「ええっ!俺が隊長代理っすか!?」
思わず気の抜けた声を出してしまった。俺のそんな驚愕の様子を気にした風もなく先輩は続けた。
「うん。ちょっと用事が出来ちゃってね。明日の任務は君に指揮を頼みたい」
先輩はいつもの笑顔を全く崩さないままそう告げた。その顔は男女問わず人を魅了するような、爽やかな印象を与えてくる。一部ではファンクラブがあると言う噂まである。
「ちょっと待ってくださいよ!なんで俺なんですか!?それこそクレアさんやレオルナさんの方が適任っすよ?」
だからと言ってそれが先輩の言い分を承諾する理由にはならない。自分でいうのもなんだが俺はこの小隊の中では強い方ではない。 さっき言ったケンタウロスのクレアさんやミノタウロスのレオルナさんは、魔物であるアドバンテージを差し引いたとしても俺なんかよりずっと強いだろう。
その他にも俺より優秀な隊員は何人もいるというのに何故俺を隊長代理に任命なんかしたのか、全く分からなかった。
「君は彼女達の方が適任だと思ってるみたいだけど僕はレック、君が一番適任だと思ったからそうしたんだよ」
先輩は臆する様子を見せずにそう告げた。―ちなみにレックっていうのは俺の名前だ―尊敬してた人から認めて貰えたという達成感があったものの、不安は拭えなかった。
「で、でも俺そういうのやったことないですし。何かあったら俺どうしたら・・・?」
「大丈夫だよ。レックが思ってるより楽な仕事だよ。みんな大人なんだし、その辺は各自で要領よく切り抜けてくれるさ。いざとなったら俺が責任とってあげるから、気楽に行ってきなよ」
いともたやすく言い逃れられてしまった。そこまで言われてしまうと、俺としても強く言い返すことができない。
「じゃ、明日はよろしくな」
俺は「あ、はい・・・」とだけ返事をして隊員寮へ帰っていく先輩を見送っていた。
[6]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録