ドラゴニア大闘技大会当日。国中は二つの話題で持ち切りだった。
一つは今日行われる大闘技大会。どのような猛者達が集い見事な闘いと交わりを見せてくれるのかと期待が上がり続けている。
もう一つは城での一件。城に泥棒が侵入したというある意味で勇者な所業と撃退した事実、そして犯人は今も逃走中であることで話題には最適だった。
「聞いてくださいヌパンさん!実は昨日の夜女王様の城に泥棒が入ったらしいんですよ!」
「へーそらまた大変なこって」
「幸い狙われた宝は無事だったそうですが泥棒さんたちは捕まらずに逃げ切ったそうで、まだ国内に潜んでいるらしいです。だからヌパンさんたちも戸締りに気をつけてくださいね!なんなら今夜私の部屋にでも泊まりますか!」
「ありがとね〜リティアちゃ〜ん♪でもおじさんたちは大丈夫だから心配しなくていいぜ〜♪」
(なんつったって本人だしな)
犯人が自分自身を襲うなんてどうやったらできるのか教えて欲しいくらいであった。
「しかし女王陛下の城に忍び込むとは恐れを知らないバカもいたものね。あんたもそう思うでしょ二元?」
「……そうだな」
「で、でもあんたがどうしても怖いって言うなら…こ、今夜私の部屋にでも来させてあげなくも…ない…わよ?」
「生憎と間に合ってる。それと男を誘うならもう少し素直になった方がいい」
「な!ち、違うわよ!そんなんじゃないったら!っていうかそれどういうことよ!」
「あららら〜?大胆なことじゃありませんかシルティアちゃ〜ん?」
「ヌパンは黙ってなさい!」
「あでっ!」
(元気なこったな)
ヌパンは尻に強烈な蹴りを食らった。
「しかし捕まらず逃げ果せたとは泥棒の方もやるな。それ程の勇者ならば私の婿に相応しいかもな!」
「嬉しいこと言ってくれるじゃないのレイアちゃん♪」
「? なんでヌパンが喜ぶのだ?」
「!? え、えーと、そりゃアレだ!レイアちゃんに夫ができるのなら俺様も嬉しいな〜って!」
「そ、そうか……私にも夫ができるだろうか?」
「できるできる〜!レイアちゃんってばそりゃあもう可愛いし美人だしこんな優良物件見逃すなんざ見る目ないぜ〜!」
「そ、そうだな!でも私理想高いからな〜!私より強いオスが最低限の条件だしな〜!」
「大丈夫大丈夫〜!なんってたって女王の城から逃げ出せる程だからきっと眼鏡に叶うよ〜!」
「そうだな!そうだと良いな!」
(果たして真実を知った時どんな反応をするのやら……)
そういう意味でもあまり希望は抱かせない方が良いんじゃないかと二元は思った。
「噂ではまだ宝を諦めてないらしくてまた狙いに来るかもしれないらしいわよ」
「だからくれぐれも気をつけてくださいね!」
「怪しい奴を見つけたらすぐに報告するんだぞ?」
「はぁ〜い!ボクちゃん約束しま〜す!」
(目の前にいるんだがなぁ……)
などとは口が裂けても言えない二元だった。
(おいヌパン、この様子じゃあまだ俺たちの手配書もまだ出回ってねえみてえだな)
(それはそれで好都合だぜ二元。出回る前に手早く済ませようぜ)
(それは良いがなんで観光ガイドなんて頼むんだよ?)
(なぁに国中回るんだだったら詳しい人に頼んだ方が効率が良いだろう?それに道中男2人が歩ってたら野生の魔物娘に狙わなかねないぜ)
(それはそうだけどよ……むしろガイドにアプローチかけられてる気がするだが?)
(なになに〜そんときゃ華麗に躱せばいいのさ)
(はぁ……土ェ門の奴は上手くやってかな)
(土ェ門なら1人でも大丈夫だろ。さ、俺らは俺らで必要なモン掻き集めようぜ)
「さて、次の観光スポットですが──」
と、なぜヌパンと二元が呑気に観光ガイドをされているかといえば当然理由がある。
数時間前。
3人はあの後なんとか歩きで宿に着いて交代で外の見張りをしていた。外は時々竜騎士の警備隊が巡回しており、恐らく自分たちを探しているのだろう。その光景を見下ろしながらヌパンと二元は愚痴る。
「あーやだやだ。肩身が狭いったらありゃあしねえ」
「昨日あんだけ交わってた奴らとは思えねえ規律さだ」
「オンとオフがはっきりしてやがるぜ。……っと、行ったみたいだな」
一先ず安全を確保した3人は作戦会議に移る。
「して、これからどうする?拙者としては早く終わらせて大会に出場したいのだが」
「慌てんなって土ェ門〜。大丈夫だよ出場させてやっから。だがすぐに動くわけには行かねえ。臨機応変に無策で突っ込めるほど相手は安くねえ」
「ああ。一度やりあったが竜騎士の練度は相当だった。周到に準備しねえと今度こそ食われるだろうな」
「そういうこと♪夜の侵入が失敗したから次の作戦は失敗時のBプランだ。難易度は昨夜の比じゃねえがこうなった以上こいつを利用するしかねえ」
そう言ってヌパンが出したのは大闘技
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