第三話
「落ち着きましたか?」
「はい。すいません、助けていただいた挙句一日泊めてもらうなんて…。」
「いえいえ、お気になさらず、困ったときはお互い様ですし。」
ユーレンスはあのまま一晩寝かせてもらい、翌日になってから麻痺が取れたので話した。
「それより、どうしてあんなところにいたんですか?」
「…最初からいたのではなく、リーダー格の男が町で話しかけてきて、そのままお茶を飲んだら急に体がしびれて…」
「お茶の間にお手洗いなどには?」
「一度行きました。」
「(ああ、じゃあそのとき盛られたのかな…)次からは気をつけてくださいよ?俺みたいなのはそんなにいないんですから…。」
「そういえば、貴方は何故あそこに?」
「俺はたまたま近道を通ろうとして貴女に会ったんです。」
「…そうですか…。」
「とにかく、今回は運が良かっただけですから、無闇に話しかけてくる男性とお茶をしたりしないようにしてください。」
「はい…すいません。」
「まったく…あ、自己紹介がまだでしたね。俺はハヤテ・サーティス・キリュウです。」
「私はユーレンス・アンバーシュタッドです、気軽にユーリと呼んでください。」
二人が握手をしようとするとほとんど同時にお腹が鳴った。
「「あ。」」
すぐにお互いを見て笑い、ハヤテが簡単な朝食を作ることになった。
パンと目玉焼き、それにウィンナーのついた朝食を食べ終えると、ハヤテは自分の服をユーレンスに貸した。
「すいません、何から何まで。」
「いいですよ、それより返しにきてくださいよ?『ヴェント カ−サ』ってところで働いてますから。」
「わかりました、返しに行きます。」
「ああ、そろそろ行かないと…。」
「あ、じゃあこれで…本当にありがとうございました。」
ユーレンスはそういうと急ぎ足で出て行った。
ハヤテはその後ゆっくりと仕事場に向かった。
その途中で新聞を買うと昨日のやつ等が変死体で見つかったとのこと。
「(…俺はそこまでひどくはやってないぞ?)」
どうやら彼が気絶させた後に誰かが物取り目的で止めをさしていったらしいと新聞に書かれていた。
最近この国でも物騒なことが増えてきており、それだけに戦士の育成が重要視されるようになってきた。
そんなことより、明日の飯が大切なハヤテであった。
「おはようございます。」
ハヤテは店に来るとすぐにスタッフルームにいって制服に着替えた。
今日は育成所が休みなので午後からは時間が空いていた。
時間が過ぎ、お昼頃にハヤテが休んでいると他の店員が彼を呼びに来た。
客の一人がハヤテに会いたいといっているそうだ。
ハヤテが行くとユーレンスがいた。
「いらっしゃいませ。」
「ふ〜ん、本当にここで働いていたんだ。」
「嘘言ってもしょうがないでしょ?ご注文はお決まりですか?」
「じゃあ、この苺のタルトをください。」
「一緒に飲み物などは?」
「紅茶で。」
「かしこまりました。」
ハヤテが厨房に注文をすると、先輩の一人が声をかけ、裏手に連れ込まれた。
「おい、お前あれとどんな関係なんだ?」
「は?」
「はじゃねぇよ!あの美人の姉ちゃんに決まってんだろう!」
「いや、どんな関係といわれても…変なのに絡まれていたのを助けただけで…」
「ああくそ!何でお前みたいなのばっかり…」
ぶつぶつ呟きながら先輩が店に戻ったので、ハヤテも戻っていった。
暫くして、ハヤテが料理を運ぶと、ユーレンスが座るよう指示した。
「せめて上がるまで待ってもらえないですか?」
「いいじゃない、少しくらい。」
「まだ仕事中…ん?」
ハヤテがふと外を見るとフリッツを見かけた。
フリッツの方もハヤテに気付いたようで、こちらに歩み寄ってきた。
「おやこんなところで会うとは…」
「貴方は!」
「ん?二人は知り合い?」
フリッツとユーレンスは知り合いのようだが、フリッツは嬉々とし、ユーレンスは明らかに怒りをあらわにしていた。
「…ああ、またやったのかフリッツ。」
やれやれ。と言って風にハヤテは額に手を置いた。
「君の悪い癖だよ?なんでもかんでも自分の思い通りになるものじゃないんだから個人の意思を尊重して、お互いに…」
「だから僕は…」
お互いに口喧嘩というよりハヤテが諭し、フリッツが駄々をこねるという構図になってきたのを見て、ユーレンスは笑った。
「ふふっ、ごめんなさい、少し貴方のことを過小評価しすぎていたみたい。」
「な…。」
「まあ、綺麗な人を見かけると自分の使用人にならないかってよく言ってるやつだからね…。」
「ふっ、貴族である僕に使えることが光栄だと思わないのかい?」
「ぜんぜん。」
「まったく。」
「え
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