蒸し暑い夜が続く今日この頃
この土地は比較的涼しい部類に入るのですが、やはり夏の夜は暑いです
”アッチー、ダリ―”
店の中も風通しのよい作りにはなっていますが、この暑さだけはどうにもなりませんね
暑い夜、手っとり早く涼しくなる方法は何があるでしょうか?
そうです
もちろん、肝試しですよね
今日はこの町で肝試し大会が行われます
肝試しと言っても、カップルでキャッキャッとイチャつきながら夜道を行くのとは訳が違いますよ?
下手をすればマミーやゾンビにお持ち帰りされちゃったり、ゴーストを憑けたままお持ち帰りしちゃったり
もちろん、僕は参加しません
正直、かなりの危険を伴いますが参加者は減ることなく、毎年開催されているこの町特有の奇祭です
ギルドの若手が伝統的に強制参加させられたり、個人経営のハンターが名を売るために参加したり、魔物娘目当てで参加する一般の方も・・・
意外と多いんですよね
そういう一般の方・・・
”この「キング・オブ・チキンハート(西方全敗)」の称号を持つ俺には到底理解できない話だがな”
カランカラン
こんにちは
今日はどんな御用時で?
ええ、今夜この町で肝試し大会が行われますよ
参加ご希望ですか?
”噂をすれば何とやら・・・”
ええ
構いませんが・・・いくつか条件があります
それを承諾していただかないと、この祭りに参加できませんがよろしいですか?
まず、こちらのエントリー用紙に必要事項を記入後、役場まで行き、正式な遺書を書いて下さい
それらの証明がないと参加を認められませんから
”くだらない行事であふれているこの町で、中でも肝試しが奇祭と言われる所以はここにあってな
正式な遺書を残すことにより肝試しへの己の決意を観客に示し、帰って来た時に自分で自分の遺書を裂く、というちょっとした出演と自演が混じった内容となっている
毎年必ず2,3人はいるのだが、帰ってこれなかった場合はその遺書が本当に家族に届く
そんな冗談みたいな洒落にならない行事なんだ”
このエントリー用紙は大会本部まで提出し、エントリーカードを受け取ってください
え?
大会中に魔物との遭遇があるかって?
もちろん、ありますよ
ああ、そうでしたか
アンデット系の魔物娘さんと出会いたい、ということですね
どのような魔物娘さんにお会いしたいですか?
まだ未定ですか、分かりました
では、肝騙し大会のコースの説明とともに魔物娘さんの遭遇ポイントも教えますね
”アンデット系をご希望とは、この客、かなり肝が据わってんな”
大会のコースを見ていただければ分かりますが、大会のコースは大きく4つのエリアに分かれていて、それぞれの場所で魔物娘と遭遇することがあります
まず一つ目のエリアに出てくる主な魔物は、マミーですね
包帯で巻き付いて逃がさないようにしてから襲いかかります
動けなくなるまで包帯が巻かれたら、マミーに気に入られた証拠です
素直にあきらめて下さい
”え?そんなテキト―な説明でいいのか!?”
対処法としては、マミーの包帯をはぎ取って素肌に触れてください
マミーたちは素肌がとても弱いので、触るだけでも動けなくなるらしいです
土の中から突然出てくる事もあるらしいので、警戒しながら進む事をお勧めします
彼女達は精を補給することでいったん落ち着きを取り戻しますが、直ぐに精が足りなくなったり、仲間がたくさん来たりと、なかなか離してくれません
そのまま包帯に巻かれてお持ち帰りされることも多いそうです
また、アヌビスが管轄に置いているマミーは勝手な行動を取ることなく、軍隊のように迫ってくるとか・・・
”ただでさえ、無気力なマミーが統一されて向かってくる光景はかなり危機感を感じさせるものがあるな”
二つ目のエリアに出てくる主な魔物は、スケルトン、ゾンビですね
スケルトンは魔力をもった骨、つまりゴーレムです
野生のゴーレム種は魔力の供給がままならない為、動きも鈍く力も弱い個体が多いですが、誰かに飼われているゴーレム種は動きや力が野生のそれとは違います
近くにネクロマンシーが潜んでいることも多いですね
ネクロマンシーを倒せばゴーレムの動きも弱くなりますが、よほど腕に自信がない限り逃げるのが得策でしょう
”ここで肝試しに参加しようと考えてる新米ハンター達に、テイマー(魔族使い)の基本的な知識を教えてやる
たまに、召喚、使役特化のテイマー達の弱点は本体そのものと思う新人ハンターがいるようだが、そんなことは決してない
テイマーと使い魔の関係は主従ではなく、服従
つまり、使い魔よりもテイマーの方が強いんだ
ネクロマンシーともなれば、摂理と倫理に逆らった死者の復活を平然と行う
そんな奴らに常識が通用するとは思わない
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