リコ様が出かけられてから早数ヶ月が経ちました。
私に押し付けてくれた様々な触手たちは順調な活躍を見せてくれています。
「んにゃぁぁぁ
#9829; これすごい、気持ちいいよぉ
#9829;」
「ね、ね、凄いでしょ、あ
#9829; あぁぁぁぁぁぁん
#9829;」
「……あ、ひぃ、ひあわへぇ
#9829;
#9829;
#9829;」
小さな妖精たちが彼女らに合わせたような大きさの触手と絡み合っています。
ここは触手の一種『フェアリー・ハグ』の飼育室です。
彼らに特別な世話は要りません。
花状の触手から放たれる甘い香りが自然と妖精をひきつけ、
触手にたっぷり気持ち良くして貰った妖精は、
仲間を連れて再びこの場所へとやってくるのです。
「……あへぇ
#9829; ……しゅてきぃ
#9829; ……
#9829;
#9829;
#9829;」
お楽しみの後、触手の花のように余韻を楽しむ妖精が去ったあとの個体からは、
『フェアリーパウダー』と言う貴重な素材が得られ、
サバトの運営にとても大きな恵みをもたらしてくれます。
「ヒィィ
#9829; やぁ、こんな、初めてなのにぃぃぃぃぃ
#9829;
#9829;
#9829;」
以前、実験でリコ様の魔力を込めた触手は順調に数を増やし、
侵入者の撃退に一役買ってくれています。
にゅる にゅる にゅるにゅる
特に女性の勇者を撃退すると張り切りすぎてしまうこの触手たちをまとめているのが、
私の育てた、最初の触手君だったりします。
どうやらあの子は、『テンタクル・ブレイン』と呼ばれる種類だったようです。
「……ァ……ゥ……
#9829;」
にゅるにゅる にゅ
すっかり動かなくなった侵入者を、
不思議な身振りでほかの触手に命令を与え、調教室に運ばせます。
あの子の種類はどうやら、ほかの触手の頭脳を担当する触手だったようです。
今でもたまに、あの子に魔力を上げていたりもします、普通の方法でですよ?
触手の森に行って来ると、クロノさんと出かけてまだ戻ってこないリコ様。
一体何をしているやら……
「あ、兄上ぇぇぇぇぇぇぇぇ! 正気に、正気にもどってぇぇぇぇぇぇ」
「グゥゥ……リコ……オカス……オカスゥゥゥゥゥ!!!」
また兄上が、あの触手に取り付かれてしもうた。
『マン・マリオネット』とか言ったか、
アレに兄上が操られると……
「ひぅぅ……に……うえ……ヒグゥ!? お、おにいちゃんんんんん!」
兄上が、お兄ちゃんが操る触手が一斉に体を拘束する。
アレに操られるとお兄ちゃんは触手に操られ、
同時に触手を操ってわしを捕まえてしまう。
「おにいちゃん……ああ
#9829; またぁ
#9829;」
わしが、お兄ちゃんに逆らえるわけがない。
触手で拘束されてしまったわしに口付けをし、
彼自身に元から生えている触手をすぐさまねじ込んでくれる。
また、だめかのう……
「……リコ……リコ……しっかり!」
「……むにゅ……おにいちゃん?」
寝ぼけた頭で周りを見渡す。
触手の生えた森が見える。
あちこちでぶっ倒れてる魔物の夫婦が見える。
思い出した、わしらもその一部じゃ。
「……くぅぅ、また失敗してしもうたか」
「ごめん、リコ、またやられたちゃった……」
わしやこやつらは、触手の森の最深部に生えているという、
伝説の『子宝宝樹』を求めてきた挑戦者じゃ。
何でも、夫婦でその木までたどり着いた者たちは、
必ず子供を授かることができるといわれているらしい。
そのような凄い触手があるなら、ぜひぜひ研究せねばなるまい。
ついでに、お子様も授けてもらうかのう。
「フッフッフ、待っておれよ『子宝宝樹』、すぐにこのリコ様が研究してやるからのう、クックック、ハーッハッハッハ」
おしまい
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