第一話
少年は夢を見ていた。
そう、古くもすぐ思い出せる思い出…。
…
「お母さん、行ってきます。」
彼が五歳のある日、いつものように近くの森へ遊びに行っていた。
そこは(性的な意味で)危険な魔物が出ないといわれていた場所であり、故に子供でも安全に遊べる場所だった。
なので、彼は他の友達と一緒に遊ぶ予定だった。
しかし、
「ごめんなさいね。うちの子、風邪で寝込んじゃってるのよ。」
「え〜。」
その日はいつも遊んでいるメンバー全員が示し合わせたように風邪を引き、彼は一人森へ入っていった。
「フンフンフ〜、フフンフ〜フン、フフンフ〜フンフンフ〜…。」
彼はその辺りから拾った棒切れを肩に担ぎ、鼻歌交じりに森を進んでいった。
しかし、一人というのは想像以上につまらないもので、彼は興味本位で普段行かない森の奥へ足を踏み入れた。
その辺りはまだ魔物が侵攻しないようにするための壁が作られておらず、本来ならその先は未開の地だった。
故に親達もそこから先へは行かないよう重々注意していたのだった。
「この辺りはまだ行ったことなかったっけ…。」
だが、少年は未知なる世界への期待と冒険心をくすぐられ、どんどん奥へ進んでいった。
「…なんにも見えないや…。」
日が降り注いでいたいつもの森とは一転し、暗く遠くまで見えない森となっていた深部はそれだけ目新しいものがあった。
見たこともない植物、見たこともない動物、そして、聞いたことのない声。
見えにくくとも、少年は未知の森に魅了されていた。
「これなんていうものだろう?もって帰ってお母さんに見せようかな…。」
と、少年が足元に生えている花に手を伸ばそうとしゃがんだ瞬間、
「わっ!」
と目の前に少女が現れた。
「わっ!?」
思わず尻餅をついてしまった少年を少女は高らかに笑った。
「あはははは、引っかかった引っかかった!」
「もう…一体なん…なん…」
少年は目の前の少女が飛んでいることに気がついた。
「…え?」
「?あ、お兄ちゃん初めて妖精を見たの?」
「妖…精…?」
「うん!」
普通の人ならば、妖精と聞いて二つ思い浮かぶことがあるだろう。
まず一つ目として、普通の妖精。これは特に害がないため除外する。
まずいのは二つ目の『魔物化した妖精』である。
つまり、サキュバスの魔力を受け魔物化した妖精で、『男の精』が主食であるため、危険なのである。
「ふ〜ん、妖精か…初めて見た!」
しかし少年はそんなこと露知らず、妖精と聞いただけでお話に出てくるものと同じだろうと思った。
「えへへへへ、じゃあ私が第一号だね!」
妖精はヒラヒラと彼の周りを飛んだ。
「お兄ちゃんはなんでここに来たの?」
「今日ね、皆風邪で休んじゃって僕だけ来たんだ。」
「ふ〜ん、じゃあ私と遊びましょうよ!」
「いいよ、どんな遊びをするの?」
「う〜ん、何をしよっか?」
「僕は何でもいいよ。」
「う〜ん、それじゃあ…」
妖精はあくまでも、子供っぽく言った、例えそれが大人のするものだとしても。
「お兄ちゃんの濃厚な精液が欲しいな。」
「…?」
「その股の間に下がっているチンポから白くてドロドロした飲み物が欲しいの。」
「僕、出ないよ?」
「うふふ、出るの、お兄ちゃんが知らないだけで…さぁ脱いで。」
「え〜やだよ。」
「それなら脱がせてあ・げ・る。」
少年は急に寒気を感じ、妖精から逃げるように背を向け走り出した。
「あ、待て〜。」
妖精も追ってきており、それが分かると少年はいっそう足に力を入れ、スピードを上げた。
気が遠くなりそうなほど走り続けると、森の開けた場所に出た。
そして、そこで少年は出会った。
「…!」
光の中横たわっているのはまだ幼い体を持つ人間に近い姿をしたワイバーンだった。
その額からは赤い血が流れていた。
少年は急いで近寄り、傷の具合を見るより早く自分の衣服の一部をナイフで割き、簡単な包帯を作ると、母がいつも持たせている軟膏をワイバーンの傷口に塗り、包帯を巻いた。
「…大丈夫かな…。」
木陰にでも運ぼうかと少年が考えていると、上空からワイバーンの咆哮が聞こえた。
「!」
驚いて上を向くと、そこには旧魔王時代の姿をしたワイバーンや人に似た姿のワイバーンが入り混じっていた。
「…。」
その風景は壮観で、少年は声も上げられなかった。
その中でこちらに気付いた一匹の旧魔王時代のワイバーンが急降下してきて少女の前に降り立つと人に近い姿になった。
「助けようとしてくれてありがと、でも早くお帰り。ここは危ないから。」
そう降りてきたワイバーンが言うと他の旧魔王時代のワイバーンが少年の肩を掴み、そ
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