中編.おにく・おにく・おしゃべり

「おはようございます、課長」
「……カミラの話は本当だったんだな。早すぎるだろ」
「これでも時間潰して来た方なんですが」
「私は遅いのも早いのも好きではない。色々な意味でな」
「……で、今日の業務は」
「色々な、そう意味深な感じの意味でな!」
「逆セクハラはやめて下さい」

転職から2週間後の出勤日。
そのスタートは、クロエの下ネタとなった。

「君の作業スピードが予想以上に早いから、今日は早上がりになりそうだな。
 営業の方とかけあって、受注案件のリミットを緩和しようと思う。
 勿論、適宜君と話し合いながら決めるから、そこは安心してくれ」
「構いませんよ。今の段階じゃ俺、給料泥棒ですから」
「ダラダラ働いて残業代を貰う輩、時間内に業務を終えられる人間。
 どっちの方が能力が高い? 正直、私は君の給料はまだ安いと思っている。
 案件数が増えたら、必然的に君の給料のベースも上がる。卑下するのはよせ」
「すいません。以後気をつけます」
「宜しい。じゃ、今日の内容だが……」

業務の内容を説明しようとした頃、オフィスの扉が勢いよく開いた。
入ってきたのは、一人のゴブリン。

「光之助はいるか!」
「はい、ここに」
「お前かー!」

入ってくるやいなや、思いっきり駆けると。

「この不届き者がー!」
「ぐふぇっ!」

勢いそのままに、光之助に突撃。
角が脇腹にぶつかり、腹の中から空気が飛び出す。

「いきなりなんだこの野郎!」
「野郎じゃねーよ! 可憐な乙女だよ!」
「どこの世界にいきなりタックルかます乙女がいるんだよ!」
「ここにいる! そしてもっといたらダメな奴がお前だ!」
「ハァ? 何がダメなのか言ってみろや!」



「せっかく親方が性欲処理買って出たのに、
 あの時以来一回もシてないってどういうことだこのふにゃちん野郎が!」



光之助は、初めてメリルからフェラチオされて以降、性欲処理を頼んでいない。
理由は、「それは仕事ではないから」だ。

「ワーカーホリックにも程があるだろ! それでもチンコついてんのか!」
「ついとるわ! ちょっと元気無かったりする時はあるとしても!」
「元気とザーメンが出せないチンコはチンコじゃねぇ! ただの排泄機関だ!」
「今お前全国の男の悩み抱えてる奴敵に回したぞ!」
「何の為にアルラウネの蜜とかが流通してると思ってるんだ!」
「ですよね!」
「……話、済んだか?」
「「アッハイ」」

光之助にタックルをしかけた、(種族平均と比較すれば)少し背丈の大きいゴブリン。
彼女はメリルの第二秘書、九十九リボン(つくも りぼん)。
着ている物は肌の露出こそ少ないものの、ゴブリンらしい軽装。
カミラが仕事関係の補助をしている傍ら、彼女は身の回りの世話を担当している。

「そう言われましても『希望の場合』とありますし、社長も暇じゃないでしょう?
 そんなに頻繁に頼むのは気が引けますよ」
「アレか、親方じゃ不満か。ロリっ娘ならつるぺたじゃないとダメなのか」
「いやそういう訳では。……って、『親方』って社長のことですか?」
「あたしはそう呼んでる。親方は寛容だからな。あたしが一番しっくりくる呼び方にした。
 ちなみに他の呼び方だと『姐さん』派が多いな。親方、内面は男前だから」
「……本当ですか?」
「おうとも。見られる場面は凄まじくレアだけどな。
 だからあたし達は親方に一生ついていくと決めたんだ。
 ……で、そんな親方の性欲処理がお気に召さないと」
「そういう訳ではないんですが……」

煮え切らない態度に、リボンのフラストレーションは溜まる一方。
こうなると、取る手段は一つ。

「クロエ、ちょっとコイツ借りるぞ。
 ……なら今からでもヤってこーい!!!」
「うぉっ!?」

ゴブリンの特徴。
小さな身体に似合わない、怪力。
それを活かす方法、つまり力技である。

「オラ入れーっ!!!」
「うわーっ!?」

光之助を担いで社長室まで運び、扉を開けて投げ入れる。
何とか受身は取れたが、仰向けに倒れながらの入室となった。



「おはよう〜。大丈夫?」
「……大丈夫に見えますか?」

かなりのダイナミック入室にも動じないメリル。
良く言えば泰然自若な社長の器、悪く言えば鈍感なバカ。
どう評価するかは、人によってかなり分かれそうなところである。

「ごめんね〜。リボンちゃん、何事にも一直線な子だから〜」
「少なくとも物理的にはそうでしたね」
「ところで、お仕事の前に一発ヌいとく〜?」

左手の人差し指に、右手の親指と人差し指で作った輪っかを通し、上下。
相変わらずの胸チラの影響もあり、光之助の股間が膨らみ始めた。

「リボンちゃんも言ってたと思うんだけど、私はいつでも大丈夫だよ〜。
 ほら、おちんちん出して」
「……それ
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