂の中から巨大な蛇、いや違う…こいつは…

「サンドウォームだあああ!!」
「グオオオオ!」

親父が言ってた砂漠に住む魔物。それがサンドウォームだ。それにしてもデカイ、まだ半身は砂の中だというのになんてでかさだ…こんな化け物に俺は勝てるのか?いや大丈夫!俺だって一応はカラージェイ家の男だ!魔物なんてすぐ倒してやる!

そして俺は…

剣を構えて…

こけた…

こけた…!?

「ぶべぇ!!」

なんて事だ!砂漠に足を取られた!ああ、転んだ拍子に剣が飛んでった。拾いにいかないと…
そう思った次の瞬間には俺はサンドウォームに食われていた。

「ぎゃああああああ!!」

魔物に食われたあああ!!暗い、狭い、怖い!
まわりはなんだかブヨブヨとした肉の壁、なんだ?俺、噛み砕かれたんじゃないのか?
見ると肉の壁からは何やら液体らしきものが滲み出してきている。

「うわぁ!鎧が溶けた!」

なんという事だ。噛み砕かれるなんてまだマシな方だったんだ。俺は今からこの消化液によって少しずつドロドロに溶かされるんだ!うわぁ!

「人間は溶けないよ…?」
「え?うわぁ!誰?誰?」

俺の鎧がすっかり溶
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