あの日はただ太陽が照りつける何時もの夏だった。ただ、一つ違ったのはいつものやつがいなかったこと…そして…そいつは俺が消してしまったこと。
(…な…つ…し…)
誰かが俺を呼ぶ声が聞こえる。それは大切な…誰だったか…。
「しな…志那都(しなつ)!起きろ!寝てるんじゃない!!」
バシーン!!
「いったー!?」
後頭部に強い衝撃を受けて俺は飛び起きた。
ああそうだった…今授業中だった…。
「…すんませんでした」
「やれやれ、お前が疲れているのは知っているが、ほどほどにしろよ」
そういって先生は教壇に戻って行った。
俺の名前は尾上 志那都(オガミ シナツ)、普通の高校生…なんだが、名前の『志那都』の由来である風の神様が理由なのか、風を操る能力がある。ただしこれは一切合切秘密だ…二人ほど秘密を共有しているがな。
この力を使って俺は所謂正義の味方の真似事をしている…ま、偽善だがな。
こっちは皆知ってる…知られてしまったって言った方が正しいな。
それだけ激しく動いたからな…バレて当然か。
今じゃ俺は校内でも結構有名なやつになってる。ほんとは有名になるためにやってたんじゃないんだけどな。
さぁて、授業もそろそろ終わりだし、もう一眠りするか…。
「寝るな!」
熟睡していたらいつの間にか昼休みになっていた。
「尾上〜隣のクラス行って食おうぜ」
「ああ」
この前、彼女ができたとか言う友人(爆発しろペッ)に誘われて隣に行ってみると、どうにも騒がしかった。というかなんか一人の生徒のところに人が集まってるんだが…。
「なんだあれ?」
「ああ、こっちに今日転校して来たんだ。名前は朝凪 綾奈(アサナギ アヤナ)だったかな?」
「へ〜情報サンキュ」
「困った時は助けてくれよ?」
「俺が覚えていたらな」
その時俺は気付いていなかった、朝凪が俺が教室に入った瞬間からずっと俺の方を見ていたのを。
正直いって俺もその時あいつの姿を確認していれば最初の印象は変わっていたかもしれない。ま、見れなかったんだから仕方ないか。
飯を食い終わり、最後の授業を終えて帰路に着くと、何処からともなく悲鳴が聞こえた。
この力が俺に宿って以来、こういう五感というかなんというか、まぁ超常的な力が俺に宿っているように感じていた。妄想だと言えばそうだが、実際よく聞こえるようになったり、視力が良くなったりするのは嘘じゃない。
それに頭の方も良くなったみたいだし、いや〜スッゲー便利。
おっと、そんなこと考えている場合じゃなかった。早く悲鳴を上げた人を助けに行かないと…?
だけど、近づいていくにつれてどうも悲鳴の質が変わってきたように感じた。
具体的には女から男に変わった様な感じだ。
俺が急いで悲鳴の聞こえた場所に行くと、ボロボロになった男が五人、円になって倒れていて、その中央におびえる女と両手を返り血で染めた女が立っていた。
しかも、二人ともうちの学校の制服を着ていた。
「…どういうことだおい…」
「なにって、アタシがやったんだよ、こいつらをさ。そこで見てるだけならアタシ等は帰らせてもらう」
「おい待てよ!」
おびえている女子の手をとって何事もなかったように帰ろうとする血塗れた女の肩を掴むと、俺の世界は反転した。
背中に衝撃を受けて、投げ飛ばされたと分かったときにはすでに女子生徒はいなかった。
「クソッ」
腰をさすりながら立ち上がると、俺は救急車を呼んだ。
「あ?最近そんな事件が増えてきた?」
「そうなんだよ。なんか悪ガキ達を血祭りにして救急車も呼ばずにそのまま去っていくような事件」
次の日、学校に行った俺はそんな話しを友達から聞いた。
俺は噂とかあんまり聞かないからな…。
「しかもだ、やられたやつ等は小一時間ほどで回復しちまうらしくてな、それで病院で寝ている間に直っちまってるそうだ」
「やったやつは分からないのか?」
「さぁな。三人とか二人とか…あ、でも女が一人いるのは確定だ」
女か…そういや昨日もいたな…。
じゃあ何でもう一人は返り血を浴びただけなんだ?殴ったりしたら手に血がつくはずだし…何だこの違和感は?
「ま、お前もほどほどにしろよ?正義の味方さん」
「任せとけ」
ああ、そうだ。俺は負けるわけにはいかない…あいつとの約束のためにもな。
俺が正義の味方に憧れる様になったのは5歳の時、偶々やっていたヒーロー物のアニメにはまったからだ。
丁度その時、同じような…まぁ小さかったからな…はまった男子がいてよく遊んだんだ。
でも…丁度小学生になった頃、そいつはいなくなってしまった。
そいつがいなくなる前、俺とそいつは公園で遊んでいた。いつものようにヒーローの真似
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