俺とシエラは俺の家に入った。彼女は部屋の中を見回して
「片づいた部屋…っていうか散らかる要素がないわね」
と一言。俺は必要のないものは置かない主義だ。クローゼットに入っている服も数着しかない。
そのクローゼットの下の引き出しには数種類、何十本というナイフが入っている。仕事上の護身用だ。
ベッド横のディスクの引き出しには幾つかの工具が入っている。魔導器具修理用のものだ。
彼女には好きなところに座ってくれる様に言って俺はキッチンに立った。
「捕まっている間、どうしてたんだ?」
俺は卵をフライパンに落としながら言った。ジューといういい音がする。
「捕まってからずっと眠らされてたみたい。目を覚ましたのはあなたが来る少し前だと思うわ」
「ほぼ一日寝てたって事か…すぐ助けに行かなかったこと、怒ってるか?」
「…いいえ、助けに来てくれるなんて思ってなかったし、それに寝てたし。でも理由は聞きたいかしら」
「銃の整備と、後は時期を見計らってたんだ」
「時期?」
「そう。昼間は当然目に付きやすいし、夜ともなれば相手は警戒を強める。眠気が襲ってきて油断の多くなる明け方が一番乗り込みやすい」
俺はハムエッグとミルクを彼女の座っている丸テーブルの上に置いて自分も席に着いた。
「いただきま〜す」
彼女は嬉しそうにフォークを手に持って食べ始めた。彼女は一口、口に入れた。
「あ、おいしい、これ」
嬉しい反応だ。そういえば俺は人とこうして食事をするのはいつ以来だろうか…
「まぁな、ずっと一人だったのとたまに依頼でコックの仕事も来るんだよ」
「コックの?」
「ああ、『便利屋』だからな。ずっと危ない仕事が来るわけじゃない」
彼女と俺はほぼ同時に食べ終わった。
「ごちそうさま。…じゃあ、話してもらえる?あなたのことを…」
「ああ」
俺は静かに頷いた。
「俺は十二の時に両親を事故でなくして、妹と二人で暮らしてきたんだ。今は便利屋をしてるが、三年前までは両親の影響と住んでいた場所が場所だけ合って、魔導器具の技術者をしてた」
「魔導器具の?じゃああなたは前に住んでたのは…」
「ああ、オーデンダイアだ。俺はそこで義手や義足となる完全に医療を目的とした魔導器具の開発、研究をしていた。それ以外にも色々と手は出したがな」
俺は食器を片づけるとソファーに座った。
「そして、三年前のある日、俺は同僚の一人に呼び出された。親友と呼んでもいいほどの奴で、俺とそいつはその分野に関しては注目されていた。
俺が呼び出された場所まで行ってみると、剣を持ったそいつが立っていた。そして俺に『ここで死ね』と言って剣を向けたんだ。
俺はその時に奴が俺の考案した魔導器具の義肢、その技術を兵器へと転用したことを聞いた」
「…それがあの魔導人形に使われていたのね?」
「ああ、そして奴はそれに気付いた妹を殺し、俺も抹殺しようと考えていたんだ…。俺はその時に右腕と、胸にも大きな傷を受けた。幸運にも俺はこうして生きていた。かろうじて繋がっていた自分の腕に魔法器具を仕込み、魔法陣を彫り込んで再び腕に筋肉、神経、骨を繋ぎ、元の腕に見せかけた」
ここまで聞いて彼女はずっと黙ってしまっている。
「俺は便利屋としてこの町に移り住み、奴に辿り着く情報を集めていた。奴の名前はハーロック=イルミルダ。金の為に俺の妹と右腕を奪い、俺の技術を悪用しているかつての友だ…!俺は今までずっと、この胸に奴への怒りと、憎しみを持って復讐することを誓って生きてきた…」
彼女は静かに立ち上がり、俺の所までやってくるとそっと抱きしめた。
「何を…?」
「つらい…よね…」
彼女の声は震えていた。
「ああ、…つらいし、恐ろしいさ。俺はこれからも奴を殺すまで一生憎しみを抱えて生きていくんだ。俺から憎しみが消えるのは…奴を殺した時だ」
シエラはまた強く俺を抱きしめた。
「そんなの…悲しいよ…」
彼女は突然俺の唇に自分の唇を重ねた。俺は驚いて彼女を離そうとした。
「な、何を…?!」
「私には…あなたの苦しみは、憎しみは分からない…けど、あなたは本当は優しい人よ…」
「どうして?」
「私を助けてくれたから…あなたには復讐をやめてなんて言えないかもしれない…だから、せめてあなたを慰めさせて…助けてくれたお礼に…」
俺は彼女の様な優しい目を求めていたのかもしれない。そう、安らぎが欲しかったのか…
「いいのか?」という言葉は出なかった。俺は彼女のジャケットを脱がせ、ブラウスのボタンを外していった。
彼女をソファーに優しく押し倒し、露わになった胸を優しく揉みほぐした。
「んっ…んん…あっ…」
妖艶な喘ぎが俺の耳をくすぐり、理性を少し後
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